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「まいどありぃ!」
結局買ったのは、銅板8枚のクレープみたいなもの。
クレープといっても、中身は肉と野菜であり結構食べごたえがありそうだ。
ちょっとお高めではあるけれど、王都価格ということで許そう。
立ち食いしてても怒られるようなこともないので、私はカラフルな街を見ながら買ったクレープにかじりついた。
食べ終えてから魔法商店に入ると、白いクロスの敷かれた丸テーブルの上に、色とりどりの魔生石が乗っていた。
よく解析で見てみると、これらは単なるガラス玉の表面に色を塗ったもののようだ。まぁ本物はこんな無造作に置かないよね。ディスプレイってわけだ。
ガラスケースは高いけど、それは魔法の分だからね。素材のガラスだけならそんなに高くはない。
ウェリルの装飾商店ではそもそも見本品もなかったよ。ダルトンさんにどの魔生石が欲しいって伝えるくらい。
用途さえわかれば合ったものを持ってきてくれるからね。
「何かお探しですか?」
しげしげとガラス玉を見ていると、メガネをかけた中年の男に声をかけられた。立ち居振舞いから、ここの店員だろう。
「あ、ファイアの魔生石をさがしているんですが……」
キョロキョロと周りを見渡すも、何故かファイアの魔生石の見本は見当たらない。他のものは沢山あるのに。
「申し訳ございません、ただ今ファイアは切らしておりまして」
ありゃ、タイミングが悪かったのか。何処かの料理屋とかで注文でも入ったのかな?
「そうなんですか。いつ入りますか?」
「そうですね……多分、午後には入荷すると思います。この王都には火属性持ちが多いですから」
午後か……うーん、どうしようかね。
「そうですか。ちなみにおいくらですか?」
「私どもの店では、1つ銀板2枚で取り扱っております」
たかっ! 私の町じゃ銀板1枚だったのに倍だよ……。
やっぱり、王都だけあって、質が高い魔生石でも使っているのだろうか。
それとも、マギの魔法持ちが込めたら使用回数も田舎に回るものより多いのかもしれない。
そしたら買う回数は少なくなるから、単価高く出して利益得てるとかなのかな。
一度買ってしまえば、魔生石の質が良ければその分長く使えるもんね。
ファイアの依頼なら1つ銀貨1枚プラス依頼料ですむから、やっぱり依頼しよう。
タダでは帰りたくなかったので、アイテムボックスを少し見させていただいた。アイテムボックスは、魔法商人の管轄なのです。
奥の部屋でガラスケース越しに見せられたアイテムボックスは、最低量入る50タムのものだと言われた。
幅10セル、奥行き6セル、高さ8セルの本当に小さなポーチのような黒い袋で、丈夫で水に強いブラックウルフの毛皮素材で作られているようだ。
素材はさまざまであるが、普通はアイテムボックスといえばこの大きさで、丈夫な魔獣の毛皮を使って作られるとのこと。これは事前情報通りだな。
飾られているアイテムボックスはブラックウルフなので金貨8枚だが、この店では普段はゴールドウルフの毛皮で作られているようだ。
……残念ながら現在は店に在庫はないが、ゴールドウルフはDランクなので、それならば金貨6枚程度とのことです。
明日には2つ入荷すると言われたけれど。うん。それでも私には買えません。
ゴールドウルフは、このあたりでも良く見かける狼型の魔獣で、毛並みは艶のある茶色。ブラウンウルフよりも黄色く、どちらかというと栗毛に近い体毛、それから赤みがかった茶色の瞳を持っている。
ブラックウルフはランクはCと並み程度だが、はじまりの神殿周辺の森にしか確認されておらず、見かける個体数も少ないため、とても高級な素材である。
はじまりの神殿は、この世界ではじめての人間が生まれたとされる場所にある神殿で、このアースガイアをつくったとされる女神様を祀っているところ。マギからずっと東にあって、馬車でも6日ほどかかります。




