再会
王宮に向かうにつれ、立派な建物が増えていく。
どこが違うとか聞かれると微妙だが、明らかに一ブロック越える毎に、建物の雰囲気が変わる。そんな感じだ。
王宮に程近い、『ホテル』と言っても遜色ない建物の前で俺達は降りた。
「こちらの建物でご母堂がお待ちです。
私は伯爵家に先触れで到着の報告に行って参ります。お着替えになり、1時間程後に入口までいらして下さい。」
そう言って『ムラーノ』は出ていった。
どんな顔をしてお母様にお会いすればいいのか正直不安だった。
※※※※※※
「無事で何よりです。」
そう言いつつお母様は涙した。
(いっそ『なじってくれた』方が気楽なんだが)
「あなたの身に何かあったらと思うと。。。」
そう言いつつさめざめと泣く。
(いくつになっても『子供は子供』か。
心配かけたな。
そうだ。。。あの事を話しておいた方が良いな。)
「お母様、お伝えしなければならない事が一つあります。」
なにか?
と言う顔をされた。
構わず先を続ける。
「実は、『精霊の顕現』が私にありました。
残念ながらお母様のご期待された『炎の精霊』では無く『音の聖霊』でしたが。
精霊が『顕現した』ので
王より授爵はされること
になるとは思います。」
「。。。。。。」
「『炎の精霊』では無かったので、
『伯爵位』の継承は残念ながら出来ませんが。。。
お母様がご心配されたような
『跡目争いからくる暗殺の恐れ』
からは解放された上、
『貴族の身分』は剥奪されない
と言った意味ではそこまで悪く無い結果と言えるのではないでしょうか。
今までの『生活レベル』を落とされないでやっていけるのかもご心配と思われますが、
私が頑張って家を盛り上げていきます。
お母様に不自由などおかけしないよう頑張るのでご安心下さい。」
一気に喋り終えた。
「『精霊の顕現』があったのですね。。。
間違いない。。。のですか?」
「はい。」
そう言って音の『オリジナル魔法』をいくつか披露した。
「間違いなさそうですね。」
「『アルト』おめでとう。
ならば少し早いですが、おまえに渡すものがあります。」
そう言って母上は部屋をいったん出た。
10分程で戻ってきた時には
一振りの剣と二つの指輪を小わきに抱えていた。
「お父様の形見と私からの思いです。」
その言葉とともに、一振りの剣と二つの指輪は渡された。
「これは一体?」
聞きただそうとした時であった。
「奥様失礼します。」
『ムラーノ』が慌てた様子で入室してきた。
「『アルト様』、叔父上様がすぐお会いになられるそうです。御支度はお済みですか?」
勿論、支度など出来ている訳もなく
あわただしく出ることになった。
「母上も一緒に伺うのですよね」
「いえ、叔父上様は『アルト様』のみとお会いしたいと申しておりました。」
(話の続きは後だな。。。)
「お母様、戻り次第すぐ顔を出させて貰います。行ってまいります。」
そう言って、叔父上宅に向かった。