ウラエル
神出鬼没のエージェント・ウラエル
その彼女から連絡が入る
初めのゲームが決まった
そのゲームの内容は・・・
VRゴーグルを外すと、そこは狭い部屋の椅子の上。
メタバース型インターネットサービス・サイバーワールド。
もう一つのリアルな世界として広く利用されている。
ゲームや交流だけではなく、授業や商談、面接。
ありとあらゆるところでサイバーワールドは利用されている。
これを『対面』と呼ぶかはいまだ議論の分かれるところだが。
「変なのに絡まれたなあ・・・」
思い出すのはウラエルの事。
見た目は・・・美人というか可愛かった。
「そして妙な事に巻き込まれたなあ・・・」
秘密組織U.R.Aが主催するゲームへの参加。
犯罪行為ではないと言われているが・・・
「大学に相談した方が良いのかな?」
「そんな事されたら困ります。」
「そうだよな・・・その前に警察か。」
「なんでですか!?」
「不法侵入者がいるからだよ!」
今この部屋にいるべきは家主ただ一人。
他に誰かいるはずがない。
そこにいる人物は・・・
「不法侵入者じゃありません!あなたのエージェント・ウラエルです!」
腰をくねらせて敬礼ポーズを決めているのは先ほどサイバーワールドであったウラエルだ。
見た目はサイバーワールドで脱いだ時と同じ。
どうやら規約違反の見た目偽装ツールは使ってなかったようだ。
「どうやって入ったんだ?」
「・・・女って秘密がある方が美しくなるのよ。」
「はーい、お巡り突き出しますねー。」
「やめてください!」
色っぽい雰囲気を出していたが、あまり色気は感じない。
「それで何の用だよ。」
常識を問うのは諦めよう。
何せ秘密組織のエージェントだ。
「最初のゲームの日程が決まりました。」
「急だな・・・」
ゲーム参加を承諾したのはついさっき。
もう決まったのか。
「土曜の夜10時に指定のアドレスに来てください。」
ピロンと音がした。
スマートフォンにメッセージが届いたようだ。
「その際にAIモンを用意してきてください。」
「AIモン?」
AIモン。AIモンスターはサイバーワールドに生息するモンスター。
AIモンを戦わせるゲーム『AIモンバトル』も人気だ。
「持ってますよね?」
「そりゃまあ・・・」
持ってるしバトルもやっている。
だがなんでそんなものが必要なのだろう?
「我々が提供するのはサイバーワールドで最高のゲーム・・・AIモンを使うものも多くあります。」
ゲームはサイバーワールドでやるのか。
いざとなればログアウトできる。
リアルワールドよりは安全そうだ。
「何のゲームをするんだ?」
「それは秘密です。」
教えてくれないらしい。
「まあ良いか。」
「勝利賞金は10万円!頑張ってください!」
「怖いんだよ・・・」
その金の出所とかが気になる。
だが10万はでかい。
「それじゃあ!また土曜日に!」
「次はチャイム鳴らして入って来いよ。」
本来いない人が気が付いたら隣にいるのは怖い。
次はちゃんとした手順で入って欲しいものである。