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episode.5


 結果は優勝。


 与えられた得点は98点。

 過去最高得点だった。


 審査員は全員スタンディングオベーションをし、中には涙を流している者もいた。

 審査員からのコメントは

   鳥肌が立った

   リアルな表現に胸が一杯になった

などと口を押えて感涙を耐えていた。


 コンテストで優勝できて嬉しいという感情はなかった。

 そんな次元にはいなかった。


 私は自分の心から自然と溢れ出た味の感想を言葉として紡ぎだせたことに満足していた。


 勝ち負けではない。


 グルメレポーターとして一つ上のステップに踏み入れたような感覚を抱いた。



 

 私は表彰台に立った。

 2位はやはり美味子さん。

 3位は和食料理人でもある檜山三武郎先生


 当時の私は、悟りに近い境地に至っていたと思う。


 優勝のインタビューを求められたとき、私は心に溜めていたものを伝えることに決めた。


「木下アーティスティック美味子さん。私は貴女が好きです。結婚を前提にお付き合いしていただけませんか?」


 きっと木下君と花田さんの件に感化されていたのだろう。35歳にもなる私が2つ上の美味子さんに告白をする勇気があるとは思ってもみなかった。



 私は頭を目いっぱい下げて、右手を差し出した。




「さっきめちゃくちゃキモかったので、無理です」




 無数の表現力を持つ美味子さんから発せられたのは、芸術性の欠片もない火の玉ストレートだった。


 私の心をキレイに打ち砕いた。



=End=

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