大迷宮フィンスター二ス
異世界召喚されてから二日が経った。
俺はある程度の知識を身に着けた。
そして、五日後から、『フィンスター二ス』という迷宮に行くらしい。
そのため武器を作る。そう戦闘系の人分だけ。
召喚されたのは38人。その中の19人が戦闘系。19人全員に武器を作る…まぁ19人分作ってある。
そして、材料が余っている。王からは、『余ったら好きに使え』と言われた。だから、俺用の武器を作っていく。 なんとも地味で弱いめな職業なのだが…逆に考えれば、知識と経験を積めば、何でも作れて、スキルも上げて、強くなれる説。五日後の迷宮巡りで、いい鉱石を見つけられば良いのだけど。
余った鉱石も異次元収納で入れられるため、どこでも、武器が作れる。これは良いスキルだった。
■【五日後】
皆に武器を渡した。もちろんオーダーメイド。個人個人にあった武器を作った。
そんで迷宮に入る前に。
この召喚者組を仕切るのは俺等が居る国『セリオン王国』の騎士団長『ライオネル・アークレイン』である。いかついが優しかった。
セリオン王国についてだが…非常に信仰心が強く、大きく分けて三つの、魔人界、亜人界、人間界の中で人間達が崇める神の名は『エル・アリシア』人間界の創造神らしい。
神話によると、人間の生命から、数々の国まで全てを作り、その国の王に助言をしたというが胡散臭い。
俺は、神なんぞ、信仰するわけねぇ。興味なんかない。
迷宮についてだが、迷宮を攻略すると、なにかがあるらしい。だがその道程は長い。予想によると、フィンスター二ス迷宮は大迷宮と言うらしく、階層が200層以上あると言われている。しかも、階層ごとに魔物が強くなる。良いところは、殺すと強くなれるところ。魔物のスキルがもらえるらしい。それじゃあ、冒険者すごくね?と思うが、その効果が発揮するのは、召喚された者だけらしい。なんとも…
では入ろう。
■
中は暗く、少し先が見えるくらいだ。俺はとにかく、鉱石を集めよう。戦いは誰かに任せる。
少し歩いた。今は三層目。
早速良い鉱石を見つけた。
「おい。レイ。一人行動は慎め」
「この鉱石だけ、取らせてください」
「仕方ない。許可する」
【鉱石名――ルクスリアン鉱石―硬度10―特性―魔力を込めれば更に硬度が上がる。聖剣などに使われる】
こりゃ良いものだ。
「収納」
ブワーン
「お、おい…レイ。今のスキルは…?」
「ああ。異次元収納です」
「異次元収納…ね…そんなのあるのか」
では早速武器づくりタイム。適当に盾でも。
「錬成」
ピカピカ
「よしできた」
「レイそれは…」
団長が言ってきた。
「コレは盾だ」
「盾だと?それにしては小さくないか?」腕にはめては意味ないだろう」
蒼真がケラケラ笑いながら。
「お前馬鹿だな〜!!そんなんじゃ意味ねぇってわかんねぇの?」
俺は笑った。俺はそんな馬鹿じゃない。ちゃんとしたギミックがある。
「ふふ…俺は馬鹿じゃねぇ。ちゃんとした狙いがあんだよ」
そういい、盾に魔力を込める―――すると
プシュー!! ガッコン! ガチャン!!
盾が広がる。
蒼真は驚きを怒りに変え、俺に言ってきた。
「は、はぁ!?そんなのありえねぇ!!ありえねぇ!!お前みたいな雑魚が!そんな盾…ギミックを作れるわけねぇだろ!!誰にもらった!さっさと言え!」
俺は蒼真を睨み、言う。
「自分に決まってんだろ…カス」
蒼真は言い返されたことに驚き、身を引く。蒼真はお陰で恥をかいた。俺からしたら爽快だった。
まだまだ迷宮は長い。団体行動はめんどくせぇ。俺は、そう思い、みんなから離れた。俺は一人。いつの間にか一人で、34階層目に来ていた。上からは微かに声が聞こえた。俺は急斜面を降りてショートカットしてきたため、早く着いた。まだ皆は9階層あたりだろう。まぁ俺は、一人で攻略する。日本で美味い飯食いたいしな。さっさと帰りてぇ。
■
皆を置いて、先に来て一週間。現在101階層目。もう皆の声は聞こえない。皆は40階層あたりなのだろうか。今の俺の楽しみはこの予想と、武器づくり。この二つだけ。そして、気づいたら、倒した魔物のスキルがいっぱいあった。
「なんだよこれ…」
一番気になるスキルはこの『波爪』倒した敵の中に腕を振ってなんか出してた、魔物居たわ。あいつか。
使うか。
「波爪!!」
腕を振る。
爪から波動がでる。
波爪が岩に当たると――バラバラに砕ける。
「ウヒョーこりゃぁスゲェスキルだわ」
それともう一つ、気になるスキルが。
『無詠唱スキル・詠唱省略』
説明によると――無詠唱でスキル発動・魔法発動ができる、それに加えて、詠唱省略でも可。らしい。
となると、火球は――
「火球」
ボワッ
「うわ…ガチか」
やはり、詠唱省略で発動できるのか。俺じゃあ、無詠唱はむずいから、詠唱省略でいいや。
■【170階層目】
「はぁ…はぁ…やっば!!」
ドカァァン!!
俺は壁に打ち付けられる。
【数十分前】
169階層目から170階層目に入った時。
「おお。開けた場所に来たなぁ…おお、デケェ扉だこと」
手をかけた瞬間・
「ん!?おっ!?」
ガッコン――
「シンニュウシャハコロス」
ゴーレムが出現する。
「クソ――こいつを倒せってことかよ」
プシュー!!ガッコン!!
盾を展開する。
「まずは…波爪だ!」
波爪がゴーレムに当たる―――しかし、びくともしない。理由はその後すぐに分かった。
「あいつ…体が、鉱石でできているだと!?」
【鉱石鑑定スキル】ヴァルムス鉱石――特性―魔力を溜め込むことができ、オルガロナ鉱石と相性が良い。
「おお。なら…ぶっ壊して、武器の一部にしてやるぜェ――死ねェ!!」
159階層の魔物のスキル『桜牙』どうやら、この世界にも桜があるようだ。それは置いといて…このスキルは戦闘系体術スキル。踏み込んで高くジャンプ。そして蹴りを上から下に落とす。
ドシャァン!!
ゴーレムの核が衝撃で壊れた。
「よし鉱石ゲット〜」
コロン――
「こりゃ何だ」
転がってきたのは、丸くて少し分厚い、なにかにはめる物だと思われる。
よく見ると、先程開けようとしていた、扉の中心にはめる場所があった。
「そうか。こいつを倒さなければそもそも開かなかったのか…」
ドアの前まで歩く――そして…はめる。
ジジジジジ――ガッコン
徐々に扉が開く。
その時声が聞こえた。
『助けて――』
声は扉の向こう側から聞こえてくる。
ドアが開いた。
「うわぁっ眩しい!?」
―――――――――