戦場?
「『アルト』、『アルト』、『アルト』」
遠くで懐かしい声がする。
「『キュア』」
これは聞いたことがない声だな。
目をうっすら開けると
なんだ『ライラ』か。。。
俺はまだ寝ていたいんだ。。。
眠らせてくれ。。。
えっ?『ライラ』???
意識が急に覚醒する。
「一人助けることができたか。」
えっ?
目を思い切って開けると
初老の白魔導師と思われる男と『ライラ』がいた。
「状況を。。。」
「そこのお嬢さんが真夜中やって来てな。追い返そうとしたのだが、、、」
とチラリと『ルナ』を見る。
「『アルト』の名前を叫んでいたの。。。」
と『ライラ』が言った。
たまたま『ルナ』が助けを呼んだ先が『ライラ』の下宿している先の白魔導師宅であったらしい。
(ラッキーだった。。。)
「普段深夜は断るんだが、『白魔導』を志していて『ライラ』の父親の弟子というじゃないか。流石に孫弟子を死なす訳にいかないのでな。」
聞けばギルドの重鎮らしい。
「ありがとうございます。
おかげで助かりました。
お名前を伺っても?」
「『ザリツォーネ』だ。」
「ありがとうございます。私は。。。」
「知っておる。『アルト』じゃろ。礼ならば、『ライラ』とそこのお嬢さん方に言うと良い。みな必死だったぞ。はっはっは。」
頭が徐々にはっきりしてきた。
そう言えば、晩餐を一緒にとった、家族?は
「『お義父さま』は大丈夫なのですか?」
「当主のことか?大丈夫だ。大人は体力があるでな。この後みてくる。」
「従兄弟達は?使用人は?」
「残念ながら、助けられる人数は限られるぞ。いくら私とてMPは有限だ。
助かる命は助かり、落ちる命は落ちるだけだ。」
(MPが問題。。。ならなんとかなる。)
「私に『キュア』を教えて下さい。」
「ほう、レベルと取得枠は足りているのか?」
「大丈夫と思います。」
「MPは?」
俺は右手の甲をみせた。
「ほう。『知恵の女神』の加護持ちか。。。なら、可能性はあるな。ただ、この貸しは高いぞ?」
「今は一刻を争います。よろしくお願いします。」
「無詠唱はマスターしているか?」
「はい。」
「ならば、身体の中の病魔を光が浄化しているイメージを持って『キュアライト』と念じるが良い。」
自分の身体へ向け『キュアライト』を唱えた。細菌が身体な中で死滅するイメージを描く。
さっきより身体が軽くなっていくのが分かる。
「出来ました。」
「こ、これは。。。『推薦状』をあやつが熱心に申請してきた訳が分かるわ。。
腹が立つほどに簡単にマスターしよる。」
「では、老師、失礼して皆を治してまいります。お礼はまた後日おうかがい致します。」
「はっはっは。『ライラ』帰るぞ。あとはこの坊主に任せておけば大丈夫だ。」
「でも。。。」
「『ライラ』また後でな。」
こう言って俺は『戦場』へと向かった。