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Prologue
自分と同じ瞳の色の女が言った。
「ごめんなさい」と。
自分と同じ髪色の男が言った。
「すまない、許してくれ」と。
その言葉を聞いて、僕は「あぁやっぱり」と思った。
僕の背後には大柄の見知らぬ男が居て、僕の肩にゴツゴツとした手が置かれて先を促した。
ボロ小屋のような粗末な家の外には簡素な馬車が待機していて、そこから幾人かのすすり泣く声が聞こえてくる。
家を出る間際、女が「あ・・・」とか細い声で声を上げた。
後ろで男が女を諌め、慰めている声が聞こえる。
僕は振り返らなかった。
二度と彼等と会う事が無いであろう事は分かっていたけれど、僕に未練は無かった。
心はずっと冷えたままだった。
馬車の中へ入るよう促された僕はそのままそれに乗り込む。
「さよなら・・・母さん、父さん」
その日僕は両親に捨てられた。
初投稿です。
拙い小説ですがこれからどうぞ宜しくお願い致します。