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「あ、ここね」
店の前に置かれた看板を確認し、レベッカさんは無骨な木の扉を開けて中へと入って行った。
固定商店の扉の前には立て看板が置いてあるので、わかりやすい。
この世界の看板は地球の飲食店とかでみられるような立て看板なので、屋根の上に張り付けたりだとか軒先にぶら下げたりだとかの看板はない。
看板は鉄か銅で出来ているので、錆にさえ気をつけていれば長持ちする。
なお、風船魚という魚の吐く墨が磨き液兼艶出しとなり、金属全般に有用でお手入れによく使われている。
さらに、ただ文字を裏打ちするだけではなく、アースガイアにおける蛍光塗料のようなものでもなぞり書きされているので、夜でもバッチリ読めます。ただその塗料は一度火で焼き付けするのだが、二度と取れないため、店の名前が変わったりすると看板は作り直しするのが一般的だ。
しかし、アースガイアの自然は凄いねぇ。
いやそれを応用する人々の知恵も凄いのだろうか。
水をはじく魔獣の皮を利用した透明なおおいのようなものがかけられてるから日差しにも雨にも強い。
わかりやすいのは透明ビニールシートかな? あんなにかたくないけど。
この魔獣はホワイトスネイルといい両棲で、見た目は……うん、ウミウシかな。陸に居たらナメクジかな。
100日に一回脱皮するのだが、その皮がパルチザンの港町であるドラキアという町近辺に流れついたり浜に脱ぎ捨てられてたりするので取り放題なのである。なのでかなり流通もしている。
ちなみにこのホワイトスネイル、肉は食べても毒はないし、美味、というか珍味であるという。ちなみに塩をかけても縮まない。
最初に食べた人、よく食べようと思ったな。勇者か。
あと何で両棲で水弾いちゃうの。
それで死なないの?
というか本当に両棲なの?
ホワイトスネイルの皮はつるりとしており、この皮を利用して、この世界の金箔も作られております。
書物知識だけれど、銅と銀と金を溶かした合金を、この皮の間に挟んでひたすらハンマーで叩いて伸ばして作られるんだって。
皮はハンマーでぶったたいても変形しないので重宝されております。
その工房は確か、パルチザンのネルソンって町にはあったはずだけど、まぁ今の私には関わりのないことだ。
まぁつまり看板が表に出ていれば営業中ですよって目安でもあります。当然今は昼間なので営業中である。
レベッカさんを追って、私も『ケセラの武具商店』の中へと足を進めた。




