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第二話.オープニングは爽やかに

「さてさて、ミシェルさんはS級冒険者、つまり冒険者ギルドが定めている階級制度の最上位ランクに位置していらっしゃるということですが、S級になったキッカケのようなものはありますか?」


 司会進行のダイアンが話を振ってくる。

 クイズ以外にも時々こういったやり取りを挟むことで、冒険者という職業について広く知ってもらうことも番組の目的の一つだそうだ。

 特に番組側からこう言ってほしいと指定されているわけではないので自由に話させてもらおう。


「そうですね……俺は人生を楽しく過ごせたらそれで満足なので、実はS級になることにそこまで拘っていたわけではないんです。強いて言えば『気が付いたらなっていた』ですかね」


「なるほどー、まさに実力者の言葉ですねえ」


「まあS級であるおかげで色々と融通も利きますし、なっておいて損はなかったかなと思います」


「それでは続きまして、ミシェルさんは普段S級冒険者として、主にどのような活動をされているのでしょうか?」


「そうですね、基本的には他の冒険者と同じようにギルドへ行って依頼を受けて、モンスターを討伐して報酬金を受け取ったり素材を換金しています。あとは危険なモンスターが目撃された地域の探索や、新たに発見されたダンジョンの先行調査に参加することもありますね」


 本当はこの他にも、S級の中でも一部の冒険者に対して、ギルドから秘密裏に依頼される『極秘任務』というものがあるのだが、これは依頼内容も含めて他言してはいけないことになっている。

 まあ極秘だから当たり前と言えば当たり前だ。


「なるほどー、多忙な毎日を過ごされているんですねえ。では最後に、S級になったことで生活に大きな変化はありましたか?」


「そうですね……S級とはあまり関係ないかもしれませんが、以前のパーティのように窮屈で不快な思いをすることはなくなりました。自分が自分らしくありのままの姿でいられる、今のパーティメンバーが俺にとっての真の仲間だと思っています」


 ああ……以前のパーティメンバーである三人を思い出すだけでも腹が立つ。

 エマ。

 モニカ。

 そしてルドルフ。

 俺のことを蔑み、否定し、挙げ句の果てには俺のことを邪魔者扱いして追放しやがった。

 しかし今となっては俺だけがS級に昇格している。

 あいつらはパーティメンバーを失ってどこかで落ちぶれているに違いない。


「わかりました、ありがとうございます。そして応援席にはたった今話にも出ました、ミシェルさんの現在のパーティメンバーであるヴァレリアさんとエリザさんが応援に駆けつけてくださいました」


 ビレテカメラが応援席に座る二人の方へ向く。

 ヴァレリアが軽く会釈し、エリザも元気よくカメラに向かって両手をぶんぶんと振った。


「彼女たちに今日の意気込みをお願いします」


「えっと……応援よろしくな」


 俺がそう言うと、エリザが立ち上がって「ご主人がんばれー!」と大きな声援をスタジオ内に響かせた。


「いやあ、とても微笑ましい光景ですねえ。それでは改めてルールを確認しましょう。イリナさん、お願いします」


「はい。これからミシェルさんには、ギルドから一人前として扱われるC級までに得ることができる基礎知識を元に作成された問題に挑戦していただきます。問題は十問出題され、見事全ての問題に正解することができれば、賞金100万ゴールド獲得となります」


 イリナの説明に合わせて女性スタッフが皮袋を持って現れ、袋の中に大量の金貨が詰まっていることをカメラに向かってアピールした。


「また、この100万ゴールド獲得の権利を放棄することにより、ボーナスステージと称しまして300万ゴールドを懸けた高難易度の十一問目に挑戦することもできます」


 スタッフが追加で二つの皮袋を取り出した。

 やはり中にはたっぷりと金貨が詰まっている。

 

「ただし、十一問目に不正解してしまった場合、既に放棄した100万ゴールドを再び取り戻すことはできないのでご注意ください」


 なるほど、リスクを冒して十一問目に挑むか、それとも確実に100万ゴールドを持ち帰るか、どちらを選択するかは挑戦者の自由というわけだ。

 だがヴァレリアによると、途中リタイアして賞金を持ち帰った場合は視聴者からの評判がよくないことが多いらしい。

 初登場で、しかも最近有名になり始めた俺がこんな真似をしたら、今後の評判に大きく関わるということは容易に想像できる。


「そして挑戦者には三種類の救済措置が用意されています。挑戦者の代わりに応援席が代わりに解答する『応援席解答』、不正解の場合にもう一度だけ解答権を得ることができる『転生』、強力な助っ人からヒントを貰える『助っ人召喚』。救済措置はそれぞれ一度ずつ、一問につきいずれか一つのみ使用することができます。例えば『応援席解答』を使用して不正解の場合に『転生』を使用してもう一度解答権を得ることはできず、この時点で挑戦失敗となります。また、これらの救済措置は十一問目で使用することはできないのでご注意ください」


 最初の二つはシンプルでわかりやすいが、問題は三つ目の『助っ人召喚』だな。

 俺は助っ人が誰なのか聞かされていない。

 ヴァレリアとエリザは応援席にいるし、こういう番組に出てくるとしたら、顔見知りのS級冒険者か魔術師、もしくはギルド関係者あたりか。

 大穴として、とある極秘依頼で偶然知り合った第四王女のマーガレット……いや、さすがに王族が出てくるとは考えにくい。

 いずれにせよ問題によっては完全に無駄になる危険性も秘めており、ハイリスクハイリターンで使い所が最も難しいことは間違いない。


「そしてスタジオ内には不正防止のため、スキルと魔法の使用を封じる魔術結界が展開されています。その他にも魔道具やハンドサインといったあらゆる不正行為が発覚した時点で即失格となります」


 これについては特に問題ない。

 そもそも俺のスキル【覇者の心眼SSS+】は戦闘用のスキルだ。

 カンニングに利用できるような魔道具も所持していないし、不正を疑われる筋合いはない。

 それにしても、クイズ番組の不正防止のためだけに習得難易度Sランクの魔術結界の使い手を用意するなんて、放送協会はいったいどれほどの人材と財力を有しているのだろうか。


「さてミシェルさん、準備はよろしいですか?」


「ああ、いつでも」


 俺は力強く頷いた。

 さあ始めよう。

 ここから俺の新たな人生の幕開けだ。


「それでは早速参りましょう!第一問!」

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