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最終話.最高のエンターテイメント

「ミシェルさん?」


「……」


「ミシェルさーん!大丈夫ですかー!?」


「……」


 俺は無言でダイアンを睨みつける。

 何が「大丈夫ですか」だ。

 腹立たしいなんて表現では到底足りない。

 激しい怒りの感情が俺の中で渦巻いていた。

 

「実はですね、ミシェルさんにお伝えしなければならないことがあるんですよ」


「……は?」


「この番組は『あなたはC級冒険者より賢いの?』ではございません!」


「何、を……」


 言葉の意味が理解できない。

 俺は確かにクイズ番組の出演依頼を受けて……。


「おや、聞こえませんでしたか?この番組は『C級冒険者より賢いの?』ではございません!『ドッキリざまあキングダム』です!」


「……」


 ドッキリ……ざまあ……。

 その言葉を何度か呟く内に、現状をなんとなく把握することができた。


 要するに俺はまんまと騙されたわけだ。

 こいつらの目的は、俺がルドルフ殺しの犯人であることを生放送で世間に暴露すること。

 それもただ暴露するだけではない。

 クイズ番組を装い、俺の精神を逆撫でしながらジワジワと追い詰める……いわば公開処刑だ。


 だが甘いな。

 この計画の最大の欠点は、俺の強さを考慮していないことだ。

 結界でスキルを封じていい気になっているのだろうが、貴様ら有象無象の貧弱ステータスでは何人束になろうが俺を捕らえることは不可能。

 とはいえ、既に不特定多数の人間に俺の行為を知られてしまった以上、今さらスタジオ内の連中を全員始末したところで冒険者活動を続けることはできない。

 だからといって大人しく牢屋に入ってやる気は毛頭なかった。

 俺の頭の中に、とある壮大な計画が自然と浮かびあがった。


 これからは"裏の人間"として生きていく。


 暗殺者でも密売人でもいい、俺の腕を買いたがる奴は裏の世界にいくらでもいるはずだ。

 実際、冒険者に飽きていたのは紛れもない事実。

 今さら表の世界に未練なんて残っていない。

 そうと決まれば、こんなところに長居は無用だ。

 

「おっと、どこへ行かれるのですか?番組はまだ終わっていませんよ」


 ダイアンが俺の進行方向に立ち塞がる。

 やれやれ、最後まで本当に鬱陶しい男だ。

 散々俺をコケにしやがって……そうだ、ちょうどいい、こいつは見せしめに殺しておくとしよう。

 そうだな……よし決めた。

 まずは脚をへし折り、それから指を一本ずつーー。


「がはっ……!?」


 突然、俺の体が勢いよく吹き飛ばされた。

 受け身をとる暇もなく背中から床に激突したせいで口の中に血の味が広がる。

 な、何が起きた……!?

 急いで立ち上がろうとした瞬間、足元がふらつき、腹のあたりから鈍い痛みがじわじわと広がり始める。

 これは……まさか蹴り飛ばされた!?この俺が!?


「くそっ、痛ってぇ……」


 どうにか上半身を起こすと、スーツの襟を整えながら平然としているダイアンの姿があった。


「これはおかしいですね。あまりにも手応えがなさすぎます。ミシェルさん、あなた本当にS級冒険者ですか?」


「舐めやがって……」


 いちいち癇に障る男だ。

 不意打ちがうまくいった程度で調子に乗るなよ。

 あんなふざけた攻撃、二度と喰らうものか。


「舐めやがってええええええええ!!!!!!」


 お前が泣いて赦しを乞うまで殴り続けてやる。

 お前が泣いて赦しを乞うても蹴り続けてやる。

 俺を馬鹿にしたことを徹底的に後悔させてやる。


 俺は腹部の痛みを無視して立ち上がった。

 このクソ生意気な司会者に、圧倒的実力差というものをわからせてやる!


 ……。


 ……。


 ……?


 ……おかしい。

 おかしい、おかしい、おかしい、おかしい!

 こんなことはありえない!

 何度も拳を振るったはずなのに!

 何度も蹴りを放ったはずなのに!

 こいつは平然と立っていて!

 どうして俺だけがダメージを受けている!?


「くそっ……くそっ、くそっくそっくそっ!!!!」


 手足に力が入らない。

 視界も霞む。

 我慢していた腹の痛みに耐えきれず、俺は思わず膝をついた。


「腑に落ちない、といった顔ですね」


「お、お前……何者だ……」


「ですから『ドッキリざまあキングダム』のダイアンだと何度も言ってるじゃないですか。言葉、通じてます?」

 

 こいつの言葉に惑わされるな。

 俺がこんな奴に負けるわけがない。

 何か仕掛けがあるに決まっている。

 ……そうだ、結界!

 俺はスキルを封じられているせいで全力が出せていないだけだ!

 スキルさえ使えたら、こんな雑魚瞬殺できる!


「いやあ、いい顔ですよミシェルさん!撮り高いただきました!」


「黙れ!結界を解除して正々堂々勝負しろ!」


「おやおや、おかしなことを言いますね。まるでスキルがないとまともに戦えないように聞こえますよ。誤解されているようですが、私もスキルを使えないというあなたと同じ制約を受けています」


「負けるのが怖いんだろこの卑怯者!」


「いくら大きな声を出されても、ご要望には添えかねます。何故なら当番組に求められているのは、あなたが一方的に痛ぶられて無様に敗北する姿、つまり『ざまぁ』なのですから」

 

「敗北だと!?ふざけるな!俺のステータスはーー」


「もちろん知っていますよ。レベルが高い、ステータス値が高い、そしてスキルが強い。しかしあなたの場合はそれが最大の問題点でもあるのです」


 ダイアンが俺に向かって人差し指を突きつける。

 

「ステータスとは本来なら長い時間をかけて己の肉体や精神、そして経験と共に成長するものです。それがあなたは何の因果か非常に強力なユニークスキルを得たことで、僅かな期間で何の努力もせずにレベルと能力値だけが急激に上がってしまった」


「それの何がダメなんだ!どうせ俺が簡単に強くなったのが羨ましいだけだろ!」


「これはこれは……やはりあなたは本当に残念な思考の持ち主なのですね」


 ダイアンがわざとらしく首を横に振る。


「これは何もスキルに限った話ではありません。精神の成長をおざなりにして何の対価も払わずに、突然強大な力を手に入れた人間がどのように変化するのか、あなたはご存知ですか?」


「知るかそんなもの!この世界は力が全てだ!」


「その意見には概ね同感ですが、この場合の模範解答は『傲慢になる』です。これは刃物を持った無知な子供に例えることができます。刃物の斬れ味や殺傷能力を自身の力だと勘違いして自惚れた子供は、刃物を振り回すことばかり覚えて鍛錬を怠るようになるでしょう」


「それがどうした!俺のスキルを俺の好きなように使って何が悪い!」


「まだわかりませんか……」


 ダイアンが小さなため息をつく。


「スキルとはすなわち、誰もが持つ刃物。しかしその性能は人それぞれです。あなたは運良く【覇者の心眼SSS+】というスキルを手に入れたにも関わらず、その能力に慢心して自らの鍛錬を怠ってしまったのでしょう。その結果できあがるのは、レベルが高く、ステータス値が高く、スキルが強い……ただそれだけの弱者に過ぎません。ある程度ならステータス差で誤魔化せるかもしれませんが、心身共に鍛錬を積み重ねてきた真の強者に勝てる道理はありません」


「黙れ……黙れ、黙れ、黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!!」


「スキルは使っても使われるな、この言葉は実に的を得ていますね。愚か者は武器を失うことで、ようやく己の無能さを自覚するのです」


 違う!こいつが言っている内容は全部デタラメだ!

 俺は弱くない!俺は強い!

 俺が負けたのはこいつらが卑怯な手を使ったからに決まっている!

 俺は最強のスキル【覇者の心眼SSS+】を持ったS級冒険者だ!


「さて、このまま説教を続けていると番組の趣旨が変わってしまいそうだ。メインイベントの準備が整うまで、ミシェルさんにはしばらく大人しくしてもらいましょう。シャーロット、お願いします」


 ダイアンが指を鳴らすと、知らない女がすぐ側に現れた。


「かしこまりました、ダイアン様」


 シャーロットと呼ばれたその女が右腕を軽く振った瞬間、俺の手足が光の縄で縛られて、体が空中に吊るされた。

 な、何だこれは!?

 どれだけ力を込めてもびくともしない!

 なんという魔力密度……いや、そんなことよりーー。

 

「ど、どうしてお前は魔法が使える!?」


 スタジオにはスキルと魔法を無効化する結界が張られているはずだ。

 もしや結界が解除されたのかと思い、俺も【覇者の心眼SSS+】を使おうとしたが不発に終わった。


「アホか貴様、自分で展開した結界の制約を受ける間抜けがどこにいる。冗談は顔だけにしておけ」


 シャーロットはまるでゴミを見る様な目で俺を見下してくる。

 しかしそれと同時に、こいつこそが真のアホであることが確定した。


「エリザ!ヴァレリア!この魔術師を攻撃しろ!」


 結界を張ったのが自分であると迂闊に話したことがこの女の敗因だ。

 自分以外のスキルと魔法を無効化するという最上位の結界、そんな代物をスタジオを覆うほどの大きさで長時間維持すれば、相当量の魔力を消耗しているはずだ。

 そんな疲弊した魔術師ごとき、A級に匹敵する実力を持つあいつらなら一瞬で制圧できる。

 クソ生意気な司会者が訳の分からない無駄話をしたおかげで、腹の痛みもだいぶマシになってきた。

 拘束と結界が解除された瞬間、俺を馬鹿にしたことを真っ先に後悔させてやる。


「……」


「……」


 だが、いくら大声を出しても二人は攻撃を仕掛けるどころか微動だにしない。


「何してる!さっさとやれ!」


「……」


 何故攻撃しない!?

 二人とも拘束されているわけでもないのにどうして……いや、さっきも俺を助けようとしなかった。

 まさか裏切ったのか!?


「まったく、驚きを通り越して呆れてしまうな。貴様にはまだアレが仲間に見えていたとは」


「は!?ど、どういう意味だ!?」


「こういう意味だ」


 シャーロットが今度は左腕を軽く振る。

 すると二人の輪郭がみるみる溶け始めて、中から見たことのないパーツで構成された真っ黒な素体が現れた。


「人形……魔術……!?」


「とっくに気付いていると思っていたが……これは想像以上の大マヌケのようだ」


「い、いつから入れ替わって……」


「貴様に答える義理はない」


「こ、こんな一人相手によってたかって、お前ら恥ずかしくないのか!?」


「『二人は無事か』とは聞かないのか?彼女たちは仲間だろう。それとも、貴様の命令を何でも聞く都合のいい動く女型肉塊としか見ていなかったのなら話は別だが」


「くそっ、あいつら……」


 肝心な時に役に立たない無能どもが……。


「ありがとうシャーロット、大変素晴らしい余興でした。おかげで準備が整ったようです」


 ダイアンが声をかけると、シャーロットが目を閉じて一歩後ろに下がった。


「さあ番組もいよいよ大詰め、本日のメインイベントに移らせてーー」


「何がメインイベントだ!こんなことして、何が楽しいんだ!」


「……進行妨害はやめていただきたい。勘違いしているようですが、楽しむのは我々ではなく視聴者です。需要がなければ番組は成立しません」


「需要、だと……?」


「これは私の持論ですが、現在のビレテ業界は健康的で文化的な、家族や友人と和気あいあいと楽しめる心に優しい番組作りが主流となっています。それはそれで一つのエンターテイメントの形であることは否定しません」


 ダイアンが芝居じみた動作で大きく両手を広げる。


「ですが世の中には、そんなものでは満足できない偉い方々が大勢いらっしゃることもまた事実。決して演技や作り物では表現できない、リアルで刺激的な、人間が苦しみ、憎悪し、絶望し、叫び、のたうち回る姿を見るのが好きでたまらない……当番組はそのような欲求を満たすための、特別会員限定プレミアム番組となっております」


「く、狂ってる……っ!」


「おや、好意を寄せていた女性を奪われたと勝手に逆恨みした挙句、私怨で仲間を手にかけた人間が言ってもただのギャグにしか聞こえませんよ」


「なっ……」


「おっと失礼、図星でしたか」


「だ、黙れ!黙れ黙れ黙れ!!」


「あなたはルドルフさんとエマさんが結ばれることが耐えられず、追放された復讐も兼ねてルドルフさんを殺した……違いますか?」


「殺すッ!!お前だけは絶対に殺すッ!!!!」


「おやおや、どうやら大正解のようですね。まあどうでもいいことですが」


「全員ぶっ殺してやらぁぁぁぁあああ!!!!!!」


「さて、盛り上がってきたところで番組もいよいよ大詰め……これさっきも言いましたね。当番組のメインイベント、ざまあタイムに移らせていただきます!」


 スタジオ内に明るい音楽が流れる。

 そして俺が最初に通った派手な門から、弓矢を持った小柄な女が現れた。

 女は俺から少し離れた場所で立ち止まると虚な目で睨みつけてきた。


「お前……エマ、か……?」


 髪をバッサリと切っており少し痩せているが、俺の隣で剣を振っていた頃の面影を感じる。

 エマは何も言わず静かに弓を構えた。


「お、おい……何やってーー」


 矢が放たれた。


 右肩に強烈な衝撃が走る。

 ミシミシと肉が裂ける音。

 ぷくぷくと血が噴き出る音。

 モンスターで遊んでいるときに何度も耳にした、あの心地よい音がすぐ近くから聞こえる。

 

 ……熱っ。

 ……。

 ……。

 ……痛い。

 ……痛いっ!

 痛いッ!痛いッ!

 痛い痛い痛い痛い痛い!!!!!!

 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!!!!


「ああああああああああああ!!!!!!エマてめえええええええええええ!!!!!!」


「この弓、覚えてる?」


 再び弓を構えながらエマが尋ねてくる。


「知るかそんなゴミ!!!!あああああ痛ぇぇぇええええくそがあああああああ!!!!!!」


「そう……」


 二本目の矢が放たれ、左ももの肉がえぐれる。


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」


痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺痛殺


 苦痛。


 恐怖。


 憎悪。


 原始的な情動がミシェルの思考を支配した。


「ご紹介しましょう。ただ今見事な弓術を披露してくださったのはエマ・カーターさん。本日の挑戦者、もといざまあターゲットであるミシェルさんの元パーティメンバーの一人です」


「……」


 エマは無言で三度弓を構える。


「さて、エマさん。恋人の命を奪ったにも関わらず何の罰も与えられないまま、のうのうと生きてきた仇を目の前にしたお気持ちはいかがですか?」


「……そんなことよりもう一度確認させてください。半獣人の女の子とエルフ族の女性、あの二人に手を出していませんよね」


「ええもちろん。今回のターゲットはミシェルさんただ一人。彼女たちは別スタジオで謎解き脱出ゲームに楽しく挑戦されていますよ。カバーストーリーもきちんと用意してあるのでご心配なく」


 ダイアンの返答を聞いて、エマは静かに頷いた。


「それを聞いて安心しました。あの人たちは被害者だから……」


「ではお好きなタイミングで……おっとエマさん、あなた意外とせっかちですね」


 矢は寸分の狂いもなく、ミシェルの心臓を貫いた。

この作品はこれで完結となります!

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― 新着の感想 ―
[一言] 終盤の、物語がひっくり返る感覚が非常に良かったです。 また、『あ〜ここから主人公は助かるんだろうなぁ』という期待を裏切り、そのまま物語が完結したのには「斬新だ!」と思わず声が出てしまいました…
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