プロローグ
十三代目魔神は温厚篤実。人間との争いは好まず魔物と人間との共存のために日々努力していた。
しかしそんな十三代目に異を唱える者も少なからずおり、なんとかして魔神の位から引きずり下ろそうとしていた。
そんなある日、十三代目のもとに人間からの使いの者と名乗る男三人が訪れた。
人間との友好関係を築くために十三代目は彼らを歓迎し、最高のもてなしをした。
彼らが来て二日目の夜。彼らは礼として、十三代目の前で芸をしたいと申した。
十三代目はこれを喜んで受け入れた。
彼らは十三代目の前に来ると袋から人形を取り出した。
男の一人が「今からこの人形を使い演劇を行います」と言い、もう一人が「なので目を離さずよく見ておいてください」と言った。
十三代目は言いつけ通りに人形から目を離さなかった。
そして男たちは何やら呪文を唱え始めた。と同時に人形を中心とした魔法陣が出現した。
十三代目がおかしいと思ったときにはもう遅かった。
男たちの詠唱が進むにつれてどんどん意識が人形に吸い込まれていく。
そして十三代目は人形に封印されてしまいました。
それ以来誰も十三代目も見た者はいませんでしたとさ。