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しかし、ふたの部分は開いている状態で展示してあったのが私には僥倖だった。
探索や解析だとね、モノの色ってわからないんですよ……。
しかし、無用心ではなかろうか。いや、私には有難いんだけどさ。
見た感じ、使われている魔生石の色はメタリックな銀色。空の魔生石にはない目をさすような光沢を放っている。
……うーん、純鉄でも似せたものは作れそうだな。
解析でも確認したところ、これはしっかりと本物で、やはり回数制限はなかった。
あと、この案内してくれた人によると容量は50タムほどって言われたけど、解析によれば、これは64タム入る魔生石だった。
ウルフ系統なら一体入れたら満杯だな。
うん、よし、あれならゴールドウルフの毛皮があれば、何とかほっ君の目眩ましが作れそう。
ゴールドウルフの毛皮を手に入れたらすぐに作るか。
「ありがとうございました。ただ、今回は見送りにしておきます」
「左様でございますか。ご購入を検討される際には是非ぜひとも我が商店にご一報を。またのご来店を心よりお待ちしております」
わざわざアイテムボックスのある部屋へ案内をしていただいた男性店員に礼をし、ようやく私は魔法商人の店をあとにした。
西側の物車商店で銀貨3枚を支払い、後でまた預けに来ると伝えると、証明の割符をもらった。
木で出来た札に文字を書いて割る『割符』は原始的だけどとても効率的な方法だな。
クゥラを引き取ってから西門を出ようとすると、門番に引き留められた。
「君、さっきもここを通ったよね? これからウェリルに向かうのかい?」
「あ、いえ、この辺りのビッグラッドとかウルフを狩りに行こうと思っているんですけど」
そう答えれば、門番はあからさまにほっとしたようだ。
「そうか。危険魔獣の情報があったから、あまり深くまで入らないようにな。まぁ魔獣は北に移動しているようだが、油断は禁物だからな」
「わかりました。ありがとうございます」
流石に西方面への移動は警戒しているのかな。
北に移動しているって情報も最初に父さんたちと交戦しただろう場所からアデルさんたちが目撃した場所が更に北だったから、そこからの推測なだけで、絶対じゃないしね。
元来た道をのんびりと進みながら、なんとなくクゥラに話しかけてみた。
「クゥラ、これからは2人旅だよ。これからよろしくね」
すると、クゥラはこちらをチラリと見て、まるで「私にまかせなさい」とでも言うように嘶いなないた。
うん、クゥラは人間の言葉わかってるんじゃないかな、これ。
「頼もしいね。楽しい旅になると良いなぁ」
問いかけると、クゥラはまるで「私が居るのに楽しくない訳がないでしょ」とでも言うかのように鼻を鳴らした。
……やっぱり人間の言葉、わかってるよね、クゥラさん。
まぁ私は例え通じてなくても話しかけるけどね!
馬車をひいてるにも関わらず、クゥラは速かった。
人が歩く速度なんて比ではなく、見たところクゥラは軽く走る程度なのに、たぶん自転車に乗ってるくらいのスピードは出てる。
おかげで1刻以上はかかると思った道のりが、半分もかからずたどり着けてしまった。
道の脇には頑丈な鉄で出来た立て札があり、行き先がふたつに分かれている。
立て札には少し錆が浮いてはいるが、まだ現役のようだ。
片方は当然ウェリルに向かう道で、もう片方は『この先、ミンダス洞窟。魔獣に注意。』と書いてある。
魔獣注意と書いてあるのは、洞窟などには魔獣が巣を作ることもあるからだ。
探索をしてみると、幸い今はこの辺りには魔獣の反応はない。
さて、残り物はあるかな?
ミンダス洞窟はもともと貴石の発掘用として掘られた坑道で、昔はここでも貴重な金や銀、水晶などが採れたらしいが、ある程度採り尽くしたところで掘り進むのをやめたと聞いている。
遺跡の発見のせいだ。




