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第七話.ラストスパート

第九問.ルドルフ・ヒューズさんの死因はどれ?


1:失血死

2:中毒死

3:窒息死

4:焼死



「……は?」


 思わず声が出た。

 一瞬、見間違いかと思ったが……ルドルフの死因を答えろ、だと……?

 まさか……いや、そんなことは絶対にありえない。

 さっきのふざけた問題といい、どうせ俺をイラつかせてミスを誘おうとしているだけの、よくある卑怯な手口だ。


「さて、ミシェルさんは元パーティメンバーのその後の動向をご存知なかったうえに興味もないということでしたので、この問題は少々難しいかもしれませんねえ」


「チッ……」


「ミシェルさーん、舌打ちしたところで問題は変わりませんよー?残り二問、頑張ってください!」

 

 こ、こいつ……耳障りな声をしているくせに自分は地獄耳とか……。

 だがこのうざい口を黙らせる方法はある。


「……一番、失血死」


 考えてみればすごく簡単なことだった。

 俺はこの場にお喋りをしにきたわけではない。

 無駄な会話をやめてすぐに解答すれば、こいつに言葉を発する暇を与えることなく番組が進行する。

 早く終わりたい。

 早く帰りたい。

 この二つを達成しつつ賞金も持ち帰る。

 やれやれ、S級冒険者になってから最も難しい依頼になりそうだ。


「おや、もう少し慎重に考えなくてもよろしいのですか?一応これ、大事な九問目なんですけどねえ」


「あ?」


 俺はダイアンを睨みつける。


「元気いっぱいですねえ。それではミシェルさん、答えは四番でよろしいでしょうか!?」


「いいっつってんだろ!」


「正解です!」


 ああっ!イライラする!

 こんなゴミ問題を考えた番組スタッフ!

 番組に情報を提供しやがったモニカ!エマ!

 俺を散々馬鹿にして笑い者にし、心の底からイラつかせるダイアン!

 それをすぐ隣にいながら咎めようともしないイリナ!

 全員根っこから人間が腐ってやがる!


「ルドルフ・ヒューズさんは約半年前、エルフの大森林南西地区で死亡しているところを、偶然通りかかった冒険者パーティによって発見されました。剣のようなもので心臓を貫かれて殺害されたと見られており、殺害方法は『刺殺』になりますが、死因の分類は『心臓刺創による失血死』として扱われます」


 ふんっ、卑怯者にはふさわさい最期だ。

 俺をパーティから追放した奴が何者かによって無惨に殺される、まさしく『ざまあ』だ。


「発見時、遺体は激しく損傷しており、全身に無数の打撲痕と数箇所の骨折、そして背中には切創がつけられていました。ギルド掲示板等で事件概要を掲載して目撃情報を募りましたが、現在も犯人逮捕には至っておりません」


 よし、これで残すは一問だけだ……。

 あとたった一問だけ我慢すれば100万ゴールドという大金が手に入る!

 そしたらこんなクソ番組ともおさらばだ!


「いやあ、この難問にも全く手こずらずに正解してしまうとは。さすがはS級冒険者といったところでしょうか。それとも、実は自分が追放された後の元パーティメンバーたちの情報に興味津々だったとか?」


「……は!?誰がーー」


 俺は解答席に右拳をドンッと叩きつける。

 しかしダイアンは俺を無視し、まるで何事もなかったかのように番組進行を続けた。


「さあ、いよいよここまでやってきました!長かったような短かったような……次の問題に正解すれば賞金100万ゴールド獲得となります!それでは参りましょう!運命の十問目、お願いします!」



第十問.ミシェル・アングレームがパーティを追放された本当の理由は?


1:冒険者資格を剥奪されたから

2:奴隷売買に関与していたから

3:人格に問題があったから

4:薬物中毒に陥っていたから



 問題文を見た途端、全身がかっと熱くなった。

 心の底から怒りが湧き上がる。


「ふざけるな……」


 この衝動を抑える必要なんてあるはずもなかった。


「本当の理由……だと……?」


「ミシェルさん?どうかされましたか?」


 すっとボケたようなダイアンの声。

 俺の中で何かがプツリと切れたのを感じた。


「ふざけるな!何が本当の理由だ!下手に出ればいい気になりやがって!人を馬鹿にするのもいい加減にしろ!」


 俺は声を張り上げて抗議する。


「俺が追放されたのはなあ!あいつらが俺を無能で邪魔な存在として!蔑み!嘲笑い!否定して!……それが答えだ!」


「いいえミシェルさん。答えは必ずこの中に用意されています。難しいようでしたら救済措置を使ってみるのはいかがでしょうか?」


「は!?おいっ!俺の話をーー」


「どうしますか?使いますか?もちろん使いますよね?十一問目は使えないので、ここで使うしかありませんよね!それでは『助っ人召喚』です!お願いします!」


 俺の返事を待たずに勝手に救済措置が使用される。

 問題文が表示されていたモニターが、別の部屋の映像に切り替わった。

 だが、そこに映っていたのは一脚の椅子だけ。

 助っ人だと思われる人物は誰も映っていない。


 俺が文句を言おうと口を開いたのと同時に、画面外から誰かが現れた。

 

「……モニカ?」


 俺はその人物の名前を呟いた。

 モニカは椅子に座ると、両手を膝の上で重ねてまっすぐ前を見た。


「ご紹介しましょう!ミシェルさんの元パーティメンバー、現在は魔法薬店に勤めているモニカ・コリンズさんです!」

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