第3話 セランと王の親子喧嘩
ようやく落ち着いて過ごせると思ったところに…
今度は陛下とセランのバチバチ親子喧嘩が勃発。
ユリユリは「やれやれ」よねー
(あれ、このフレーズ、妙にクセになるわ)
喧嘩の内容はというと、
セラン「俺、王子やめて医者になる。学園じゃなく医学校にいく」
陛下「なんだと!兄を支えて王国のために尽くすって言っていたじゃないか」
セラン「俺は決めたんだ。ぜったいぜえええったい医者になる!」
…という、なかなかの熱量。
王妃はオロオロ、レオは「俺は帝国にちょっくら留学してくるわ」と逃走。
(この家族、面白すぎでしょう!)
ユリユリは事情聴取を開始した。
(ユ:ユリウス、セ:セラン)
ユ「どうして急にそんなことを言い出したんだ。理由を話せ」
セ「うん。(ユリウスには素直ないい子!)ユリウスが出張(氷狼調査隊でちょうど北辺境伯領地に出かけていたときね)でいないときに、病飛族会に参加したんだけど…」
ユ「待て待て、なんだその会は?」
セ「病気なんか吹き飛ばせ、俺たち元気族の会、だよ。知らないの?」
ユ「知るかっ」
セランは、そこで病気に苦しむ人が多くいることを知った。
セ「僕は王子だからあらゆる手段でみんなでよってたかって治してくれたじゃない?」
ユ「なんか引っかかるが…、まあ間違いではないな」
セ「自分が病気だったから、苦しんでる人のことがよくわかるんだ。僕はユリウスと出会って、そこから変わったんだ。奇跡だと思った。その奇跡を受けるだけの人生で終わっちゃダメだって。苦しみを知っているからこそ、助けられることがあるんじゃないかって思ったんだよ。僕、間違っているかな?」
ユ「本気なんだな」
セ「100%本気!」
ユ「…」「わかった」
よくセリフを覚えてたと思わない?
実は、このやり取りを、10日間繰り返したんですって。(何度も「奇跡」の部分を聞きたかっただけだと思うけども)それでも、セランの気持ちは変わらないってことを確かめた後、ユリユリは作戦を練りだしたの。
ユ「いいか、学園は行け。そして卒業しろ」
セ「ええっ!わかってくれたんじゃなかったの?」
ユ「最後まで聞け。学園は1年で卒業するんだ。そしたら、陛下に医学校進学のことを掛け合ってやる」
セ「1年で卒業!?無理だよ、そんなの」
ユ「じゃあ、医者もあきらめるんだな…そんなこともできないようじゃ、大した医者にはなれねぇよ」
セ「…そんなことはない。皆を病から救いたいんだ。だから、やってみせる!」
ユ(にやっと笑い)「よく言った。よし、明日からオレが勉強を詰め込んでやる」
こうして始まった鬼教師ユリユリのスパルタ教育。寝る間もないほどの勉強漬けで、一時期セランがまたやせたのはこのせいだったらしい。セラン曰く、「あの一年を思えば、医学も薬学も楽勝だったね」とのこと。
そして陛下との交渉。
ユ「セラン殿下は本気です。彼の気持ちは変わらないでしょう。このまま反対すれば、彼はこの国から出ていくかもしれませんね」
陛下「それだけは絶対とめてくれ」
ユ「では、1年で学園を卒業させますので、医学校進学を認めてください」
陛下「それじゃあ、医者になってしまうじゃないか」
ユ「いいえ、おそらく研究者になるでしょう。なので、王政に医務局を設け、研究所を作りましょう。将来的には医局長として、外務卿や宰相と同等の立場になります。どうです?」
陛下「……またしても、ユリウスにはかなわんな。それで手を打とう」
ユ「承知しました。下準備に少々お時間をいただきたい」
陛下「どれくらいかかる?」
ユ「2年ほどですかね」
陛下「わかった、お前に任せる」
陛下「ところで、ユリウス」
ユ「何でしょうか…」
陛下「おまえ、レオの側近にならん?今より仕事たっぷりあるぞー」
ユ「私、セラン殿下に忠誠を誓っておりますゆえ、ご容赦を」
陛下「レオ、かわいそう…」
ユ「…」
こうして、ユリユリは大好きなセランの将来を、見事に守り抜いたのでした。




