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闇の足音 コウモリ

『コボルト騒ぎ』が一服した翌日

俺はぼーっとしていた。


(『今回は運が良かった』だけだな。

次回も運がついて回るとは限らない。


『たまたま』

ロイ達の跡を追えた。


『たまたま』

コボルトが俺に気づかず通り過ぎた


『たまたま』

土壇場で『モスキート音』を使える様になった。


そして『たまたま運が良く』

『コボルトを率いていた個体』を先に無力化できた。

統率されたまま攻撃されていたら、まずロイ達の命はなかっただろう。


そう考えると冷や汗が出る。


もう少し、俺も力が欲しい。。。


いや、力ならあるか。。。


俺が上手く使えていないだけ。。。


どうやら音の聖霊の加護により、

『音』に関する魔法なら、『音の聖霊』に魔力を捧げることにより新たにクリエイト(作る)することが 出来るらしい。


ならば?


今のような時間がある時に、有益な魔法を作っておけば良いな。


その場で出来なくは無いが、発動まで時間もかかる。

魔法として『定義』しておけば、すぐ使えるのは『スタン』で実証済みだし。)


取り敢えずは

今回の『たまたま』を偶然ではなく、必然にする魔法の開発をしよう。


そう考えると

『たまたま』リストの1番と2番の索敵対象は敵と味方の違いがあるだけで、必要なのは『対象物の位置を把握する魔法』であると気付いた。


そういや前の世界で似たような機械があったな。

『レーダー』や『ソナー』だ。

動物でも『コウモリ』などの一種が似たような能力を持っていたはず。


(確か超音波を発信し、その反射波を捉えることにより、目標物の位置を把握する能力だったな。)


さあ、魔法を組み立てるとするか。


『ソナー』

超音波を全方位に発信し、その範囲内にある物体に当て、その反射した音波から

そのものの位置を特定する装置だったはず。


それを魔法で置き換えるなら超音波を全方位に向け発信する魔法と

反射してきた

音波を探知する魔法が必要か。。。


波形については『コウモリの超音波の波形』を『アカシックレコード』から取り出すことにした。


受信する方は『聞き耳』を多少いじって、波形で捉えることができるようにすればいいか。


後は、どの程度の魔力を込めるのかと二つの魔法をラグなく打てるかだな。


そう言えば、必要な魔力ってどのくらいなんだろう?


魔法を使うには、ある一定以上の魔力を込めないと発動しないことから、

まず起動に使う為の最低魔力は必要らしい。


あとは実際に魔法の燃料として必要な分の魔力。

これは、その威力、継続時間、範囲(距離)を掛け合わせたものに比例するんじゃないかな?


例えば『スタン』で考えた場合

継続時間=一瞬(極少)

攻撃範囲=0距離(極少)

で魔力は固定(50MP=大?)にしたから

威力(出力)は凄いこと(極大)

になっていたとか?


鼓膜破壊と頭を揺さぶる効果だけなら

威力(大)で良かった?


どうせなら、本人に絞った形(0距離)じゃなくて、

周り数メートルを巻き込むことをイメージして。。。


実際に実験する事にした。

『スタン』で実験するには対象がいない?ので、

『ソナー』で実験する。

まず『ソナー』を複数作ってみることにする。


探知するのに必要な超音波は、コウモリが発信可能なくらいの微弱なもので大丈夫か。なら出力は少なくてOK。

ただ、探知できるエリアは広ければ広い方が良いな。


発動時間(極少)、出力(極少)に固定し、探索範囲を色々変えて必要な魔力がどの程度か調べてみた。


発信(100) 半径100m範囲 1.6MP/秒

発信(300) 300m範囲 14.4MP/秒

発信(1000 ) 1000m範囲 160MP/秒

発信(3000) 3000m範囲 1440MP/秒


分かったことは1秒間当たりの消費MPが半端ないってこと。

3000m範囲だと俺の場合1秒しか使用できない。


リアルタイムで相手の動きを見るには100m範囲ぐらいが限度かな。それもできて10分。960MP消費か。

まあ、リアルタイムで追う必要がどのくらいあるかだな。


さて、次は受信。受けるだけだからそれほど出力は必要ないな。発信の1/10の出力でやって見よう。


これは何となく出来てしまった。


最後は組み合わせだな。。


発信と受信両方あってはじめて、ソナーはなり立つ。

受信は発信前に起動、その後発信だ。


『できた』


魔法起動のコストは一回分ですんだようだ。

受信と発信合わせて一つの魔法と思ったのが良かったかな。


正直出来映えは。。。

範囲が広くなればなるほど、沢山反射されて

頭の処理がちょっと追いつかなかった。


結果微妙ではあったが、必要魔力量について分かったから、

まあよし?


しかしなんか、上手くいかないもんだな。

根を詰めて実験した割に『ソナー』の性能がショボかったんで多少凹んだ。



(まあ、良いか。時間はたっぷりある。)

気分転換に屋敷の芝の上で寝転んだ。

(前世でも技術者はきっと試行錯誤して

製品を世に出していたんだろうな。。。)


そういや前世の家電製品って、操作が簡単でシンプルだった。


カーラジオだったら、

電源押すのはオンオフスイッチ


ラジオの周波数合わせはデジタル表示を見ながら、当該局の周波数まで摘まみを回すだけ。


(若しくは聞きたいラジオ局の周波数を入力するだけ)

ボリュームも摘まみ一つだった。


えっもしかしたら?


シンプルに出来る???


ダメもとでやってみよう。


音を出すのに必要なのは、周波数、対象からの距離、若しくは範囲、出力、発動時間これだけ。

頭にスマホを浮かべ、スマホに数値を入力するイメージをもつ。


数字だけだと、イメージが弱いので、その意味も考える。

イチイチ順番考えるのも大変だから、思い浮かべる順番も固定する。


先ず最初の数字は、『周波数』。これは音の振動が1秒に何回おこるかだから、音の波がいくつも重なっていく様をイメージ。


範囲は対象を起点として音が流れでる様子をイメージ。あとは、難しい概念じゃあないので、サクサクイメージした。


早速コウモリソナー音を出してみる

音を出すと念じ

『10kHz,100,0.1,1』

(10KHzの超音波が100m範囲に満ち、出力は0.1,発動時間は1秒)


受ける方は、その逆のイメージ。

音を受けると念じ

『10KHz,100,0,01,2』


ん?反応がない?

あっそうだ。。。

先に受信を立ち上げないと。


なんと、出来てしまった。


なんと周波数の波形や実際の声をイメージして、『特定の音』だけ出せるんじゃなく、周波数さえ分かれば自由に音を出せる!!!

これって凄いかも。


早速、『音出し』『音受け』って名前をつけて、魔法登録?をしようとした。


『。。。』


が、出来なかった???

どうしてだろうか?『聞き耳』はできたのに?


結局、数度登録しようとしてもできなかった。

(まあ良いか。好きな音の送受信が周波数を念じただけで出せるようになったし。)


(でも、、、)

本音言えばまだ、イチイチ入力するのが面倒くさい。

良く使うやつだけでも名前を唱えたら発動する形にしたいな。


でもそうすると、イチイチ魔法登録をしないといけないか。


これも大変だ。。。(MPごっそり取られるし。。。)


俺だけ使えれば良いから、付箋?インデックス?みたいに名付けられないかな?

頭に思い描きその中から、必要なものだけ選べば良いよーに出来れば。。。


.......


結果を言えば、簡単に出来てしまった。

俺ってもしかしたら天才??

とりま、ソナーシリーズだけindex登録?した。


Index

ソナーシリーズ


ソナー 100 S(ショート)

ソナー100 L(ロング )10分

ソナー300S

ソナー1000S

ソナー3000S


そういやソナーって情報過多で役に立たなかったな。特定の反射パターンだけ拾えれば良いんだけど。。。


大型の生き物、金属だけ反射派を受けれるよーにフィルターできたら楽なのに。


よしっ。フィルター機能追加。


えっえっえっえっ


出来てしまった。。。

(コウモリも特定の反射パターンだけ選別が出来るとか。。。by アカシックレコード)




※※※※※※

『ど~れ~ミィ~ファ~ソーラ~シーどぉ♪~』


音を自由に扱えるよーになったのは本当に嬉しい。芝生に寝転びながら、思いっきり音を奏でる。


どこまでも青い空に夏の入道雲が映えている。


(もう夏も終わりか~。今年も海に行けなかったな~。もうそろそろ、クラゲがいっぱい発生しているだろうな~。)


(ってこの世界でもクラゲはいるのか?)


一人でボケと突っ込みをしながら


『ど~れ~み』


音を流しながら考える。

(俺ってここでなにをしてるんだ~。)


生活は困っていない。一応貴族の末端だし、食べ物もそこそこ旨いものを食べさせてもらっている。衣服も良いものを与えられている。


この世界が常に死と隣あわせと考えれば恵まれた環境と言えよう。


でも、ただそれだけ。ただそれだけなんだ。


母上は異常に俺に対し過保護だし、屋敷の使用人は俺と距離を置くか、何となくではあるが監視している気がする。


学校へ行かしてくれる訳でもなく、

かと言って武術を教えてくれる師匠も、勉強を教えてくれる家庭教師もいない。

もちろん同年代の友人が作れる環境でもない。


せっかく使えるようになった白魔術にしても、自分に使うぐらいだ。


ただ、ただ、膨大な自由時間が続く。


(このまま、ここにいたんじゃ、俺何にもできない、空っぽな人間になっちまう。それとも16才になれば劇的になにか変わるのか。。。)


※※※※

いい加減、『ドレミ』にも飽きたので

適当に思いつくままの、数値の周波数を自分の周りに投射してみる。


時々、面白い音が流れる。

『おならのよーな音』『ゲップのよーな音』『めまいが生じる音』


気に入ったものを片っ端からindexに登録していく。かなりの暇人だな。(笑)


熱中して色々周波数を打ち込んでいくと

『パリーン』

急に芝生横にセットされたティーセットのガラスコップが碎けた。


えっ?何が。。?







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