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改装工事中。  作者: 鳩浦 雪兎
澄んだ空気の朝に。
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2

 二人で朝食を食べた後、母さんはこれから私のために色々と準備をしてくれるようだった。

 毎年、母さんは私の誕生日には、特別に木の実たっぷりのパウンドケーキと手羽元の煮込みを作ってくれる。私の大好物だから。

 家事は母の仕事でもあるので、私は手伝うことはあれど、母の邪魔はすることはない。

 だからって、遊んでるわけではないし、出来ない訳ではないからね?


「行ってきます」

「行ってらっしゃい! 気をつけて行くのよ」


 15になった私は、いつもの様にリュックを背負い、ブーツを履くと、商工ギルドへと向かった。基本的に、アースガイアは室内は土足厳禁社会なのだ。そのかわり、土間で室内履きに履き替えるので、裸足でうろうろすることもないが。

 この頭の後ろから腰まである大きな、まるで地球の登山用の無骨なリュックは、私の12歳の誕生日に貰った大事な相棒である。


 さぁて、そろそろ秋も残すところあと一月ほど。貴重な季節の今が、小遣いの稼ぎどきだ。

 まだ7刻半(こくはん)、朝の6時頃だが、今日は目当ての依頼を確認するために早めにギルドに向かわないと。


 1(こく)は大体1時間と同じ。1(にち)は30(こく)からなっている。

 1刻がだいたい1時間くらいだからややこしいけど、30刻は0刻とも言って真夜中、15刻は正午。


 私には父が昔、誕生日にと買ってくれたゴツい腕時計があるのだけれど、これの文字盤は地球のそれとほぼ同じで、ただし15にわけられている。その数字と数字の間には点が3つうってある。

 赤い短針が刻をあらわし、青い長針が分をあらわす。

 黒い中針(ちゅうしん)が一つの数字を移動するのに4秒かかるので、秒針となり、一周すると青い長針が点ひとつ進む。

 ややこしいけれど、まぁ慣れればなんてことはないです。


 西部劇の酒場のような外観のギルドへと入ると、今日も今日とて賑やかであった。

 小さな町のギルドだけど、中に居るのは顔見知りの冒険者とギルド員の他に、見慣れぬ冒険者たちもちらほら見かけた。

 この季節には、ウェリルに一攫千金を夢見て訪れる冒険者が増える。


 ウェリルの周辺にはナッツボアという珍しい魔獣がまれに町の北の方に出没する。ナッツボアは強さはDランクの魔獣ではあるが、その肉が非常に美味で、高級品なのである。

 肉を売れば価格がなんと1タムで金貨1枚。キロ10万円ですよ、10万円。

 小さいナッツボアでも100タム、つまり100kgはあるから、一体狩ることが出来れば肉だけでいきなり金板10枚、地球で言えば一千万円だ。


 通貨の価値としては、1枚の価値がだいたい

 銅貨(どうか)=10円、

 銅板(どうばん)=100円、

 銀貨(ぎんか)=1000円、

 銀板(ぎんばん)=1万円、

 金貨(きんか)=10万円、

 金板(きんばん)=100万円、となる。


 家にあった魔獣生息全集によると、ナッツボアはどうもウェリル周辺になっている木の実が好物らしく、本来の生息地の北の山からこの時だけ下りてくるのだという。

 だからこそ、秋口から秋の終わりにかけての今の季節だけ、物好きな冒険者や商人が立ち寄る。


 ただし、本当に出るのはまれで、一年に3体狩れれば儲けものくらい。

 ちなみに、私もまだ狩れていない。

 だからこそ、ここで夢を見るのは本当に物好きな冒険者くらい。そしてあわよくば精神の雇われ行商人とかもこの季節に合わせて来てくれるので、いつもより賑やかだな、くらいなのだ。


 しかしそのおかげで一攫千金を狙った冒険者が立ち寄ってそのまま滞在したり、結局居心地も悪くなく、ある程度生活するのには困らないため、住み着いたりする。

 そんなこんなで町の体裁は保っているものの、特筆すべきものがそれくらいしかないので、私の生まれた町ウェリルは相も変わらず小さいままだ。

 ……もうちょっと頑張れ、皆。


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