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「受付中に失礼致しました。先ほど持ち込まれた方ですね? 解体屋を営んでおります、フェオル=リンデと申します」
「ご丁寧にありがとうございます。ミレイ=シュライクです」
ギルドカードを提出しているので本名を名乗らざるを得ないけれど、ミレイって名前は男女両方つけられるからそこは問題ない。
商工ギルドの書類を調べられたらバレるけどね。そこまでする人もそうそう居ないだろう。
「僕はハンス=リンデ。名前まで美しいだろう?」
……うん、この人はひとまず放っておこう。
「それにしても、あなたの狩りは豪快ですね。解体は楽ですけど、首を一刀両断ですか。ウルフ種はEランクとは言えそこそこ素早いですのに。若そうですけれど、もうDランクくらいなのですか?」
「いえ、登録したばかりなのでまだFランクなんです」
地元で登録してすぐに王都に来る冒険者も多い。
都に憧れて出てくる人も居るし、チームをまだ組めていない人は都の方が見つけやすいからね。
「Fなんですか?! それは、また、その……頑張ってくださいね。魔獣には慎重に対応するのですよ?」
……ただ、流石にEランクくらいにはなってからが普通だから、フェオルさんのこの反応は普通。
Fランクで王都に来る冒険者なんて、調子に乗った若者か、保護者についてきた子どもくらいだもの。
元々王都の出身なら、解体屋のフェオルさんが知らない訳がないものね。
「えぇと……その、考えているようなことではなくて単に登録してすぐにマギに流れてきただけなんですけど、頑張ります」
それで理解したのか、フェオルさんの顔のこわばりがほどけた。
マギへの流れ者……要は引っ越してきたのだと思ったのだろう。
アースガイアでは町から町へ移動する人間のことを流れ者といい、悪い意味でも良い意味でも使われる。
「あぁ、そうだったのですね。応援していますよ。たくさん魔獣を持ち込んでくださいね。ただ、慣れないうちは深追いは禁物ですよ」
アースガイアの人間なら魔獣を倒してくれる人は大歓迎だものね。
コレクター気質のある私としては素材も欲しいし、安全のためにも頑張って狩りますよ。
受付が終わると25刻くらいだったが、そのまま隣の商工ギルドへと移動した。
商工ギルドも30刻営業だから、深夜でも入ることは出来る。深夜に依頼しに来る人は少ないとはいえ、ゼロではないからね。
マギに着いた時にも解析で見ておいたけれど、木板にはまだシルバーウルフの毛皮素材依頼があった。
1枚につき質により銀板1枚から銀板1枚と銀貨5枚、納品は20枚まで。
ゴールドじゃないし、これくらいが相場かな。解体屋の買い取りだと銀板1枚だもんね。
解体したら3枚の毛皮が入ることになるから、それまで残って……ないですよね。まぁ残ってたら売ろう。
残ってなかったらその時はその時で、運がなかったんだと思って諦めよう。五割増しはなかなかないと思うから出来れば売っておきたいけどね。
シルバーウルフならまだほっ君の中にも20体あるし、この辺りにも生息しているからまた狩っても良いし。それを解体してもらえば素材の在庫にはなるし。
ブロンズウルフの方は特にないみたいだね。
こっちは割と良く狩られるから依頼も多くないのかもしれない。
私のような商人見習いならともかく、冒険者なら余った素材は武術ギルドに引き取りしてもらうことが多いし、そのまま武術ギルドから商工ギルドの倉庫に売られるからね。




