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雨の小夜曲  作者: 網田鏡磨
雨の小夜曲-ある日常の物語―
7/9

「ドラッグストアがね、少し離れた場所にしかなくてさ、待たせてごめんね」

声も出ない私に、彼はさらに続けた。

「踵が当たると痛いだろうからさ、少し大きいんだけどゆっくり歩けば大丈夫だよね。今日はご飯、うちで食べようね」

思いも因らない展開に、私の口から出たのは「何で」の一言がやっとだった。すると彼はちょっと気まずそうに目を伏せた。

「ほんとはね、もっと更のこと気に掛けてあげるべきだったんだ。でもかわいい恰好をしてきた更を見た瞬間はしゃいじゃって。でね、一緒に買い物しているうちに楽しくてテンション上がっちゃって、更が痛いって言うまですっかり靴のこと忘れてたんだ。だから、ごめんね」

しゅんとする彼を目の前にして、私は涙を堪えきれなくなった。私だよ、ごめんねって言わなきゃならないのは私の方だ。自分のフィギュアを買うのには躊躇するのに、何の躊躇いも無く私の靴を買ってくる彼。その優しさが嬉しくて愛おしくて、私は涙が止まらなかった。

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