聖剣シギア
俺は今、麗華の後を尾行している。
木の上から監視。
麗華が走り出した。
「バレたか?」
麗華は地面を叩いた。
何をしているのだろうか。
その時、地面が開いた。そう、幻影魔法がかかっていて、通常では入れないようになっていたのだ。
それなら、俺は...認識阻害を使おう。
「認識阻害」
そして、潜入が開始した。
麗華の後ろを歩く。どこにつながっているのか。
そして、扉が見えてきた。麗華が喋る。
「ギザルム様。麗華です。扉をお開けください」
この先にギザルムが居るのか...
ドアがゆっくりと開く。
中は思ったより広い。
そして、少し先には座っている、見慣れた顔の男。ギザルムが座っていた。
「麗華。レイには会ってきたのかぁ゙」
相変わらず太い声だ。
「はい。ギザルム様。あれが最後の...」
「そうか。麗華。だが...どうやら、誰かをここに招き入れてしまったようだぞ?」
「そうですか...では排除いたします」
変わらず、会った時と変わらず、感情がこもってない、操り人形の声。
くそ...まさか...眠術を使えるのかよ...ギザルム。
俺は、勇者だった時代に、禁術にしたはずなのに。眠術に関する本などはすべて、燃やしたはず...そして、使えるのは、俺かセレナのどちらかのはず。
もうどちらにしろ、バレてるのだろう。
「認識阻害解除」
麗華の瞳が揺れる。
「レイ...」
麗華はまだ救いようがある。なぜなら、まだ、完全には堕ちていないからだ。
その時ギザルムが言った。
「おっとこれは...レイ様...いえ...アツ様と言うべきでしょうか?」
「なぜ...知っている...?」
「ははは!これはすべて、女神のおかげです...これもですよ...」
剣を見せてきた。
「聖剣...シギアだと...」
聖剣シギアとは、前世で勇者をやっていた頃の、愛用武器だ。武器の形などを変えられる武器。
「俺の武器を返せ」
「はぁ?返すわけ無いだろう。これはもう俺のだ。だが...まだ使ったことがない。探すのに、苦労したからな。だから、光栄に思え!なぜなら、自分の武器で殺されるのだからな」
まだ使ったことがない。なら、あの効果については知らなそうだな。
その効果とは、よくある展開、聖剣は人を選ぶということ。
「では...アツ様...行きますよ!!」
ギザルムは剣の変形魔法式を唱え始めた。
さて、聖剣はどう選ぶのか。
「変形法式展開!!」
ここで、何が起きるか。
「なに!?なぜ変形しない!」
「いまだ!」
自分はリーナのとこで買った、あの、剣を抜き、ギザルムに突進。
「しねぇ!!」
「負けるかぁぁぁ!!」
自分の剣を出してきた。あるなら自分の剣を使えや。
俺とギザルムは剣を振りあう。
剣のぶつかる音が、よく響く。
「遅い!!」
肩辺りを少し斬る。
「!?」
血が、少々流れ出る。俺も腕に刃がかすれた。
だが、チャンス。聖剣は眼の前に置いてある。
取れば勝てる。多分だが。
俺は走った。
「まてっ!!」
聖剣を取った。力が流れ込んでくる。
時間がない。あの力を出す時だ。
剣を構え唱える。
「変形法式展開!!」
剣から、女子のシステム音...が聞こえる。
「第二形態へ移行します」
剣が光る。
光が収まると、剣が、大鎌に変わった。
「ギザルム。お前は俺が絶対殺す。今すぐにな」
「ははは!!俺は負けない。お前のことは女神に聞いた。勇者の力の半分も出せないのだろう?」
おいおい。それは初耳だって...
「そうなのか。それはしらんけど」
「だが、おれは、お前がいない間に強くなった。簡単に負けるわけない」
確かにギザルムは強くなった。でも、勝負は強さだけで決まる訳では無いのを忘れているな...
「それは俺もだ。強化法式展開」
「速度上昇、身体強化を付与しました」
準備は完全にできた。今から、本気の戦いが始まるだろう。