四
やるとは言ったものの、私の交友関係の中で師匠に勝てそうな人物などいなかった。強いて挙げるとするならば、刀匠のタウベルトさんだが、あの人と師匠は古くからの仲だ。きっと師匠側についてしまうだろう。
正直どうしようもなかった。私はただ呆然と商店街を歩いていた。行く人行く人を見るけれども、到底師匠には敵わなそうな感じだ。
いつしか私は骨董屋の前にいた。店の前で止まり商品を見る。
「嬢ちゃん、また来たのか。」
店主の男の人が奥の方から出てきた。
「なんか悩み事してたら来たくなって……」
私は悩み事があるとだいたいこの店に来る。なので店の人とも顔見知りである。
そしてここには私の好きな世界中の雑貨や骨董品が置いてある。
「そういえば嬢ちゃんに見て欲しいものがあるんだった。」
そう言って店主は何やらゴソゴソと取り出そうとしている。
たまにこうやって店主は、なかなか買い取り手のいないものや、価値のつかないものなどを私に見せて望めば譲ってくれる。
「そうそうこれなんだが……」
そう言って取り出したのは女の子の人形だった。
「こいつはね、噂では魔界のほうから流れてきたらしいんだけどさ、そんな不吉なモン誰も欲しがらないだろう?俺もこいつを長く持ってるのは嫌でね。どうだい、貰ってくれないかな?」
店主はそう言って人形を差し出した。
確かに人形からは何とも言えないオーラというのが漂っていた。
しかし見た目は至って普通の可愛らしいものだった。
いつもの私だったら断っていただろうけど、今の私はそんなオーラに惹かれてしまった。
「じゃあ、いただきます。」
「ありがとな!オマケにこの宝石もつけといてやるよ!」
店主が上機嫌に送ってくれたところで、私は一人川のほとりに向かった。