そんな訳。。。
生地店店主『ミヤーノ』と家令『ムラーノ』と俺の3人で作戦会議『服飾ギルド殲滅作戦(仮)』を開くことにした。『ミヤーノ』が店を閉めるタイミングで、個室のある料亭に集う。
最初に
「『アルト』様、服飾ギルドとことを構える為には先ず街を治めている貴族の取り込みが必要かと思います。」
と『ミヤーノ』がアドバイスをしてくれた。
「この街を治めているのは王家の普代の貴族で確か『メイ子爵』。いささか当家の威光が効きにくい相手です。」と『ムラーノ』
「どんな方ですか?」
子爵と面識のある『ミヤーノ』に聞く。
「『代々王家の普代であること』に誇りを持っている方です。」
「それ以外に、例えば。。。趣味とか?興味あるものとか?何か知己を得るとっかかりがありませんか?」
「特には。。。そうだ、役に立つか分かりませんが大層な『武器マニア』とは聞いています」
「武器ですか。。。」
ふと閃く。
(そうだ、辺境伯から餞別に懐剣と籠手を頂いたな。仮にも伯爵。無価値のものををくれる筈はない)
「武器と言えるのは生憎この二つしか持っていないのですが。。。」
「これは?」
「『ディール伯』から手土産に頂いたものです。」
「『アルト』様、良く見せてください。」
思いの外『ムラーノ』が食い付いたので手渡す。
「両方ともミスリルでは名高い『ディール伯家』の刻印付きじゃないですか?
特に懐剣が素晴らしい。」
「籠手は?」
「籠手もそれなりの一品ですが。。。懐剣について言えば当主印まで刻印されてます。
アルト様、行方不明の間『ディール伯』のところで一体何をされて来たんですか?」
「ちょっと伯の『石化」を治療して。。。」
「それから?」
「伯爵の部下を治療して、ついでに鉱山の人夫の治療もしてきました。」
「伯爵の治療とその部下数人ですか。その割には気前が良い。」
「いやもっと」
「10人?」
「いやもっと。。。」
俺の顔色を伺う。
「まさか100人?」
「その倍くらいかな?まあ、四肢欠損の人は流石に治せなかったから。『ハイヒールレベル』の簡単な治療しか出来なかったけどね。」
「。。。。。。」
ムラーノは考えるのを放棄した顔をした。
(なにかやっちまった?)
幸いそれ以上、ムラーノは問いかけしなかった。
「まあ、その話は兎も角、この籠手、手土産にならないかな?
出来れば懐剣は手元に残したいんだけどな。」
「アルト様、ミスリルの価値をご存知で?」
(そんな事知るわけないじゃん)