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さらりと店内を見て回ったが、レベッカさんの目に止まるものは特になかった。なので、彼女は中級程度の体力ポーションと魔力ポーションを20ずつまとめ買いした後、私たちは店を出ることにした。
「今必要なものはこれくらいだけど、品揃えは良かったわね」
店を出るなり褒められたが、まぁ品揃えに関して言えば、ウェリルの店もなかなかだろう。
大体の固定商店はフリージアの大きな店と定期的な契約を結んでいるので、基本的なポーション類や乾包と呼ばれる乾燥薬草類は一通りは揃えているものだ。
ならばどこで差をつけるのか、というと、地元の命薬職人のものとかになる。
それらは効果が高かったりもするが、その分数が少なく、お値段もそこそこお高い。
ウェリルではとある婆さんのポーションや乾包が特色となるのだが、それをわざわざ買い求めるために来るのはフリージアの大きな商店。
個人の冒険者や商人はわざわざそのためにここまで足を運ばないので、これもウェリル村が小さい村のままである理由のひとつでもある。
「麻痺消しポーションや毒消しポーションは良いものだったけれど、今すぐ必要じゃないのが残念ね……」
彼女の言う通り、それらの材料となる薬草がここらには豊富に生えているものの、毒持ちや麻痺持ちの魔獣がそもそもこの辺りには居ないので、需要も少ないのである。
せいぜい、触れたら毒や麻痺作用のある薬草を採りに行く時に念のため用意するくらいだし、そもそも現地で買わずとも冒険者ならば一本くらいは持ち歩いているものである。長い賞味期限がたまたま切れて買い足すとかならともかくね。
けどそういう薬草採取の依頼はウェリルでは件の命薬職人の婆さん、リジーおばばの依頼くらいしかない。
なので、それらのポーションは一応は店には置いてあるものの、ほとんどはまとめてフリージアから買い付けに来ている商人が買って行くことになるそうだ。
「まぁ、この辺りは特殊な魔獣も居ませんしね。それでレベッカさん、後行きたいお店とかはありますか?」
とりあえずサクッと次の買い物に行きたかったので水を向けると、彼女は武具、服飾、装飾品の店が見たい、と話した。
ここから一番近いのが武具商店だったのでそちらからまわろうと提案したところ、快く了承してくれた。
目指すのは『ケセラの武具商店』。
ケセラさんは女性で、こちらも夫婦でやっている店だが、主に店番は息子のトール君、仕入れなどは奥さんのケセラさん、と担当があるようだ。
扱っている商品には間違いがなく、旦那であるショウタさんの作った武具も置いてある。
ショウタさんは分かりやすく職人で頑固親父だが、作り出す武具は中々のもの。
それを奥さんのケセラさんが売買をして店が成り立っているのだが、パルチザン国の他の職人たちのものも当然のように置いてある。
武具職人はほとんどがパルチザン国内に住んでいるため、職人が村に居るのは珍しいことなのだそうだ。
私たちはショウタさんが居るのが普通となってしまっているので包丁やらノコギリやら鉄の刃物はショウタさんが作っていたりもするのだが、普通、小さい村にはそういうこともないそうなので、レベッカさんに話したら驚かれた。
通常、そう言ったものは主に必具商店が売買するのだそうな。
まぁそりゃそうですよね。
「一応うちの村の必具商店にもそういったものは置いてはあるんですけど、ショウタさんの作ったものってとても使いやすいんですよ。手に馴染むというか。なので、ちょっとお高いんですが、料理をする人たちは必ず一本はショウタさんの包丁を持ってますね」
まぁ言うなればオーダーメイド包丁なので、使いやすいのは当たり前である。
基本的には料理は女性男性関係なく得意な方がするものなので、その人に合わせた包丁をオーダーするため、一家に一本どころか2、3本あるのも珍しくはない。
ちなみに私も一本持っているが、当然それは家の台所に置いてあるよ。




