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楽土  作者: 加藤無理
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独特な世界

 楽土は紀元前八千年前ほどの縄文時代に、世界に対して疑問に思った巫女七人が創り上げた世界だと伝えられている。


 生きたまま昇天した七人の巫女は楽土で舞いながら祈り死霊を慰めていった。癒やされた死霊は成仏したり生まれ変わったりしていく。時代が下ると巫女達自身も成仏した。巫女達は楽土から離れる前に分身して楽土を維持させた。分身は更に分身を繰り返したり、男神や男の霊と関係を持って子孫を増やした。その末裔達の当主七人が今でも舞いながら楽土を維持している。


 楽土を維持する七人を楽土にいる者でもなかなか視えない。それでも虹色の空が美しければ美しいほど、楽土は平穏とされている。


 私は生前、無神論者だったけれども、神は実在するそうだ。けれども「力」と「感覚」が十分でなければ神々を認識出来ない。私はそのどちらも十分ではない。


 神々は神の世界から時折、飛び出して現世に行ったりこちらに来たりするそうだ。一度は死んだ私達・霊体と現世で生きている生体に慈悲か懲罰を与える。自然の恵みや奇跡で人々を助ける時もあれば、災害や不運で人々を苦しめる時もある。


 死霊を導くだけでなく、楽土にいる者達の一部は神々と交渉したりもする。


 神々は普段は気安く霊体や生体に接触はしないが、稀に関係を持つ。神と人の間に生まれた子どもは大きな力を持つ。そして前述した巫女達の子孫の力も大きい。


 彼等彼女達は便宜上、「貴族」と呼ばれている。貴族の多くは楽土で生まれる。稀に現世で男神が人間の女と関係を持って、その子が現世で生まれる場合があるが、ここ二百年以上はそんな事例は観測されていない。


 私達のように現世で人として生きて死後霊体になれば「平民」になる。たとえ生前に門閥や貴族であっても歴史的偉業を成し遂げても平民である。


 楽土は平民と貴族が共存する世界である。平民であっても生前、悪行せずに他人に尽くし正義を貫き慈悲を惜しまなかった者は半年もせずに成仏する。貴族であっても百年以上は楽土と現世の為に尽くさなければならない。


 特に昨今は神と信心は人から遠ざかっており、私達の役割が増えている。

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