表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/79

瞬間


※※※※※※

しばらくイベント広場で待機していたが

なかなか採寸に来る人が来ない。

全員暇をもて余しているのが分かる。


採寸係を除いた20名は、取り敢えずハンカチなどの小物類の作成をお願いした。


(これは本当に失敗したか?)

そう思った矢先『ミヤーノ布地店』の奉公人が飛び込んできた。


「旦那さま、大変でございます。お客様が店先に溢れてます。何でもただで洋服を寄越せと。。。」


(あちゃー。もしかして口コミだと採寸場所まで伝わらなかった??)


「取り敢えず行って見ましょう。」


ミヤーノ布地店に着くとなんと、長蛇の列が出来ていた。


急いで、採寸場所(倉庫前)まで誘導する。

それから、『修羅場』が始まった。



ちなみに、結局採寸がすべて終わったのは日も落ちかけたころであった。

最初の5人を含めトータル78人もの人が採寸しに来てくれたようだ。


最後のお客が帰った後、スタッフは

みな疲れ果てた顔をしていた。


「今日は皆さん、お疲れ様でした。明日もよろしくお願いします。少ないですが、ここ3日分として日当を出させて頂きます。」


そう言って30人みなに、用意しておいた銀貨(シルバー)を一人一人手渡ししていく。

皆に笑顔が戻っていった。


「明日もよろしくお願いします。」

そう言って渡し終えた方から帰ってもらった。



すべて終わったあと、『ミヤーノ』から


「『アルト様』よろしいんですか?すべて持ち出しではないんですか?私の方で出すつもりでいたのですが。」


と聞かれた。


(やはりそのつもりだったんだな。)

そこで、昨晩『ムラーノ』と話をした内容を話す事にした。

「『ムラーノ』が『お母様』から、服の仕立て金として40金貨(ゴールド)を渡されていたそうです。それに旅費の残金として20金貨(ゴールド)がありました。


子爵と私用で『ミヤーノ』さんから仕入れた高級生地の費用で、現在20金貨(ゴールド)を既に使っているので、残金は40金貨(ゴールド)あります。


針子さんへの1日当たりのお手当てとして、銅貨(カッパー)5枚で考えると1日銅貨(カッパー)150枚 金貨換算で1.5金貨(ゴールド)と思ってます。


今、倉庫代と雑費は『ミヤーノ』さんに甘えさせてもらっていますが、採寸に来て頂いた100名分の生地代は私の方で持たせて貰おうと思ってます。

その費用、相場から見てざっくり3金貨ではないでしょうか。まあ今日の状態を見ると、あと100人分追加した方が良いか。それでも6金貨ですよね。


1週間のうちに『洋服屋』を軌道に載せることが出来れば何とかなる数字ですよ。

逆に最悪軌道に載せることが出来なかったとしても、今なら私が『高い買い物(洋服)をしただけ』で済む話です。」


そこまで話をしてやっとミヤーノは納得したようだった。



※※※※※※

明けてその翌日、その日は朝から倉庫前に長蛇の列ができた。


「押さないで下さい。ご好評により、キャンペーンは先着200名様までとさせて頂きます。」


そう言って整理券を渡していくが、200を超えても、まだ枚数は足りそうになかった。


「200番以降の方は、ただで洋服をお渡しする事はできませんが、新しい店で使える50%引きクーポン券をお渡しします。良ければ採寸にご協力くたさい。」


その案内も功を制したのか結局3日で当初見込みを遥かに超える623名の採寸データが揃うことになった。


「採寸ご苦労様でした。採寸チームの方あと一踏ん張りお願いします。」


「もう誰もおらんよ。」


「いるじゃないですか?」


「いや、お客さんすべて帰ったよ?」


「皆さん全員で、採寸願います。そして皆さんみんなにも、ただで出来あがった服を差し上げます。」


「わぁー」と大歓声が上がった。


皆の分を合わせて656名分のデータが揃った瞬間だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ