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最強守護士(ガーディアン)の英雄伝説  作者: かしわで
第1章 守護士
6/12

1-5 幻獣カラス天狗

2日目のキャンプの夜だ。ダイアンが寝静まった後、パトリシアが僕に幻獣のことで話があると言って、近くの森に連れてこられた。

「実は、知り合いの幻獣にカラス天狗というものがいるのですが、エリック様どの主従契約の話をしたところ、勝負で勝ったら契約を結ぶと言って聞かないのです。」

「まあ、幻獣だって、みんながみんな簡単に主従契約をしてくれるとは思っていないけど。」

「カラス天狗は、【スローステップ】のスキルを持っているので、戦闘ではかなり役に立ちます。魔王との決戦を考えると、是非エリック様には契約をしていただきたいのです。」

【スローステップ】は、相手の素早さを下げるスキルとのこと。確かに是非欲しい。早速、カラス天狗が待つ森の奥まで移動を始めた。


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カラス天狗は後悔していた。

ユニコーンのせっかくの誘いに対して、強気の態度を取ってしまったのだ。

「何で素直に「はい」って言わなかったんだろう。。。てっきり他の幻獣も断るものと思っていたのに、みんな主従契約してしまった。。。

確か、ユニコーンの主人は魔王を倒した勇者だったはず。戦って無事でいるはずがないではないか。でも、今さら従います何て、恥ずかしくて言えないし。。。

あーもうすぐ約束の時間だー。そうだ、戦う意欲を見せる振りをして、お前の真剣な気持ちを試したのだとか言って戦わずに済ませるという方法はどうだろう。

よし、我ながらよい作戦だ!」

カラス天狗はユニコーンの到着を待った。


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エリックたちが指定の場所に到着すると、そこには人の姿をしているが、カラスの顔と、大きな羽を持つ幻獣が待っていた。

「待たせたな・・・違った、待っていたぞ、ユニコーン!」

「待たせたね、こちらがエリック様だ。」

「貴様がユニコーンの契約者か・・・ってずいぶん小さいな。」

「エリック様はまだ12歳だ。人間としてはまだ子供だが、転生前は勇者だったのだぞ。あれ、言っていなかったか?」

「聞いていない。勇者っていうもんだから、てっきり超やばい人間のなのかと思ってた!!」

カラス天狗はとても驚いた。がしかし

「なんだ、小さい子供じゃないか。これなら戦っても勝てるぞ!」

そう小さくつぶやいた。


「ユニコーンの契約者よ、我はカラス天狗。お主が私と契約したければ、私と戦って勝つことが条件だ。私はとても強い。果たしてどっちが先にを上げるかな?音を上げる前に死ななければ良いのだが。」

「あの、すみません、僕はエリックという名前なのですが、守護士なので、戦うという能力がそもそもないです。なので、戦って勝てと言われても、無理な話です。」

「え?守護士なの??そうなのかユニコーン?」

「ああそうだが、言っていなかった?いや、言ったぞ。守護士と言ったら、そんなものと主従契約出来ないなんて言いだしたんだ。」

確かにそうだ!言っていた。すっかり忘れていた。

「もちろん、知っている。試しただけだ。」

「何を試したのだ?」

「ごほん、とにかく、戦えないことは分かっていた。えーと・・・そうだ、速さ対決だ。私とお主との速さ対決だ。私より動きが早ければお主を勝ちとしよう」

「だったら、僕も問題ない。早速始めようか」


カラス天狗は口任せには言ってみたものの、結構いい案だと気が付いた。素早さについては、結構自信があったからだ。しかも、いざというときには【スローステップ】がある!!


「では、スタートの号令とともに、お主は私の頭に手を乗せて、主従契約を行うがよい。ただし、私はそうされないように逃げる。先に契約を結ぶのか、私が逃げ切れるのか勝負だ。」

「カラス天狗よ、エリック様と君はずいぶんと身長差があるのだが、ちょっと卑怯ではないか?」

確かに、エリックは130cm,カラス天狗は2mを超えている。

「え?確かに身長差が・・・」

カラス天狗はやばい、卑怯者と思われると焦った。

「僕は大丈夫だよ、パトリシア。早速始めよう。」

そう言って、カラス天狗とエリックは向き合った。


「では、この石を上に放り上げるので、下に落ちたらスタートだ。」

パトリシアが口で近くにあった石を口で咥えて、上に放り上げた。石は弧を描き、二人の間に落ちた。

「行くぞ!!・・・って、え?いない!」

一瞬のうちにエリックが見えなくなった。エリックはすでにカラス天狗の上に飛び上がり、頭に手を当てて主従契約の印を結んでいる。

「ちょ、ちょっと待って、ストップストップ!!」

エリックは契約を止め、地面に降りた。

「今のは突然突風が吹いて、身体のバランスを崩してしまった。もう一回だ。たぶんやり方が良くない。今度は5歩位離れてから始めよう。」

「そんな風吹いていたっけ?」

森はとても静かで風なんて吹いていない。マイナスイオンの影響か?気持ちがいいことは確かだ。

「まあいいや、僕は問題ないのでさっさと始めよう。」

「じゃあ離れるので、突風が来ないか注意するんだぞ。」


カラス天狗は5歩くらい歩いた後、エリックのほうを向いた。実は、突風が来ないか注意してと言って、注意をそちらにそらしている間に、【スローステップ】をエリックにかけていたのだ。

「では始めよう。」


先ほどと同じように、パトリシアが口で近くにあった石を口で咥えて、上に放り上げた。石は弧を描き、二人の間に落ちた。

「よし、後ろに下がるぞ・・・って、え?またいない!!」

エリックはすでにカラス天狗の上に飛び上がって、頭に手を当てて主従契約の印を結んでいる。

「さっきと変わらないじゃないか!」

カラス天狗は完全にやる気をなくした。実力差が有りすぎて、【スローステップ】が役に立たなかったのだ。


「お主なかなかやるな。今日のところはお主の勝ちにしよう。運のいいやつめ。」

僕はカラス天狗と主従契約を結んだ。魔名は「ハチベエ」とした。何だか分からないがしっくりくる。


契約後、パトリシアはハチベエのそばで耳打ちした。

「お主、【スローステップ】をエリック様にかけていたな。なんて卑怯な・・・」


バレていた。

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