長い1日
部屋に戻ると『ベルル』達が探していた。
「どこに行かれていたのですか?いつの間にいなくなったので心配していました。」
ベルルが心配そうな顔をして聞く。
「腹が空いていたので、食堂に行ってきた。ただ、誰もいなかったので戻ってきたのだが。。。どのくらい俺は寝ていたいんだ?」
「今日で2日です。今この家には、アルト様と私達、それに数名の留守番しかおりません。」
(随分寝たな。。。)
「父上はどうした?」
「北の領地で反乱があったとかで当家の『キメロ城』へ向け出立されました。留守を預かる者を除き、出払った形になります。」
(同じタイミングで事が起こり過ぎる。。。
偶然か?いや。。。そんな訳ないな。)
「北の領地の反乱はしばしば起こるものなのか?」
「。。。。さあ?」
(メイドじゃあ、その辺のことは分からないか。。。)
「そう言えば母上達は?」
「『アナン様』、『イザベル様』、それから部屋付きのメイドを連れて出て行かれました。
王都にあるご実家の別邸に暫く滞在される予定だそうです。
なんでも消毒が済むまでは、病魔が残っているかもしれないこの屋敷には居たくないとか。。。」
(まあ、普通の神経の持ち主ならそうだろう。屋敷中に血を吐いた跡もあるしな。)
「『アルト様』の目覚めを待って、『白魔導師ギルド』による屋敷内浄化作業が入ります。その後、清掃する業者を入れると『ガメイロさん』が言っていました。」
「『ガメイロさん』?」
「『ベルーチェさん』の下にいる方です。」
と『ルナ』が答える。
「『ベルーチェ』は?」
「『ベルーチェさん』は疫病騒ぎから姿が見えなくなってしまったそうです。ご高齢ですし皆どこかに倒れてらっしゃるのではないかと心配しております。」
「そうか。」
「作業は『俺の目覚め』を待って始められるのだな?」
「はい。」
「なら、暫く俺は寝ていると言うことにしてくれ。それと『ルナ』頼みがある。」
「はい。」
「『ニクス』か『ムラーノ』をだれにも気付かれずにここへ呼んでくれ。」
「ただちに。」
こうして長い1日が始まった。