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八
「旅、ですか?」
「そうなの。」
私はお願いする姿勢で言った。
「旅と言いますと?」
「私この世界をこの目で見てみたいの。でも、私の師匠が今の世の中は魔物が多くて危険だからやめなさいって言われたんだけど、一つ条件を満たしたら出してくれることになったの。」
「それは?」
「旅仲間を見つけて、その人が師匠と戦ってかすり傷一つでもつけたらいいって……」
「なるほど……」
彼女は考え込んだ。
「魔神だったら強いんじゃないの?」
「本来の姿ならばそれなりに。ですが魔神といえども今は人形の体。動きには限界があります。それに貴女の師匠という人物がどれくらいの強さにもよりますが……」
うーんと唸った後に彼女はこう提案した。「今から貴女の師匠に会いに行ってもよいでしょうか?」
「そうだね、そうしよう。じゃ、行こうか。」
私は彼女を案内しようとしたその時。
「グ~~~~~~~~~」
彼女の腹の虫が鳴いた。
「すみません。何も食べていないもので。」
「じゃあ市場に何か食べに行こう。」
私は彼女の手を引いて市場に向かった。