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「お連れさんは……ってなんだ、『眠り鳥』かよ」
私を見るなり一気に残念そうな顔になったトール君だが、客かもしれない相手、しかも年上にその対応はいかがなものか。
まぁ私がここで買い物をすることはまずない。包丁を買ってくれたのは母であるし、武器は一応自分でつくった刀があるから。見せたことはないけど。
あと普通中間期にもなっていない少年少女が手にするのは主にこん棒なので、あまり売り上げにならない。一本銅板5枚とかだからね、こん棒。
「眠り鳥?」
「あー、私のアダ名なのであまり気にしないでください」
レベッカさんは不思議そうに首を傾げたが、なんと言うこともない。非常に不本意ではあるが、眠り鳥とはただの私のアダ名である。
小さい頃は10日に一回とはいえ、深夜に村を抜け出しての修行に身体がついていかなかったからだ。昼間は眠くなるよね。仕方ないよね。
それに加えて、うちの家族、主に父と兄が過保護なことから、『かごの鳥』ということで、眠り鳥、なんてアダ名となってしまった。非常に不本意です。大事なことなので二度。
ちなみにアースガイアでもペットは多く、特に見目麗しい鳥や猫、犬、ウサギなどは人気があるよ。
それらももちろん魔獣なのだが、本来ならば魔獣は各地に配られる結界の魔生石によって村に入ることは出来ない。
なら何故彼らが村にいるのか、というと、登場するのが『結界通行許可印』である。
この許可印はスタンプのようなものなのだけれど、身体のどこかに魔力をこめて押すと、結界を通れるようになる。
村では村長が管理しているのだが、村人は生まれたときに、それを足の裏に押される。これのおかげで結界に認証されたことになり、各村、町などに出入りすることが出来るようになるのだ。
解析を試みたこともあるけれど、結果が解析不能という謎のシロモノです。
ぶっちゃけこれを16歳まで押さない法律とかあったら森での修行とか出来なかったけれど。それをしてしまうと一家で引っ越す場合など、色々不都合があるらしいので、生まれた時に押すのが慣例だそうだ。
それを人に対して害意がないと判断された魔獣にも押すことによってペットとかにも出来るので、完全な野良犬、野良猫は存在しない。
まぁ家の中で飼う人は少ないので村ぐるみで面倒を見ているところはあるし、奴らはかなり自由に過ごしてはいるものの、むやみに危害を加えたりすることはない。
そもそも危害を加えるような魔獣は人間には懐かないからね。総じて懐くような魔獣は草食ですから。なんと犬猫も草食です。
怪我をしたり、寿命が尽きてしまったり、子供が生まれたりした時のみ、飼い主が責任を持つ形だ。
え? 勝手に殖えないのかって?
繁殖期は分かりやすくて、その時期になると飼い主は責任持って家に拘束するから今のところ問題は起きていないよ。
アースガイアの生物は何故か番の概念が強いので、お相手もわかりやすいし。
ちなみに依頼の『猫の世話依頼』や『犬の散歩代理』は、常に家の中で飼っている人たちから出される依頼だね。
割と裕福な家の依頼が多いかな。
ここら辺なら村長の家だったり、特殊ギルド員の家だったり、固定商店だったりかな。
あ、うちにはペットは居ません。居たら母が世話することになるけど、母にはそこまで余裕がないからだそうです。




