プロローグ
第二章。
誰か助けて欲しい。
オレの見上げる空は、壁に挟まれて薄暗く、道の形に狭められていた。
とても窮屈な蒼穹に祈ったよ。
日が天頂に来れば、隅まで照らして、そこで初めてオレは生きている実感が湧く。
太陽は自由の象徴で、唯一の宝物なんだ。
でも、太陽はオレ一人のモノじゃない。
常にみんなに平等だ。
オレ一人を見てはくれない。
もし叶うなら。
太陽みたいに温かくて。
オレを狭い路地裏から連れ出して。
世界を照らしてくれる人。
そして。
オレは日の沈む街で“彼”に出会った。
私の敵は何処にいる。
虐げられし無辜の民を救うべく、我が剣は振るわれる。
それを己の光と信じて。
悪鬼の返り血で身を穢そうとも、剣よりも曇らぬ心の刃を以て戦野を馳せよ。
悪が存在すれば、私は正義として生きられる。
だが、いつからだろう。
自らの正義を疑うようになったのは。
曇りなき刃を、血錆が蝕み始めたのは。
だからこそ。
私は仕えるべき主を得るまで。
向かうべき敵を示す王が現れるまで。
穢れた正義の剣を折ろう。
救済を待つ私に、銀の戦乙女は微笑んだ。
次回へ続く