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中はそんなに暗くなかった。
周りに生えている苔が淡い色ではあるが、強烈に光っている。まるで蛍だ。
「光り苔か。助かった……探索能力で地形はわかるけど、明かりになるようなものもなかったしなぁ。マギに戻ったらちゃんとライトの魔生石とかファイアの魔生石を準備しなきゃ」
独り言を呟きながら光り苔をたっぷりと採取し、持っていたガラス瓶の一つに入れておいた。
これはランタンみたいに光って便利だ。
……何も居ないのはわかってるけど、ついつい独り言が出てしまう。
うん。気にしたら負けだな!
探索能力さんによれば、この先300ミーダくらいのところに鉱石が埋まっているらしい。
探索能力さんと解析能力さんは意識しなくても協力してくれるから助かるね。
普段は生体反応を主に見つけるように意識しているけれど、鉱石類を意識して探索地図を切り替えた。
クゥラさんの付近だけはもちろん別にしてあるけどね。
「この辺かな?」
探索能力さんと解析能力さんによれば、この辺りには金が埋まっているようだ。
気合いを入れて周囲5ミーダに錬成をすると、親指ほどの金が集まった。
銀のスポットも見つけたので同様に錬成すると、これも同じだけの量が集まった。
「うん、上等上等。しっかし、この洞窟、まるでアリの巣だな、これ。探索能力さんと解析能力さんがあって本当に良かったよ。もうちょい先にも鉄鉱石が残ってるみたいだね」
銅と鉄鉱石は大量に手に入れることが出来た。
一つ一つは小さかったけれど、集めれば意外と残ってるもんだね。
アリの巣のような道の最奥にはまだ何かあるらしいし、意外と廃坑も捨てたもんじゃない。
「突き当たりまで来ちゃったけれど……この奥にも、水晶脈がある、だと?」
解析能力さんを疑うことなど私がする訳もなく、嬉々として壁を崩れないように錬成し、横2ミーダ、奥行き20ミーダの穴を開けた。
穴を進んだら、そこは、透明な水晶、水晶、水晶の大群でした。
更に奥では紫の色つき水晶も発見したので、ありがたくすべていただきました。
あ、終わったあとには、ちゃんと崩れないように周りを錬成でかたくしておいたよ。そのままだと穴ぼこだらけで危ないからね。
結果として集めたのは、金、銀が手のひらほど、銅が60タムほど。
それから紫水晶が2タムほどと白水晶が150タムほど。それから鉄180タムほどだった。
……水晶はもうたくさんあるねぇ。原石売るだけでもひと財産ですよ。
加工してから売るけどなっ!
思わぬ大収穫をした私は、意気揚々と入り口に戻っていった。
「ただいま、クゥラ! じゃあ、また王都に向かおうか」
私が戻ると、彼女は嬉しそうに嘶いた。
まだわずかな時間しかともに歩いていない相棒だけど、不思議とずっと一緒にいたかのように感じる。
私の命を預ける相棒。いつか、クゥラもそう思ってくれたら良いな。
クゥラさんはどうせまだ、美味しい薬草をくれる人間、程度の認識しかないんだろうけどさ。
「あ、クゥラ、この辺りで少し待ってて」
ほんの数分マギへの道を引き返したところで、私はクゥラに声をかけた。
マギに戻るんじゃなかったの? と少し不満げなクゥラさんを街道のすぐそばの木に繋ぎ、山道を少し外れて木々の中に分け入る。
そもそも魔獣をマギに持ち込んで解体してもらうのも目的のひとつだ。
流石にここでほっ君の中にある魔獣の死体を全部を積む訳にはいかないけれど、ある程度はマギでさばいておきたい。
肉とか毛皮はこれから必要になってくるだろうからね。




