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生存戦略 Extra Round:1

ふはは!今日も投稿だぜ!

なんかユウくんが死ぬ話は書きやすいなぁ!


あ、最後に視点転換があります。ご注意下さい。



最終日: Extra Round





 ── warning warning ──


 ──【海神】『???』が襲来しました──


 ──全プレイヤーが【強制依頼ミッション:海神討滅戦線】を受注しました──




 ──当ボスは特殊レイド戦となっております、通常のボスよりも遥かに強大です──


 ──その分報酬は非常に豪華となっております──


 ──皆様死力を尽くして討滅してくださいませ──

 

 ──それでは皆様、ご武運を──




 ──イベント時間が延長されました──






イベント終了間際に突如襲来した異形の化物。

今、僕たちがいる場所は海岸線から結構離れた内地なのに、かの化物の姿をはっきりと視認できるほどの巨躯。

無数の触手を蠢かせ海岸付近に居るらしいプレイヤーに襲いかかっているのも視認できるほどだ。


「教授、掲示板はどうだ?」

「ダメだね、情報が交錯してる。見た目通りのタコの化け物で水と何かの複合属性もちって事ぐらいしか分からない」

「そうか……」


各方面に巨大なパイプを持つ教授にも詳細な情報が届かないようだ。

たぶんもっと詳しい情報が欲しかったら教授本人が直接識別しに行くしか無いのだろう。


「さて、みんな。どうする?」

「どうするって、何がですか?」


ニアさんが僕らに問いかける。


「あいつと戦うか、戦わないかだ。正直イベント自体は9割がた終わってるんだし、このミッションも失敗ペナルティも特に無いみたいだ。やれば報酬が貰えるけどやらなくてもなんら問題が無い部類のものだな。このままここで観戦しててもイベントは終わる。戦えば死んだ分だけ貯めたポイントも減っていく。さて、どうするって事だ」

「そんなの……」


あぁ、もう。ニアさん意地悪だな!


「「「「「「そんなの、戦うに決まってるじゃん!」」」」」」

「と言うか、聞く必要ある?」

「そも、こんな楽しそうな事逃すのはあんまりでしょう」

「せっかくのゲームなんだからなやれる事はなんでもやらないともったいない!」

「他の奴らがめちゃくちゃ楽しそうなのに見てるだけとか地獄じゃん!」

「うむ!!」

「俺は豪華な報酬が気になるな。そのためにもある程度の活躍をしないとな」


この先もう一度あるのかもわからない超大規模戦闘だ、参加せずにただ見てるだけなんて、そんなつまらないことを選ぶ人なんかここには居ない。


「だよな!聞いてる私も途中で何言ってんだろ私?って思ったもん!こんな楽しそうな事やらなきゃ一生後悔ものだよな!」


そう言ってニアさんがあるアイテムを取り出す。

青白く揺らめく真紅の鱗。フレアが僕たちに渡した鱗の笛だ。【海神】を見つけたら必ず呼ぶように言われてるからね。


「じゃあ、私が吹いてもいいかな?」

「「「「「「「どうぞ」」」」」」」


メンバー一同の了承を得たニアさんが笛を吹く。

だが、確かに吹いたはずの笛は音はせず、ただ空気の揺れるようなエフェクトが発生しただけだった。


不発かな?


そう思った時、ミッションの詳細欄が更新された。


 ──プレイヤー:ニアナにより旧【海神焼却機関】の介入に成功しました。旧【海神焼却機関】の到着まで残り : 600秒──


そういえば彼女、久々の大空だ!って飛び去っていったっけ?到着まで10分ほどかかる模様。


「あー、うん。とりあえず私たちも前線まで進むか」

「「「「「「「はーい」」」」」」」」


「あ、そうだ。教授」

「ん?なんだねユウくん」

「ここから前線までと拠点から前線までの距離ってどっちの方が遠いですか?」

「少し待っていたまえ………。うむ、ほんの誤差程度だが拠点からの方が遠いな」

「なるほど……。ありがとうございます。ついでにですけどここからあのボスの体力とか見れますか?」

「うむ、細かい数値はともかくHPゲージを見るだけなら何とかなるな。それがどうかしたのかね?」

「いえ、ちょっと射程圏内・・・・だったので試しに一当てしてみようかと思いまして。教授は観測手をしてもらいたいんです。あ、ニアさーん!ちょっとパーティー抜けて死んできますねー!」

「あ、ちょいユウ!お前まさか!」

「はい、ちょっと『夜天王ノ流星』って来ますね!避難勧告とかよろしくお願いします」

「しょうがないなぁ、任された。でも撃ち終わったら絶対に戻ってくる事。良いな?」

「はい、じゃあまた後で合流しましょう!」



そう言ってパーティー脱退申請を送り、ニアさんが許可する。

駆け足で戦場へ向かうみんなの背を見送りながら僕は魔弓を構える。

放つ前にスキルをもう一度見直す。うん、多分これが現状僕が出せる最高火力だろう。


「はぁ〜……。『刮目せよ!我が肉体に……』」


『夜天王ノ流星』発動のために必要な詠唱を朗々と、高らかに歌い上げる。

見据える先は遥か彼方、猛威を振るう異形の化物。

ならばこそ相対するは英雄こそが相応しい……!


詠唱が終わり、光り輝く矢が空を駆け上がる。


さあ、潜伏状態から放たれる暗殺の効果を持った防御無視、耐性貫通の爆撃!どれくらいのダメージかな!


「『夜天王ノ流星(ステラ)!』」


着弾を見届ける事なく、僕の体は爆散した。

視界が暗転する。








目を開けると今朝出発した僕らの拠点に戻ってきている。そう大した時間は経って無いはずだけど随分と懐かしく感じるね。


ステラは本来なら隠密状態では撃つ事はできないんだけど僕の新しく獲得したスキル『姿が無き者(ジ・アンノウン)』の効果により、敵視されながら隠密状態になることが出来る。まあ、これは副次的な効果で本来の効果はもっととんでもないものだけど、今回はこれで十分。


とりあえずステータスを確認する。

うん、獲得ポイントの減少は起こっているものの深刻なステータスペナルティは受けてないね。これならすぐに戦線復帰出来そうだね。


殆どの家具がなくなり妙に広く感じる拠点を後にし前線に向かう。



ただ、ここで少しある事を思いついた。

いや、魔が差したと言うべきかもしれない。

踵を返し、拠点の屋根に登る。

ここからなら地上からよりはよくボスを見れる。

さて……。


「『アンコールショット』」


再び、僕の体は爆散する。






拠点の屋根から部屋の中に戻される。


『アンコールショット』直前に発動したアーツを再使用時間を無視して再発動させるアーツ。ただし再発動させたアーツのデメリットなどを二倍にする効果もある。

これが普通のアーツなら再使用時間が倍になったり、武器の耐久値が大幅に減ったりするぐらい。これが『ステラ』だとちょっと大変なことになる。

普通の状態のステラ使用時のデメリットは5時間の全ステータス8割減と全装備の耐久値7割減。最後にレベル一つ分の経験値消費。さらにこの経験値消費には消費した分の経験値を稼ぐまで取得できる経験値が減少する二重苦まで存在する。

さて、ではこのデメリットを二倍にしよう。

先ずは10時間全ステータス160%減少。すでに何言ってるのか分からないね?100%を超えてるけど大丈夫なのかな?続いて全装備の耐久値140%減少。つまりは全装備のロストに等しい。最後にレベル二つ分の経験値消費と取得経験値減少。多分取得経験値減少も二倍になるだろうから実質的に詰みになる可能性が高いね。

絶対にアンコールされる事を想定していない『ステラ』だったけど、このイベントの特殊なデスペナ設定により二連ステラが実現してしまった。まあ、通常エリアだったらペナルティがついてるからそもそもペナルティ中のステラの使用が不可能なんだけどね?


さてさて、急いでみんなのところに戻ろう!


















※ユウと別れた後のニアナ



「絶対に戻ってくる事!良いな?」


そう言ってユウを置いて前線に向かう。

見る見るユウが小さくなり見えなくなった。


「……よし、各掲示板にて避難勧告完了。これで逃げなかったら知らん。私達は勧告はした。いいな?」

「「「「「おう」」」」」



しばらく走っていると、背後から眼を焼くような極大の光の矢が空を昇っていく。



「む!始まったな!アポロ君、私を抱き上げたまえ、なんなら肩車でも良いぞ!私は観測に入る」

「はいはい、失礼しますよっと!」


チラッと後ろを見るとアポロが教授を肩車して走っている。

ふふふ、ダメだ。結構面白い。


「しかし、なにが悲しくて一回り以上年上の、しかも男を肩車なんかして走ってるんだろうな俺」

「しらん、しかし揺らすんじゃないぞ」

「へいへい」


天に昇った極光の矢が地へと堕ちる。

直後、着弾し大爆発を起こした!


「教授、ダメージはどれくらい?」

「むむ……。ふ、ふはは、はぁはっははは!ニアナ君!凄まじいダメージだぞ!あのボス【海神】だったかな?アレは総計10の体力ゲージを持っていたのだがね。その最初の1本が、今の一撃で半分を下回った!恐らくだが並のボスならば開幕10割を達成出来るほどの威力だろうな!」


マジか……。ユウからとんでもない威力だとは聞いていたけどそこまでだったのか……。


「これじゃ並大抵の戦果じゃドヤれないぞ!?」

「そうだな、私としてはもう既に満足なんだがな……。いや、やはりボスのステータスを丸裸にしたいな。うむ!やる気が出てきた!」

「じゃあ、急ごうか。ユウ君の事だし復活したら直ぐに走ってくるよ?先に戦場につかれないと良いね」


……そういえばユウって『セクレート─ディオン』間を1時間かけずに走破出来たんだっけ?まずい……急がないと!


「ペース上げるぞ!遅れずに付いて来い!」


















しばらく走っていると遥か後方から見覚えのある(・・・・・)極光が空を灼いた。


「まさかユウ君!?アポロ君!また抱き上げたまえ!急いで!」

「へいへい!ちょっと荒いですが勘弁してくださいよ!」


なんとか教授が観測を用意を整えたとほぼ同時に極光が異形の怪物に着弾した。


「……ふふふふふふふ」

「ちょ!?教授!?どうした!ついに壊れたか?」


着弾観測と同時に不気味に笑い出した教授。端的に言って気持ち悪い。


「削り切った」

「はあ?」

「ユウ君だよ、他プレイヤーの多少のダメージ貢献はあったとは言えゲージ1本目と2本目の5分の1ほどまで削ったんだ。実質的にユウ君はたった一人で、単独でバフもなくレイドボスの体力ゲージを丸々1本削り切ったんだ!」



これは本格的にユウにドヤれなくなりそうだな!

って言うかユウ、あいつ散々私のことブッ壊れって言ってたけどあいつの方がよっぽど壊れてるじゃないか!






そういえばPVが200万超えたみたいです。皆さま応援ありがとうございます!これからも頑張って適度に死ぬ主人公を目指していきます!

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― 新着の感想 ―
[良い点] もっと爆発をよこせーー [一言] 探せー! 作者を運んでこーい!
[一言] ステラ連発なんて、気がおかしくなったと言われても不思議じゃねーや(遠い目)
[良い点] 1プレイヤーのちょっとしたお茶目で、初っ端からがっつり体力減らされたレイドボスさんに黙祷……いやぁ、この作品改めて最高!
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