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切れ者

子爵家に到着し、応接室に通される。

執事が出てきて、


『お呼び立てしたのに、申し上げありませんがただいま急用で子爵が出ております。

すぐ戻ってくると言っておりましたので、暫くお待ち頂き下さい。

また、お待ち頂いている間『アルト様』に不便をかけるなと、主より承っております。

何かご用あればこの者になんなりと申し付け下さい』そう言ってメイドを残し退出して行った。


(人を拉致?して待っていろか (笑)

まあ、良いか。)


これを機会に、採寸をした顧客の台帳のコピーを見ることにした。


やけに色白のメイドがついでくれた紅茶を飲みながら、台帳を捲っていると幾つか気付く事があった。


(住居が、『バルリー地区』、『ベンソン地区』、『ロダ地区』に偏っているな。どうしてだろう?3地区の共通点は?)


側で興味深くじっと俺の様子を眺めているメイドに地区について聞くことにした。


「すみません、この街の地区について教えて貰えませんか?それと、土地勘がないので地図もあれば見せて下さい。」


「ちょっと待ってて。書斎から地図をもって来ますね。」

彼女はそう言って出ていった。


紅茶をゆっくり飲みながら、お茶受けとして出されたスコーン(イギリス風クッキー)を摘まむ。


(紅茶は凄く美味しいのだが、このスコーンは旨くないなあ。)


「そのスコーンあまり美味しく無いですよね。王都の『ラリス』のやつがあれば良かったんだけれど。。。」


(しまった。顔に出てしまったか。。。恥ずかしい。。。)


「お待たせしました。地図はこちらです。」


「それで、街の地区の何について知りたいのですか?」


「良かったら、こちらに来て腰掛けませんか?」と言って横を指す。

微妙な顔を一瞬したが、すぐ座ってきた。


「執事には内緒ですよ。」

とニコッと笑う。


(いい娘だな。俺より一つか二つ上かな?)


「えーと、この紙ははお店に来て頂いた方に聞き取りをした情報をまとめたものです。


それを今見ていたのですが、良く出ている地名が3つほどあるんですよ。その3地区について、どんな人が住んでいるのか興味があって。。。」


紙をゆび指すと、乗り出してきた。


(近いって。。。)



「本当だ。。。って言うかそこ以外の地区見当たらないじゃない?

その『3地区』はね。簡単に言えば『あまりお金をもっていない人が住む地域』よ。


この街の一番外れにあるのが『ロダ』で『日雇い人』が多く住んでいる場所よ。

次が『ベンソン』で、いわゆる『職人』が多く住む場所。最後に『バルリー』ね。これは『商人』の住む場所だったはず。」

としゃべりながら、地図をさしていく。

(街の東側一帯かあ。)


「ちなみに、他にどんな地区があるのですか?」


「後は、『シノリル』、『ビバル』の2地区かな。『シノリル』は比較的富裕層が住んで

いるところで、『ビバル』はここよ。」


「ありがとう。助かります。ちなみにそれぞれどのくらいの人口がいるか分かりますか?」


「『人口』?」



「人の住んでいる数です。」



「『さあ?』

でも、分かる者を呼んでまいります。」

そう言って彼女は姿を消した。


戻って来るまで、台帳を何度も捲る。

(あと、男女比か。やっぱり6:4で女性が多いな。取り敢えず『洋服を買う』習慣ができたら、次はそれぞれの地区の性別によって売る商品の割合を変えてみたいな。)



暫く後ノックとともに人が入って来た。

「何かお呼びで?」

痩せ型で長身、『生真面目が服を来て歩いている』そんな感じの男性だった。


「初めまして。『アルト』と申します。

お名前を伺ってもよろしいですか?」


「失礼いたしました。私、『カルチャ』と申します。当家で徴税官をしております。」


(なるほど『徴税官』ね。確かに一番詳しそうだ。あのメイドなかなかの切れ者だな。)






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