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黒雪伝説・湯煙情緒  作者: あしゅ
3/13

黒雪伝説・湯煙情緒 3

待望の春がそこまでやってきていた。

黒雪は、大臣たちを集めて会議を開いた。

 

「道路建設は東国側の協力もあって、今年中には目途が立つでしょう。

 次の策は、荒野に冬季用の城と街を作る事です。

 今のこの城の場所は、雪に埋もれてしまいます。

 その間、すべてが停滞してしまうのです。

 それでは国力を伸ばせません。

 しかし国土の形状を考えると、この場所に本拠地が必要です。

 よって、ここは春夏秋用として、冬場のみ閉鎖にしましょう。」

 

大臣たちが、うなずきながらも反論する。

「それは我々も考えておりました。

 しかし実現には莫大な費用が掛かります。」

 

「工事には、東国の職人も入れましょう。

 東国にとっては雇用の促進になるので

 私の父にもいくばくか用立ててくれるよう、交渉します。」

 

会場は小さく歓声が上がった。

大国と繋がりができるというのは、こんなにもメリットがあるのか!

驚きとともに、閉鎖的だった時代を悔やんだ。

 

 

「だけどそれだけでは、工事費用はまかなえません。

 そこで私は別動で、資源を探してみます。」

「資源?」

 

「ええ。 この広い大地には、絶対に地下資源が眠っているはずです。

 学者たちにも協力してもらって、それらを探します。」

「その資金はどうするんですか?」

「私の持参金を使います。」

 

「ちょっと待ちなさい。」

口を挟んだのは王であった。

「そなたの持参金は、国庫に入った。

 もう使い道は決まっておる。」

 

 

「城の者の衣服や装飾品等ですね?」

王子が書類を手に立ち上がった。

 

「申し訳ありませんが、しばらく皆、辛抱してください。

 他国に助けてもらいながら、贅沢な暮らしをしようなど

 失礼というものですよ。」

 

王が明らかにムッとしている。

「あ、じゃあ、捜索は私と少人数でいたしますわ。」

黒雪が手を上げた。

 

「あと、私のドレスは作らないでくださいね。

 もう充分に持っておりますし、正直似合いませんしね。」

あはは、と笑う黒雪に、会場がなごむ。

 

 

「大国の姫など、どんな鼻持ちならないお姫さまかと思っていたら

 気さくな良いお方ではないか。」

「ああ、さすがうちの自慢の王子様がお選びになっただけある。」

 

大臣たちが喜んでいる中、王だけがムッツリとしていた。

王子と王子の妃が、どんどん物事を決めていくのが気に入らないようだ。

 

これが “老害” というやつか。

 

 


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