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改装工事中。  作者: 鳩浦 雪兎
改装工事中
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 23刻頃にはマギに戻り、物車商店にクゥラを預けなおした。

 割符を出したら、ちゃんと銀貨3枚を返して貰えたよ。

 その時に荷台に魔獣の死体があることを伝えると、荷車の貸し出しもやっているとのこと。

 馬車で王都内を移動すると罰金として金貨1枚を取られてしまうが、人力で引く荷車は禁止されていない。

 ビッグラッド10体とブラウンウルフ5体とシルバーウルフ3体なら、小型荷車に載せることが出来るのだが、物車商店でお願いすると料金は銀貨5枚だ。

 これはほぼ運搬料金で、解体屋まで運んでくれる。大きさが変われば当然荷車を動かす人も増えるので料金も高くなるよ。


 他の用途に使う時は、小型なら荷車代金の担保として銀板3枚が必要になる。荷車の返却時に銀板2枚と銀貨5枚は返金してくれるけどね。

 たまに返却を忘れる人もいるんだよねぇ。


 数体くらいなら手で解体屋まで持って行く人もいるけれど、それは大体駆け出しの武術ギルド員が近場で小型の魔獣を狩った時くらいだ。

 一般ランクのチームがアイテムボックスに入れて行くこともゼロではないけれど、そちらも容量制限が50タム程度なので入れていても1体くらいだし。

 私も世間に(なら)って荷車を使うよ。


 物車商店から荷車を貸し出してもらって、それに魔獣を積み込んでもらった。

 運び人として紹介されたのはナタリーさんというマギ出身の女性でした。

 一瞬私の性別がバレたかと思ったけれど、サインはレイ=カトルでしてるし、そういえば女性の運び人も珍しいことではないのだった。

 これは前世のイメージに引っ張られてるかもしれないね。実際、男性の方が力強いのは事実だけど。


 ナタリーさんからマギのオススメグルメを聞きながら半刻ほどゆったり歩いていると、解体屋にたどり着いた。

 屋根台(やねだい)の焼きレダ(リンゴ)ミマシュ(バター)が美味しいらしいから今度行ってみようかな。

「じゃあ私は裏の解体倉庫に直接置きに行くから。受付にこの紙を渡して来ておくれね」

「わかりました」

 渡されたのは魔獣の死体の内訳と、マギの物車商店を通しているという証明を記した紙。

 これを受付に持っていけばスムーズに解体してくれるらしい。

 やっぱり人間は利便性を求める生き物なんだねぇ。


 解体屋の扉を開けて中に入ると、ウェリルとは違って、少し広い待合室がある。

 今は24刻前、地球での時間なら19時頃だから、ちょうど解体依頼ラッシュは収まる頃合いだったのだろう。

 私の他に客は誰も居なかった。


 待合室の奥には横に長いカウンターがあり、その真ん中にはまだ若いだろう男性が座っている。

 その左右には少し間を開けて置かれた空の椅子が3つずつ見えるから、おそらくラッシュ時には受付の人が座っていたのだろう。


 唯一受付に残っていた男性が、私に気づいてこちらへ笑顔を向けた。

 何故だろう。

 あの人から、何だか得体の知れないオーラを感じる。私の勘が、あれはヤバい、と告げている。

 が、しかし、他に受付も居なさそうなので、私は仕方なくその男性に声をかけた。

「すみません、解体をお願い出来ますか?」

 近づいて紙を見せながら話しかけると、お兄さんは白い歯をキラリと輝かせ、笑顔を向けてきた。

「おや、この美しい僕の受付を選ぶなんて! お目が高いねっ君っ!」


 ……いや、他の受付居ないからね? 選ぶも何もないからね?

 てかキラッって擬音がつきそうなその笑顔で右手で髪をかきあげて、こちらに左手を出す大袈裟なポージングはやめてくれ。何かがゴリゴリと削られる音がする。

 ……腹立たしいほど様になってるけど。凄く認めたくはないけれど。

 ……そして今、聞き逃しそうになったけども。

 美しい僕、って言ったか? 言ったよな?


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