七
「まじん?え?」
困惑している私を他所に彼女は話し始めた。
「はい。今からおそらくは十年前、私は魔神として魔界を統治しておりました。私は穏健派といい魔界の中でも人間と仲良くしていこうという方の魔神でしたから、一部の魔物たちの策略によって人形に封印されていました。しかし先ほどあの魔晶石が水と反応し、魔力が高まっていたのでチャンスだと思い復活を試みたら成功したのですが、やつらは保険として私に首輪をしていたので、貴女がいなければ死んでいました。」
「へ、へえ~……」
訳が分からないまま取り敢えず聞いていた。
見た目は私と同い年くらいの少女が急に私は魔神と言い出したのだ。どうもこうもない。
「ですから命の恩人である貴女に恩返しがしたいのです。でなければ私は満足して魔界に帰ることができません。」
「は、はあ……」
とにかく彼女は私に恩返しがしたいらしい。
「さあ、何なりとお申し付け下さい。」
「ち、ちょっと待って!一回整理させて!」
「分かりました。」
そう言って自称魔神は立ち上がり体を動かし始めた。
「まだこの体には慣れていないんですよね。とりあえず人間界ではこの姿は都合がいいからこのままでないと……」
なんか言ってるがよく分からない。
とりあえず整理しよう。まず私は一緒に旅をしてくれる人を探していたら、人形が少女になり急に魔神を名乗りだして恩返しをしたいと言い始めて……。
あっ、そうだ。
「決まりましたか?」
彼女が伸びをしながら聞いてきた。
私の中にある考えが浮かんだ。それは……。
「私と一緒に旅をしてくれない?」
状況をよく呑み込めていない私は勢いでそう言った。