心意気
よく朝早くに俺は伯爵家へと向かった。
門で門番に来訪を告げると馬車が迎えにきた。
「今日より宜しくお願い致します。」
馭者に挨拶される。
「うむ。」
(慣れないなあ)
「ではまいります。」
馬車で到着すると共にドアが開けられ
玄関へと通される。
「おかえりなさいませ。『アルト様』」
昨日と同じように全員で唱和される。
(ただ朝早いせいか、昨日と比較するとメイドの数は少ないな。)
ぼんやりそんな事を考えていると、
『ニクス』がやってきた。
「お早い到着であった為、申し訳ございませんがまだ部屋のご用意が出来ておりません。」
鷹揚に頷くことでそれに応えた。
「宜しければ朝食を用意させますが?」
「たのむ。」
食堂へと案内されるとすでに先客がいた。
「『叔父上』、いえ『お父様』おはようございます。」
「うむ。。。『ニクス』より、今日の午後より来ると聞いていたが?」
「予定を繰り上げ参りました。」
「あの女と別れは終えてきたか?」
「はい、終えて参りました。」
「それで改めて『お父様』へお願いがあるのですが。」
「あの女のことなら何も聞かんぞ。」
「あの女は我ら『精霊を司る者』に対し誤った考えを持つ邪教の者だ。そう『ムラーノ』から教えられました。
『誇りある精霊の一族』の末席に連なる者として、未練は一切ありません。
寧ろ血を分けているのが恥ずかしいくらいです。」
そう言い切った。
(母上、『勘弁願います』。。。
そう心の中で手を合わせてはいたが。)
「うむ。『聡明』だと言われているなだけあるな。問題の本質をついておる。 ならば何のお願いだ?」
「『魔法学園』への入園の許可を頂きたく存じます。あわせ、白魔導師ギルドへの紹介も頂けたらと思います。
能力を磨き、一刻でも早く『当家に貢献』できるようになりたいのです。」
「ははは、よくぞ申した。夢ゆめその心意気忘れるで無いぞ。」