船出
今話で、商売編がやっと終了します。
何しろお金がないまま、主人公に王都へ行かせる訳にいかなかったので。次から学園編がはじまります。多分。
結局のところ、今回の騒動は翌日には呆気なく幕を引いた。
すなわち、『バーナード服飾店』はなくなり。(調査したところ同業への圧力等余罪が多々出たそうだ。)
『服飾ギルド』の代表が変わり。
(『ミヤーノ』曰く、うちをイベント初日に偵察に来ていた店のうちの一つだそうだ。)
『ミヤーノ』への正式な謝罪が出され。
そして俺は気にいったデザインの服を手に入れた。
ただそれだけであった。
王都への出発準備と『ミヤーノ』への引き続きでバタバタしている中、『メイ子爵』が訪れた。
「色々迷惑をかけたな。」
「なんの事でしょうか?」
「惚けるのか。まったく、子供らしくないな。」
「性分です。。。かね?」
(最近子供としての立ち回り方が分からなくなってきた。。。どうしよう)
「まあ、いい。ところで相談と提案があってきた。」
「『相談』と『提案』ですか?」
「ああ。まず、『相談』から始めようか。
色々確執があったのは知っているが、、、
『バーナード』の所にいた職人を引き取ってやってはくれないか?
彼らの『服飾に関するうで』をこのまま腐らすのは偲びない。
今『アルト殿』の店には
『高級服飾部門』は無かったと思う。
不足分を補完できるメリットはきっとあるはず。是非使ってやってくれないか?」
「。。。。。」
「勿論、ただでとは言わない。『旧バーナード店舗』の譲渡、これを考えている。それから『ミヤーノ』への賠償としてバーナード個人の資産も譲渡もな。」
(破格の条件だな。『セミオーダー』部門と併せれば良いか。。。)
「『提案』については?」
「私がこの店の経営に携わるのは可能だろうか?
私はこの街をゆくゆくファッションの先端の街として売り出して行きたい。この間のアルト殿につれられた視察で住民の表情をてそう思った。
それ故、アルト殿のところでファッションの可能性を追ってみたい。
いかがだろうか?」
(メリットは。。。。
ざっと3つか。
まず、副領主や服飾ギルドへの牽制が出来ること。
流石に子爵が後ろにいると分かれば変なことはしてこまい。
次に『子爵家』による金銭的な支援が受けやすくなることか。。。
そして最後に、貴族社会への販売窓口ができることだな。
デメリットは、『管理される、若しくは経営に色々口を挟まれる』こと。。。か
この街を起点として商売するなら、何れにせよ、介入する手段を子爵は持ってる。とするなら。。。)
「ゆっくり考えて、ベストの決断を下してくれれば良い。」
俺が渋っている様に感じたのだろうか?
「有り難くお受けします。」
そう答えたらびっくりした顔をした。
「ただお受けするに辺り3つ条件があります。」
「可能な限り聞こう。」
「一つは、儲けがあった場合の配分方法です。」
「子爵15%、私15%、ミヤーノ15%で配分としたいと思います。」
「残りは?」
「50%は全国展開時の『積み立て資金』で、5%は従業員への報奨金として使おうと思ってます。」
「もう一つは、『商会形式』とし、商会名にお名前を頂き、商会名をM&M 商会(メイ & ミヤーノ 商会 )にすることをお許し頂きたい。」
「『アルト殿』の名前は無いが?」
「『&』を『アルト』とお読み頂ければと思います。」
(ちょっと無理があるか?でも、まだ表に出たくはないし、ここは飲んで頂かないと。)
「商会の高級服ブランドのトップを子爵、
庶民向けブランドのトップを『ミヤーノ』とさせて頂きたい。」
「『アルト殿』は?」
「『アドバイザー』として裏方に徹します。」
「すべて飲もう。ただ、これは『ミヤーノ』
とやらに話は通さないで良いのか?」
(確かにそうだな。)
「ですね。私が『フライング』し過ぎました。持ち帰りこの部分は検討させて頂きます。」
「フライング?、まあ、人が絡むことはきちんと話してからすべきと思うぞ。」
※※※※※※
「アルト様、何を考えてるんですか。よりによって子爵様と私の名前を並べたものを商会名にするなんて、あまりにも常識無さすぎます。しかも、子爵と同格の役職なんて。。。」
「子爵はそれで良いと言っていたぞ。」
「世間体ってものがあります。私はこの街で商売しているんですよ。気持ちは有り難いですが、この名称と役職を見て他人はどうとるか考えてみて下さい。」
「傲慢?、増長?」
「それですそれ。」
結局名前は『M's商会』に、役職は子爵が会頭で、『ミヤーノ』が『カジュアル・生地担当』副会頭で落ち着くことになった。
(翌日子爵に了解をもらった。)
俺も何か役職につけと『ミヤーノ』にせっつかれたが、『アドバイザー』に付くと言うことで納得してもらった。
「代わりと言ってはなんですが、『ベラ』を『マネージャー』職に付けるようお願いします。」
『マネージャー』ってなんですか?と言いつつ『ミヤーノ』は納得したようだった。
こうして『M's商会』は船出したのであった。