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一
ある晩冬の日の朝。私はあることを伝えるために師匠の部屋の前に立った。
師匠とは孤児であった私を拾ってくれたいわば命の恩人のことである。
私は戸を叩いた。
「入ってよいぞ。」
しわがれた声で師匠は言った。
私は戸を押して中に入った。
「こんな朝早くに起きるとは珍しい。何かあったのかな?」
そんなことを言っているが、師匠は既に寝間着から着替えており、コーヒーを飲んでいた。
まるで私が来るのを知っていたかのように。
「実は大事なお話があって……」
「それはおそらく、今後の進路のことじゃろう?」
さすが師匠だ。私は図星をつかれて息をのんだ。
「だとしたら、ヘラ。お前に一つ昔話をしなければならない。お前の両親についてのな。」
「私の両親!?」
おもむろに出てきた両親の話に私は驚きを隠せなかった。何故なら私の両親は私の幼い頃、魔王軍に殺されたということしか知らないからだ。
「ああ、そうだ。」
そう言って彼は遠くを見るかのような目をしながら語り始めた。