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その後は特に何事もなく、予定よりも少し早く1日目の野営予定地にたどり着いた。
「少し早いが、あと数刻で日も暮れる。今日はここまでとしよう」
マギへと急ぐという案もあった。
馬車の音は目立つから魔獣も警戒して近寄ってこないため、街道には基本的に魔獣は寄りつかないというのが一般常識だから。
ただ、流石に夜間の移動は危険過ぎるので予定通りにすることにしたのだ。
普通は目立つものは獲物認定されるんじゃ? と思われるかもしれないが、馬車というものは基本的に1人乗りするようなものじゃないからね。
馬車が走っているということは、周りには屈強な護衛も居るということ。
本能なのか、それとも先祖から受け継がれてきている知識なのかは知らないが、ヒトの群れに手を出すと怪我もしやすいし、そもそもヒトの肉は魔獣にとってはあまり美味しくないらしく、魔獣にやられたヒトたちも遺体を荒らされることはあっても食べられることは少ない。
食べられないヒトを狩るよりも他の魔獣を狩った方が良いという認識なのだろう。
そのおかげで馬車で移動する方が安全だということもあるのだけれど、もちろん100%安全な訳はない。例外はどこにでもあるものだよね。
野営地は遥か昔にウェリルが開拓された当時に切り開かれたと言われる広間だ。
特に何もない開けた場所だが、この街道を通る人々はこの野営地を利用することが暗黙のルールのようになっている。
流石に今の時期にはマギからの訪問者は居なかったらしく、他には誰も居なかった。
棘花のメンバーが持っていたテントを2つ張る間、私はレベッカさんとちょうど良さげな枝を集め、借り受けたファイアの魔生石で火を熾した。
昼飯は簡単に済ませたので、夕飯はしっかりと食べるために鍋で干し肉のソルパを作った。
護衛依頼では基本的には食糧は各自用意するものだが、食事は持ち寄りで作るのが一般的だ。
これはアースガイアの人間性の表れだろうな。
クゥラに食事をさせる時にはちょうど死角も出来たので、ついでにシールドの魔生石を作っておいた。
その後は就寝となったのだけど、レベッカさんたち女性陣のテントにお邪魔したよ。
火は既に消してあるのでウォームエアの魔生石の出番だ。火、というよりも明かりは魔獣を引き寄せてしまうことがあるからね。
棘花でシールドとライトウォールの魔生石を2つずつ持っていたので、それをテント2つの範囲に1つと、クゥラの馬車に1つ張ってもらえた。
魔生石の魔法切れ対策として、いつもは交互に使用しているらしい。
各属性の『ウォール』系魔法は、一般的には箱状の結界を作り出す魔法。
その中でも光魔法の『ライトウォール』はその性質上なのか、中から外をはっきりと見ることが出来て静かなので、重宝される。
ウォール系魔法は受けた衝撃が魔法によるものであれば例えドラゴンの一撃でも耐えられると言われているので、野営によく使われるのだ。
魔獣は基本的に魔法を使わないけど、ドラゴンだけは火を吹いたり氷を吐いたりと魔法を使うらしい。ドラゴンブレスってやつだな。ロマンである。
まぁそもそもそんなのに出会ったらほぼ命はないので、どちらかといえばこれは野盗対策なのかな。
ウォール系魔法は外からの魔法攻撃は外に弾くが、中からの攻撃、例えば中の人が魔法を放ったりする場合は、結界の外に弾き出されてしまう。力のベクトルが内側から外に出てるんだろうね。
大体どの魔法を受けても一撃から10回までしかもたないので注意しないといけない。
複数個持ってれば良いけど、結界張り直しにも魔生石のインターバルがあるからね。




