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そんな装飾商店へ行きたいレベッカさんのお目当てはペンダントの鎖の修理だそうだ。
なんでも酒盛りをした仲間が転んだ時に咄嗟に掴んだのがレベッカさんのペンダントの鎖部分で、思い切りひっぱられたはずみに鎖の部品が壊れてしまったらしい。
「良く首が無事でしたね」
下手したらそれ首飛んでないかな。
呆れながらもレベッカさんを見るが、何故か彼女は顔を赤くしていった。
「わ、私もとっさのことで……思わず鎖を引っぱり返しちゃって……」
要するに、首で耐えた訳ではなく、レベッカさんも鎖を掴んで引っ張り合ったということらしい。何が恥ずかしかったのかはわからないけれども。
まぁそんなことすれば鎖は壊れますよね。普通に。
同じ通りにあるためすぐに着いた装飾商店に入ると、店主のジョージ=ラグドールさんが出迎えてくれた。
レベッカさんは首にかけていたのだろう小さな皮袋を胸元から取り出すと、中から壊れたペンダントを取り出した。
鎖を修理出来るかと尋ねたところ、同じような鎖は扱っているが、この鎖を修理をするならばこれを溶かしてつくり直さねばならないので少々時間がかかる、とのこと。
「どのくらいかかりますか?」
「そうですね……このあたりには装飾職人は居りませんので、マギまで運び、それから修理してこちらへ届けることとなりますので、最低でも7日はかかるかと……マギにこれをお持ちになるのであれば、3日ほどで修理出来るとは思いますが」
ラグドールさんは田舎のウェリル村出身であるにも関わらず、言葉遣いがとても丁寧だ。
若い頃にマギで装飾商人として修行していた際、礼儀作法も身につけた、と聞いたことがある。
基本的には商人は乱暴な言葉遣いは良しとされない。
お客さま商売だからね。
特に装飾商人は貴族などの上流の方々と接することもあるため、礼儀作法は真っ先に叩き込まれるんだそうだ。
ちなみにこれはラグドールさん本人から聞いたのではなく、宿屋のシアンさん情報である。
噂好きおばちゃんの情報量は恐ろしいのですよ。村に関する大体のことは知ってるんだから、本当に恐ろしい。
「そうですか……なら、諦めることにします」
どうやらレベッカさんはそのペンダントに思い入れがあるらしく、かわりの鎖をつけるのには抵抗があるようだった。
そのペンダントは解析で見たところ、
『シールドの魔生石が組み込まれたペンダント。魔力を通すことにより、2刻だけシールドを発動することが出来る。』
となっていたから、お守りなんだろう。
しかし、ペンダントか。
あの思い入れようからすれば、自分で買ったというより、誰かに貰ったのかもしれないね。
高価なものだから大事にしている、というだけなら、鎖のところは取り替えでも良い訳だし……。
となると、恋人でもいるのかな。うらやまけしからん。いや、なんでもないです。
でもさっきのケルンのおっちゃんとのやりとりで褒められ慣れてない感じからすると、レベッカさんはまだ独り身っぽいんだけどなぁ。ただそういう性格なだけなのかもしれない。
私ならすぐに錬成で直してあげられはするけれど、まさかここで錬成能力があることをばらす訳にもいかないしな。
ごめんなさい、レベッカさん。




