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episode.1



「さぁ、味和井(あじわい)味丸(あじまる)さんのグルメレポートです!!」


 エントリーナンバー6番。

 私の名は味和井味丸。


 グルメレポーターだ。



 今私が始めようとしているのは、グルメレポーター界のトップを決める戦い。

 あらゆる業界のグルメレポーター達がここに集った。


 18,623名のトップ10名として集まったのだから、気の引き締まる思いだ。


 現在のトップは木下アーティスティック美味子(びみこ)さんの92点。

 非常に高い点数であると言える。


 さすがは巨大財閥の令嬢と言うだけはある。

 彼女はあの“木下財閥”の一人娘で、グルメレポーターとしても著名な人物だ。

 彼女の武器は2つ。

 圧倒的な経験と、味覚を事細かに表現できる教養の高さ。


 彼女を有名たらしめたグルメレポートは皆さんも知っていることだろうが、“狐の嫁入り雨”だ。


 美味子さんのそのグルメレポートで“狐の嫁入り雨”

を知ったという人も多いのではないだろうか。


 あれは北海道グルメグランプリの決勝戦だった。

 美味子さんが審査員の一人を務めたそのグランプリ決勝で出された料理は“北海道ハッカ鍋”。


 ハッカなどのミント系で出汁を取ることで、熱々の鍋でありながらひんやりとした感覚を味わうことができる料理だった。


 ハッカの産地であるその地方公共団体は、“摩訶不思議、まやかしの鍋”と題してこの料理を作り上げた。


 当時テレビでそのグルメレポートを見ていた私は、あのレポート技術に度肝を抜かれたことを今でも鮮明に覚えている。



 美味子さんは一口出汁を飲んで目を閉じると、天を仰ぐ。

 ゆっくりと、それでいて上品に。


 当時の美味子さんは27歳。

 激しい接吻をした後かのような艶かしい所作で唇を舐めた。


「狐の嫁入り雨としか言いようがありません」



 その放送後、検索ワードランキングに乗るほど皆が注目した。


 晴れているにも関わらず雨が降っていることの形容。

 妖狐のまやかしではないかということから、そう呼ばれたのだ。


 熱々のスープでありながら、その中に感じる冷感。

 それを表現したのだ。


 さらに彼女の恐るべきところは、“まやかしの鍋”というところにも関連付けているところだった。


 芸術と言っていいほどの彼女の表現力。

 悔しいという感情すら浮かばせない。


 そんな彼女が叩き出した点数が92点。


 正直、今回のお題を見て私は驚愕した。

 どうやってレポートをするのかと……グルメと言っていいのかも分からない…


 私達レポーターは他のレポーターの様子は見れない。知ることができるのは点数のみ。

 

 例年の最高得点は90点から95点の間。

 つまり、美味子さんの92点は高得点と言える。


 何を言えばそんな高得点を取れるのか。



 私はそんな思いを抱えながら、今回のお題にかぶりついた。


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