犯人は?Part4
「差し支えなければ教えて頂けますか?」
「ああ、その前に誰かメイドを呼んでくれ。」
「誰か。。。」
手を打つ。
メイドが一人やってきた。
(まだ、目覚めた事を伏せておきたかったが。。。まあ、いいか。)
「目覚めたばかりで、腹が減った。紅茶とクッキーを持ってきてくれ。」
メイドに言う。
「軽食もお持ちできますが?」
「昼、たっぷり食べるので今は良い。」
「焼き上がりまでしばしかかりますが、よろしいでしょうか?」
「ああ、構わない。」
「分かりました。」
そう言ってメイドは去って行った。
「出来るまで、少し待とう。」
「一つ伺っても?」
「ん?」
「『アルト様』は私と『ムラーノ』を信頼されているのですか?」
「ああ。そうだ。」
「何故ですか?」
「義父の直臣だからだ。
また『ムラーノ』については『ソロン』へ対して嫌悪を抱いているので、この件については信頼している。」
「直臣なら信頼に足ると?」
「ああそうだ。それと『ニクスの立場』ならもっとスマートに『事を成す』ことが出来る筈だと言うのもある。
まあ、とは言え、念のため聞くとするか。」
『お前は今回の黒幕の一人か?』
目をじっと見つめる。
「いいえ。」
ステータスウインドウを覗く
◼◼◼【TRUE】◼◼◼
まあ、そうだろうな。
「そうか。。。なら信頼する。」
「??何が分かったのですか?」
「お前は黒幕じゃあない。それが分かった。」
「何故?ですか?」
「今、自分で黒幕ではないと言ったろう?それで充分だ。」
「。。。。府に落ちませんが。
それでご信頼頂けるなら、、ありがとうございます。。」
そうこうしているうちに、クッキーと紅茶が運ばれてきた。
良い匂いが立ち込める。
「紅茶を飲むか?」
「頂けるのなら。」
つぐようにメイドに合図する。
『かりっ』
少し苦味があるが旨い。
「このクッキーは?『デラ』が焼いたのか?」
「はい、そうです。」
「美味しかったと伝えてくれ。あとは適当にやるから下がって良い。」
頭を下げ、メイドは退出した。
興味深げに『ニクス』は見ている。
「お前も食べるか?」
「頂けるのなら。」
「毒入りだか。」
ギョッとした顔を浮かべた。
「ご冗談を。。。」
「本当だぞ。食べてみると良い。」
「はははは。では一枚。
バターの風味が効いていて美味しいものです。」
「苦味を少し感じないか?」
「確かに。。まさか。。。本当に?」
俺が頷くとみるからに真っ青になった。
(目の前に俺がいなかったら吐きに走っただろうな。)
『ポイゾナ』
光が『ニクス』を包む。
「弱毒だと言ったろう?一回や二回食べたからと言って死ぬことはまあ、あるまい。
それに、解毒をしておいたので大丈夫だ。」
「昨日の今日なのでまさか入れて来るとは思わなかったが。。。これで完全に絞れた。」
「何が絞れたのですか?」
「今、弱毒状況になっているのは俺、アナン、イザベルの3人だ。巻き添えを食らったメイド2人は俺が解毒してある。なぜ、それが分かるかは省く。」
「と言うことはバメル様は容疑から外れると?」
「そうだ。」
「残る二人、どちらかの関与を疑っていたのだが、この場合、精霊家の出身の者が黒幕だと言うことはまあないな。」
「。。。なるほど。。。アルト様は」
「そう、『音楽の精霊』の加護持ちとされている。『炎の精霊』ではなくな。一般的に一人に精霊は一人。その事を知っている者の手なら、俺にもう毒を盛ることなどしない。露見した時のリスクを考えるならな。」