昔の約束
俺は無事に皆のもとに戻った。皆は、落ち着きを取り戻し、俺の話を聞く事になった。
俺が話したことは、今までの出来事を話した。迷宮攻略達成のこと以外を。そして俺は、すかさず言った。
「俺は、旅に出る。俺はお前らと居るつもりはない。俺は今から気になっている場所に行く。止めても無駄だ。お前らとは、しばらくは、会わないだろう。一応戻ってくるつもりだが。じゃあな」
俺は早く行きたかった。義足作成途中に、何かが光った気がした。俺は、何かに導かれた気がした。罠でも良い。そこには絶対なにかがあるコレだけはわかる。
その時だった。麗華が立ち上がって言った。
「レイ君。私も行かせて。一緒に旅をしましょう」
俺はもちろん連れて行く気はないため拒否る。
「ダメだ。お前はここが居場所だろ」
麗華は言った。
「レイ君の隣が、私の居場所なの!なんで気付かないの!」
麗華は走って、どこかに行ってしまう。
「...くそっ...止めないわけにも行かないし」
その時蒼真が俺の道を塞ぐ。
「俺が行く」
蒼真はそう言った。
「いや、これは俺と、麗華の問題だ。お前は大人しくしててくれ」
当たり前だ。この件は、俺が悪い。完全にまでに行かなくても、ほぼ俺が悪い。それは自覚している。
「謝りに行く。お前はどけ」
蒼真は怯み、道を開けた。
■
走った。王宮の隅々まで探した。
「やっと見つけた...麗華」
気づけば三時頃だったのが七時頃に。月が出ている。
「...レイ君」
麗華とは、幼馴染。俺は麗華に死んでほしくないと思っている。だが、本人が行くと言った。俺は、本当は嬉しかった。この気持ちを伝えようとしても、声が出ない。声を振り絞って出た言葉は...
「俺は、麗華に死なれると困る...でも...麗華が本気なら...反対はしない...返事を待つよ。またね」
コレが俺から出た言葉だった。なんとも情けない。麗華はいつ返事を返してくれるのか、怖かった。もしかしたら、返事が来ないことだってあると思い、内心は恐怖と不安でいっぱいだった。だが、麗華は力強い声で、すぐに返事を返してくれた。
「本気。私は本気よ。私の居場所は、レイの隣。昔約束したでしょ...思い出してよね」
その時、忘れかけていた記憶が蘇る。
本当に昔。小学二年の頃の約束に『麗華の居場所はレイの隣!これは約束!この約束は破らないでね!』この言葉を忘れていた俺はなんと最低なのか。
「思い出した...ぞ。一緒に行こう」
麗華は笑顔になる。先程の暗い表情は嘘だったかのように。
「ありがとう。いつ出るの?」
「明日の朝には出るぞ」
「わかった」
■
皆が居る部屋に戻り、話す。
「俺は明日の早朝にここを出る。麗華も同行する事になった」
そう。俺は決断した。
だが、返ってきた言葉は大半が俺に対しての悪口や麗華は行かせないなどの、自分勝手な発言。俺もそうだが。としても、俺の発言は麗華の意思で決めたものだし、勝手ではないか。
「皆ひどいよ...レイ君ばかりに悪口言って」
その瞬間場は静まった。
だが一人だけ納得行かないようで。
「ダメだ。レイみたいな雑魚には麗華は任せられない。麗華、こっちに来てくれ」
麗華は冷たく言った。
「やだ」
いつもの麗華とはその言葉の時だけ、違うように見えた。
そして、その言葉を聞いて、その後、誰一人反対するものは居なくなった。表情は。コイツラの本心はどうかはわからんけど。
「では。明日の朝俺と麗華は旅に出る」
皆黙って居るが、俺に向けられている視線は怒り、嫉妬、などの視線である。
■【自室】
明日は早い。シャワーを済ませた。俺は寝る。
その時。
コンコン
ドアがノックされた。
「私だよ...麗華だよ。今日は、なんか嫌な気配を感じるから、一緒に寝てほしいの。ダメ...かな?」
ドア越しに聞こえる声は確かに麗華の声だった。安心だ。
「入っていいぞ」
「ありがとう」
ガチャッ
入ってきたのは麗華。だが...
「麗華。なんで下着なんだ。全部着ろ」
クスクス笑いながら、麗華は言った。
「別に〜良いでしょ〜?」
俺は麗華を見ず答えた。
「いや、男女なんだから...男の気持ちも考えろ」
麗華は笑いが止まらない。
「はいはい。ごめんね〜今日はこのままね」
そう言って、ベッドに潜り込まれた
「一緒に寝るのか?」
麗華はニヤニヤで。
「もちろん。エッチな事はしないでね〜?」
呆れた。
「はいはい。さっさと寝ろ」
そして眠りについた。
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