犯人は俺?
「『アルト』様、では失礼致します。『メイ』次はありませんよ。しっかり『アルト様』にご奉公しなさい。」
そう言って『ネリサ』は去って行った。
「『ベルル』ドアを閉じて、念のため人が来ないか見張っていろ。」
「分かりました。」
と『ベルル』は言いドアに向かう。
「さて、『メイ』そこに座れ。」
「はひぃ。。。優しくお、お願いします。」
(この後において、何を考えているんだこいつは。。。)
頭が痛い。。。
やること、さっさとやっちまおう。
「『ポイゾナ』」
「はい~~????」
すっとんきょうな声があがる。
「『毒を除いた』だけだ。
まあ、毒って言っても弱毒だから急にどうこうって訳でもないが。一応除いておいた。」
「えっ??」
「さっき食べたクッキーに少量だが毒が入っていた。誰だか分からないが、俺を徐々に弱らせていくつもり。。。」
「ゲェ」
「おいっ、そこで吐くな。」
「お祖父様に、間違えて毒を飲んだ場合はすぐに解毒するか、吐き出せと。。。」
「毒はすでに取り除いたと言っただろう。俺は『白魔導師』だ。」
ポコンと叩く。
「『服飾家』だってさっき言ってたじゃないですか~~」
涙目で抗議された。
(まあ、どっちでも間違いではないがな。うん。)
「クッキーに毒が入っていたってことは?
どういうことだか分かるか?」
「主さまが振りかけられた?」
ゴツン
「毒をメイドに食わせる趣味はない。」
「ホントですか~?」
頭が痛い。。。
「大体クッキーは誰が持ってきたんだ?」
「持って来たのは『ベルル』です。」
「なら、怪しいのは?」
「主様です。」
ずこっ
「。。。。。何故そうなる?言ってみろ。」
頭が頭が痛い。。。。
「なぜなら運んで来た『ベルル』も、クッキーを焼いてくれた『デラ』も『メイ』は信頼しているからです。
だとすると。。。。
『取り分け』を行った『主様』が一番怪しい。。。」
そう言ってビシッと俺を指さした。
ボコッ
「言えって言ったから言ったのに。。。」
(いっぺん、す巻きにして川に流したろうか。
まあ、冷静に考えれば『動機』さえ除けば新参ものの俺が一番怪しいか。。。
こいつ、そこまで馬鹿ではなさそうだな。。)
「で、『賢い探偵さん』は
『何故、毒をお前達に食べさせる必要があった』と考えるんだ?」
「『人体実験をしたかった?』
『実はサディストで私達が苦しむところを見たかった?』
『毒愛好家?』」
(。。。。。。。。。。。。。。)
「『ネリサさーん』」
「あわわわっ」
素早く近づき俺の口を塞ぐ。。。
「だって、言えって言ったの『アルト様』じゃあないですか。。。」
(前言撤回。ただの馬鹿だ。。。)
「あたし弟達の為にお金が欲しいんです。
このお屋敷のような割の良い稼ぎ口を失ったら。。。」
涙をポロポロこぼしている。。。
(何か事情がありそうだな。
ただ、お金に困窮しているってことは付け入られる可能性もまた大きいってこと。。。か。)
「話を戻すな。俺は『人体実験する趣味』も、『嗜虐趣味』も、『毒を飲む趣味』もない。
大体そんな趣味があるのならば、ここでカミングアウトすることも、わざわざ治す訳も無いだろーが。
って言うことは?」
「。。。。。。」
目を背ける。
(仲間が疑われている事に耐えられないんだな。。。)
「ちなみに、『ベルル』は白だ。。」
そう言ったとたん少しホッとした風に見えた。