その壱:カップラーメン
一回目。たわいもない話です。
今晩の食事
・ご飯
・大根と大根の葉っぱの味噌汁
・アジの開きに大根おろし添え
・自家製ぬか漬け…胡瓜
「時に兄者。」
「なんだ唐突に?」
「今日、私学校が創立記念日で休みだったの。」
「ああ、何か出社する前そんなこと言ってたなぁ。」
「んで、朝から洗濯と掃除済ませてお昼前になったから買い物行ったの。」
「たまには友達と遊んで来てもいいんだぞ。」
「うーん、最近雨続きだったから洗濯物もたまってるし…。アイロンがけとかも溜まってたから今日は用事があって行けないって言ってたの。」
「それは…、すまない。」
「いや、そういう事じゃなくって!」
「アッ、ハイ。」
「お昼ご飯どうしうようかなーって思ってたんだけど、昨日の余りものが無かったんだよね。」
「そういや昨日は焼きそばだったな。」
「朝の味噌汁も無かったし、ご飯もキレイに無くなってたし。」
「お前きっちり分量計って作ったのかっていうくらいキッチリ人数分作るよな。それは尊敬するわ。」
「だから菓子パンで良いかなって思ってスーパー行ったんだよね。」
「弁当かなんかあるだろ、そこは…。」
「そこで見つけたの!!」
「うおっ!?」
「普段200円以上するカップ麺が半額のセールをしていたのを!」
「…いや、そこは驚くことか?」
「半額よ半額!!」
「う、うーん?」
「これはなかなかの贅沢!私へのご褒美かっていうくらいのものだったの!」
「…何かゴメン。」
「これはお得だと思ってこれをお昼ご飯にしようと思って買っていったの。」
「ほうほう。」
「家に帰って、ポットを見たら…。」
「うん。」
「お湯が無かったの。」
「すまん。家には電動ケトルが無いんだ。」
「いや、それはいいの。」
「うん。」
「で、お湯を沸かし始めたの。そしたら時間がかかるかかる。」
「まあ、やかんで沸かすからな。」
「だいたい5分くらいかな。ようやく沸いて、さあ袋の粉末スープとかやくをいれて後はお湯を注ぐだけだと思ったら!」
「ほうほう。」
「かやくは先に入れて、出来上がったら液体スープの素を入れてくださいって書いてあったの!」
「あー、最近そんなのが多いよな。」
「全部先に入れたら駄目なのって思ったけど、説明書き通りにしたの。」
「ふむ。正しい判断だな。全部入れると得体の知れないものになるからな。」
「さあ、後は待つだけだと思って説明書きを読んだら。」
「読んだら?」
「4分待ってくださいって書いてあったの!」
「ん?」
「4分て何だーって、4分て!普通はカップ麺は3分じゃないの!何でそんな中途半端な時間なのよ!」
「そりゃあ、麺の種類にもよるだろうけど。最近は5分とかも結構多いし。」
「5分なら解る。家のキッチンタイマーは3分と5分と10分の3つだから。」
「カップ麺とパスタの湯で時間とカレーの煮込む時間かな?」
「そう。そうやって分けてるの。でも4分よ、4分!3分のを1分増やしてリセットして3分に戻すか、5分のをリセットして4分にして後で5分に戻すか。これは悩みどころよ。」
「そこは臨機応変に…。」
「で、結局3分のを4分にしたのよ。」
「まあ、解らんでもない。」
「それで、やっと出来上がったカップ麺。後入れ液体スープを入れて混ぜて完成。そして一口すすったの。」
「そしたら?」
「まあ、出来上がったものを見たら予測は付いたけど…。」
「うん?」
「醤油と胡椒の辛さが酷くてなんじゃこりゃあってなったの!」
「大体何か解ったから名前は言うなよ?」
「合計して約10分待った結果がこれだよ!残念だよ!」
「それは人それぞれの好みなんだから。」
「でも捨てるのは勿体ないから全部完食したのよ。」
「それは、スープは残してもいいやつだぞ?つーか完食するなよ!」
「もうのどが渇いて乾いて…。2度と買わないと誓ったわ。」
「でもカップ麺自体スープまで飲み干さない人の方が多いと思うぞ?」
「そこで気づいたのよ。」
「何に?」
「袋めんのほうが手軽で安くて良いんじゃないかって。」
「え?カップ麺だったら洗うのは箸だけだから楽じゃないの?」
「甘いわね。カップ麺だったら、まずお湯を沸かす時間が発生する。」
「ふむ。」
「更に出来上がりまで待つ時間が発生する。」
「うん?」
「でもって、ややこしい手順をこなさなければならない。」
「まあ最近、蓋の上で温めてくださいとか後入れ式のスープとかあるけどな。」
「で、何々監修とか書いてて高いのが多い。」
「流行りだからな。そこは勘弁してやってくれ。」
「そういうのに限って不味い。私が今日食べたのもそんな感じだった!」
「そこは人それぞれの味覚だろ。」
「でも、昔ながらの袋めんは違う。」
「どこが?」
「鍋に水を張り、沸いたと同時に麺を投入。柔らかくなったら粉末スープを入れて完成。好みによっては煮込むのもよし。卵を入れるのも良し。」
「でも、丼に移さなきゃダメだろ。」
「甘いわね兄者。袋めんの良さは。」
「良さは?」
「作った鍋が丼代わりになるのよ!」
「そこは丼に移せよ!どっかの漫画で見た寂しい光景になるだろ!」
「ふっ。麺を食べ終えたころに鍋は冷めていて、そこからスープを飲める。割りばしなら洗ってまた使えるし、洗い物も鍋だけ。おまけにただ待つんじゃなくて同時に作れる。これこそ偉大な先人たちが生み出した最高の簡易食品よ!」
「いやいや、女子高生が鍋から直接ラーメン食うってどうなの?」
「兄者は幻想を見すぎ。」
「ア、ハイ。」
「ともかく、カップ麺にしろ袋めんにしろ長く愛されている物の方が美味しいと私は思う訳。」
「それは解る気がする。だが、インスタント食品ってうちであんまり出たことないぞ?」
「…やっぱり、手作りのほうが食べてもらって嬉しいから…。」
「…ありがとう。今日の味噌汁すげーうまいな。」
「あ、解る?いつものと出汁を変えてみたの。」
「へー、出汁一つでこんなにかわるもんだなあ。」
「兄者は頑張って働いているから、やっぱり美味しいものをと思って…。」
「…うん。やっぱり久美の料理が一番俺には合っている。」
「(テレテレ)」
~兄妹食事中~
「ごちそうさまでした。」
「はい、お粗末様でした。」
「あ、タバコ吸っていい?」
「ん、電子タバコなら。」
「そこは、ダメなのね。」
「何か兄者が外で吸っているタバコって独特の臭いがするから。」
「会社でもよく言われるんだよなー。匂いがきついって。」
「でも、兄者についているその匂いは好きだよ。」
「…照れるからやめてくれ…。」
「…私も照れる…。」
prrrrr…
「あ、電話だ。もしもし?あ、お母さん。うん、今ご飯食べ終わったところ。そっちは変わりない?」
今日も1日が終わります…。
やっぱり某味噌ラーメンが一番おいしいといった内容ですかね。