表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
7/11

第6話 セラン、女性不信になる

※この話には、少々暴力的な描写や薬物による加害行為が含まれます。

苦手な方はご注意ください。


この年、氷狼討伐が無事完了したの。大ボスもきっちり倒し、後は後片づけのみな状況。王弟殿下、お疲れさまでした。もう少ししたら……令嬢に会えるわね。ほんと、誰かしら…


ユリユリはこの討伐に左遷されたレイニードとカシウスの2人を次の派遣先に送り込んだの。


まず、レイニードを南辺境伯領地へ。

南辺境伯が突然陛下を訪問したことがあって、ユリユリはちょうど陛下に頼まれものを届けたところでブッキングして…

下がろうと思ったのに巻き込まれたって言ってたわ。

なんでも、南辺境伯の娘さんのお婿さんが決まらないと。負けん気が強くて、何人も断ってるから、だれか紹介してくれないかって。


まあ、父親って大変よね。心中お察しするわ。

ユリユリはいつものごとく邪悪な笑顔で画策したんでしょうね。ぴったりな人を紹介したって。派遣の神様が降臨ね。なんてったって、その人と娘さん、うまくいったんだから。


もう一人は、宰相から相談を受けたことによって。なんの調査かはわからなかったけど、手を貸してほしいと泣き付かれたとか。


ユリユリは時間かかりそうだなー、めんどくさいなーって思ったんだけど、どうせ最終的には自分に回ってくるんだからと叱咤激励して、やらかしカシウスを送ることにしたらしい。彼なら隠密行動好きそうだなって。ちょっと自分と似てるらしいわ。さっそく、彼を現地に飛ばし(カシウスはちょっと寄り道もしたみたいだけどね)、自分も潜入捜査をしていたらしいの。とにかく、忙しく飛び回っていたみたい。セランに悲劇が襲うなんて思ってもなかったのよ。


そう、この年、セランに悲劇が襲ったのよ…

医学校2年目は、実施訓練がほとんど。王都と地方の診療所で実施研修を行い、処方の判断や衛生管理、患者との対応を実務で経験することを目的としていて。


王都ではね、監視の目がたくさんあるから、ほとんど問題は起きなかったんだけど、地方での実施訓練でまず第1の悲劇がおきた。


セランは金髪碧眼のちょーイケメンだから、外ではいつも変装していたの。黒髪のカツラをつけ、瞳は目の色が濃く見える眼鏡をかけて…そしたら誰も第2王子とは気づかなかったわ。それでも、イケメンぶりは隠せなかったから、モテにもててたらしいけれどね。


そして、セランは遠方の小さな診療所の担当になり、患者に一生懸命向き合ったの。そしたら、ある患者さんがセランの誠意を勘違いして、セランにのめり込んじゃったのよ。もうセラン以外は見えない。セランと結ばれないなら死ぬくらいの勢いで。セランも優しいから余計に勘違いしちゃうのよね。


なんとか実習を終わらせ、這々の体で王都にもどってきたのよ。彼女もこっちまでは追いかけてこなかったから、人生経験を積んだねでなんとか済んだんだけど。


次は、王都近く、護衛もついての実施研修だったわ。患者さんもお年寄りか子供に厳選し、順調にこなしていったの。そしたら、そこの病院の看護師二人が結託して、護衛のすきを見計らいセランに睡眠薬をのませ、部屋に閉じ込めたの。夜になったら二人で病院の外に連れ出し、そこで媚薬を飲ませ既成事実を作ろうと企んでいたんですって。


そう、二人には第2王子とばれていたのよ。なんてことを考えてるのよ。こいつら、今思い出してもはらわたが煮えくり返るわ。


どうやって助けたかって?

それは、たまたま、わたくしが居合わせたのよ。いいえ、たまたまではないわ。留学から一時帰国してたんだけど、セランは実施研修で全然会えなくて…ユリユリも全然見なかったわね。カシウスと一緒に飛び回ってたんですものね。


ちょっと留学先で嫌なことがあって…だから、どうしてもセランの顔が見たくなったの。彼の顔を見ると元気が出るんですもの。幸い、研修先の病院が、うちの管轄だったから偶然を装ってセランに会おうと画策してたのよ。ほんと、画策してよかった!


ユリユリにも「お前の唯一の功績だ!」ってほめられたわ。唯一ってどういうことよっ


セランがいなくなって、護衛が必死に探しているところに出くわし、事情をきいたわたくしは、すべての部屋を回り、扉を開けていったわ。バン、バン、バン!って。鍵がかかっているところは職員に鍵を開けさせたわ。緊急事態ですもの。

そして――女性用仮眠室の扉を開いた瞬間。

二人の女が、眠っているセランを載せたリネン用のワゴンを、まさに動かそうとしていたところだったの。


わたくしは、ズンズン乗り込んで、女たちのほほに往復ビンタかましてやったわ。護衛たちがセランを担いで助け出した時も、まだ女たちが騒いでいたから、もう一度往復ビンタをお見舞いしてやったの。あいつらのほほ、パンッパンに張れてたわね。私の手もだけど…


その後彼女たちは拘束され、連行されたわ。


犯人は、どこぞの男爵令嬢と子爵令嬢だった。名前を口にするのもおぞましいわ。事件の発覚後、両家は断絶。家紋は焼かれ、記録からその名は消されたの。

彼女たちは遠方の強制労働地へ送られたわ。

もう、二度と王都には戻れないでしょうね。


セランは眠らされていたから、わたくしがいたことは覚えてないみたい。それでいいのよ。別に、覚えてなくても。でも、それ以来、女嫌いに拍車がかかって、王宮の外には一切出なくなった。医学校の単位は足りていたから無事卒業できたようだけど……


ユリユリは、守ることができなかったことにひどくショックを受けていたみたい。自分が飛び回っていたせいで、セランを危険な目に遭わせてしまったって。

わたくしに喝を入れられたユリユリはすごく悔しそうだったけど…


そんなことより、全力でセランを癒しなさい!


わたくしは結局、起きているセランには会えず、留学先に戻ったのよ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ