生存戦略 Part13
今年中にイベントリザルトまで行きたいなぁ……。
最近ブラボを再開したんですけど……うん、ガスコインやっぱり強いですわ。銃縛りはガチでキツい。
ステラを放ち、無事?爆散した僕は何やらぷかぷかと水面で漂っているかの様な浮遊感のある空間に飛ばされた。
普通の死に戻りなら視界が暗転した後直ぐに復活地点で目がさめるのだけど……。アレかな?ドラゴンが蘇生させてるから待機状態みたいな感じになってるのかな?
それにしてもこの空間、全く身動きが取れないや。
こう、頭では「動け〜!」って念じてるのに実際に動く手足との接続が切れていて反応しない感じ?
しばらくの間、ぷかぷかとした浮遊感を楽しみながら動けないかな〜?と試行錯誤していると誰かに引っ張り上げられる感覚がした。
あ、迎えが来たかな?
目を開けると先ほど僕がステラを放った立ち位置で復活している。
そういえばステラ使うと復讐者の復活って発動しないんだよね。アレが使えればだいぶ気楽にステラも使えるようになるんだけどなぁ。
まあ、気楽にポンポンステラを使えるようになったらバランスブレイカーも凄まじいし今のままで十分か。
《ゴフッ、見事だ……『夜天』の……》
後ろから聞こえた声に振り返る。
「って!大丈夫!?」
そこには右腕が消し飛び、右の竜翼も半ばから千切れ飛び、口から血を垂らしているドラゴンがいた。
《まあ、比較的軽傷……コフ、だな。まさかそなたがこれ程の一撃を放つとは思っても居なかったぞ。お陰で咄嗟に防御した右前脚が持っていかれた、ついでに、右の翼もな……》
「そのなんかごめん」
控えめに言っても満身創痍なドラゴンを見て少し申し訳なくなる。
《謝る必要は、無い。試験の内容を決め、たのは我だ。結果は勿論合格だ。いや合格以上だな》
と、言うことは?
《うむ、我が素材をやる。しばし待て》
そういうとドラゴンは突然自分の体を燃やし始めた。
「ちょっと!?」
《なに、心配するな。数百年も使いまわした上ここまで傷めつけられたのだ。ならば新しく体を作った方が早かろう?》
いや、意味わからないんですけど……?説明お願いできますか?
程なくして可視化されたドラゴンのHPバーが尽きた。
ドラゴンの体が無数のポリゴンとなり爆散する。
「えぇ……」
これによりドラゴンが『倒された』判定となり僕のストレージにドラゴンの素材が送られてきた。
「おお!?私たちにも送られてきたのか!」
「よし!これで名実ともに竜騎士になってやるぞぉ!」
訂正、僕たちにだ。
でも、えぇ……。これ良いのかな?絶対正規手段じゃ無い気がするんだけど……。
「(『GMコール』)ボソ」
周りに聞こえないように小さく神様を呼ぶ。
《はいはーい、ちょっとそっちに行く事は出来ないけど状況は常時モニタリングしてたからわかってるよー。運営としては問題ないよ。元々こちらから干渉できる事柄でも無いしね》
対応してくれたのは……声からして雅さんかな?
「(わかりました、じゃあ遠慮なく使っちゃいますね。っていうか運営でああ言ったの管理できないんですか……)」
《うん、もうその世界は私たちの手を離れつつあるからね。もうほとんどの事は各AIが取り仕切ってるよ》
「(へぇーそうなんですか。あ、用件は以上です。ありがとうございました)」
《へいへい、またねー》
うん、素材は好きに使って良い事が分かれば良いや。
コールを切る。
ちょうどその時、ドラゴンが燃え尽きた場所の真上に真っ赤な火の玉が現れた。
火の玉は徐々に大きく、そして色を青白く変えていく。
火の玉の成長が最大(?)まで達した時。
ズボッ、っと中から『手』が出てきた……!?
「ふははは!我!復活!!」
飛び出た手に続くように火の玉の中から現れたのは一人の女性だった。
背はニアさんよりも少し高いくらいかな?髪は燃えるような紅色で無造作に背後に投げ出され、その髪を押し分けるように側頭部から二本の角が生えている。
着ている服はどちらかと言うとドレス。それもパーティードレスに近いようなデザインで袖はなく二の腕あたりまでビッシリと鱗の生えた腕を見せつけている。
また、ドレスの背中部分も大きく開いていて、その背から生えた二対四枚の竜翼を邪魔しない作りになっている。
なお、胸はそこまで大きく無いがしっかりと存在する事は確認できる程度には大きい。
「……『GMコール』」
『いや、私達は干渉してないからね!?完全なランダムだよ!?』
思わず再びコールをしてしまったが、どうやら冤罪だった模様。静かにコールを切る。
僕の背後では、突然の美女の登場に素材に一喜一憂していたニアさん達も唖然としている。
チラッと『ほらリーダー、リーダーとして話しかけてくださいよ』とパーティーチャットでニアさんに会話を押し付けようとしたけど『真っ正面に立ってるユウに任せた』と返り討ちにされた。仕方ない……。
「えーと、どちら様で?」
いや、分かってるよ?目の前にいるのが誰かなんて。このタイミングで復活して、炎属性で、ドラゴンっぽいのなんて一人?一匹?しかいないよね……。
どうせ弾かれるだろうけど、一応識別でもしてみようか。
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【灼熱竜母】 フレア・ラムダ
lv150
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あ、通った。相変わらずほとんど見えないけど称号が変わってるのはわかる。
てかレベル高!?僕達の約3倍近くあるよ!?
「ん?何だ、先ほどまで話しておっただろうが。我だよ我、フレアだ!」
ですよね、識別したから知ってます。予想通りと言うかやはり先ほどのドラゴンで合ってた。
「あー、その、随分と変わりましたね?」
「うん?」
あ、もしかして今まで気付いてなかったのかな?
「おお!?随分と視線が低いとは思っておったが此度の身体はこうなっておったのか!それに我が号も変わっておるな。『竜母』?ふむ?」
予想通り気がついてなかったみたい。
て言うか……。
「自分の体なのに随分と無頓着ですね。前の体も躊躇なく燃やしちゃうし」
「うむ……うむ?おお、そうだな所詮は肉の体だ。傷付けば取り替えるが道理だろう。【そも、肉の体に頓着しないのは其方らプレイヤーも同じではないか。我の魂核を担う精神が傷つかねば不死であるのと同様にな】我らが気にするのは自らが名乗る号くらいのものよ」
んー?真ん中部分が丸っと聞き取れなかった。
この感覚には覚えがあるぞ。また貴様の仕業か神秘神。
「ふはは、聞こえなんだか。それならばそれはまだ其方らが知るべきことでは無いのだよ」
「そうですね、話してもらっても聞き取れないのなら意味がないですからね。今は諦めます」
「うむ、それが良かろう」
システムでブロックされているって事は跳弾に直接聞いても話してくれなさそうだよね。あの人たち普段ふざけてるのにこう言うところは割と真面目だから。
さて、本題に戻ろう。
「それで、少し話題がそれましたが。私の試験は合格。受け取る素材はさっき届いた報酬って事で良いんですか?」
「うむ、それで良い。それとこれも渡そう」
そう言ってドラゴン……いや、フレアは唐突に自身の側頭部から生える角に拳を振り下ろした。
半ばから砕け折れた角を手に笑顔で僕に差し出すフレア。普通に怖いです。
「あの……これは?」
「我の角だな。これが有れば其方の武具強化により良い結果をもたらすだろう」
んー、まあ。くれるなら貰おう。態々要らないって突き返す理由もないし。
受け取ると見た目よりもだいぶ重く角自体が発熱しているのかかなり熱い。
……まさかさっきもらった素材も発熱しているのかな。装備に焼き殺されないと良いなぁ。
少々不安に思いながらもストレージに収納する。
「さて、我はもう行くぞ。久しぶりに空を飛び回りたい」
「わかりました。それで『海神』を見つけたら笛を吹けば良いんですよね?」
「うむ、まあ号が外れた以上我が関わる義理も無いのだが先代焼却者として後片付け程度のことはしてやるからな。存分に我を呼べ」
気になる単語はたくさん出てきたけどこれ以上は聞けないかな?さっきからフレアが天井を見てうずうずしてるし。
「ではな!我が娘と夜天の!また縁が有ればまた会うだろう! 空が我を呼んでおるぅ〜!」
そう言ってフレアは天井を突き破って空に消えていった。
……背後から教授の好奇心に満ちた声が聞こえてくる。
「ユウ君、君の情報を売る気はないかね?特に先程ドラゴンに射った極光の矢とか。なに、言い値で買い取ろう。ニアナ君も何かあれば言い値で買い取るよ」
どうしようかな……ステラの情報はかなり切り札的扱いだけど切った回数なんて二回だけだし……。
注意喚起として公開しようかな。
「分かりました。あの技、ステラについてお話しします。ただ、これは注意喚起と言う意味もあります」
教授に向けてステラについて簡単に説明する。詳しい発動条件は伏せさせてもらうけどね?
「……なるほど、膨大なペナルティと引き換えに絶大の威力を誇る一撃か」
「まあ、大体そんな感じです。ただ使ってもメリットが無いに等しいので基本使用しませんが」
「よし!まとめ終わったぞ!」
僕と教授が話している間にニアさんが新種族について確認し終わったみたい。
「聞いてくれ!まず種族固有スキルがガラッと変わった。今までの種族スキルが全部消えて『戦闘種族』『竜化』『劣化超再生』『王たる種族』『水属性脆弱』『火属性超強化』の五つになった、それと『王たる種族』の効果がレベルアップが遅くなるかわりに獲得SPが4になって、すでに獲得したSPと本来獲得できたSPとの差分を追加で貰った!」
えっと、既にヤバくない?確かニアさんのレベルが54だった筈だから獲得したSPは全部合わせて214。普通の人が108レベルになって漸く到達できるレベルだ。
「『劣化超再生』は常時体力が回復状態になって、また最大体力の100パーセントまで余剰体力を保持できる様になった。『戦闘種族』は元々あった『猟犬本能』の完全上位互換だな。『竜化』は『獣化』の竜バージョンだ。竜化すると背中の翼が解禁されて空も飛べるぞ!ただ使用中は常時体力が減少していく。『火属性超強化』は通常攻撃に火属性を付与と火属性攻撃力が三倍になるマッチポンプスキルだ。ついでに火属性攻撃で回復もするぞ。『水属性脆弱』は水属性から受けるダメージが五倍になる」
えっと……待って?強化エグ過ぎない?弱点である水属性以外で本格的に手がつけられないよ?元々高耐久の盾職だったのに体力の増強と事実上のステータス二倍。更に竜化で機動力の確保。ここにフレアの素材で作られた装備も装着する予定で……。
「それから新しい称号も手に入れたぞ。えーと、『炎熱の支配者』と『灼熱竜姫・長女』だな。『炎熱の支配者』は自身の周囲の温度を自由に操れる様になる。使いこなせる様になればフレアみたいに近付いただけでダメージを与えられる様になるぞ。『灼熱竜姫・長女』は《【灼熱竜母】フレア・ラムダの長女である証。これを持つものは火に属する下位竜種に対しての命令権を有す》だって。使い道がありすぎて楽しそうだけど今は無用の長物だな。敵モブで竜種なんか出てこないし」
……早速弱点潰しにくるのやめて貰えませんか?
周囲の温度を操るってアレだよね。フレアの周りに張られてたダメージゾーン。ネルネルさんの水魔法も蒸発させてたヤツ。流石にプレイヤーがボスと同じ性能を発揮できるとは思わないけど近いことは出来そうだなぁ。
「あとは……あ、レベルも上がったな。今lv59で、戦う前がlv54だったから五つ上がってるな。どのタイミングで経験値もらったかは分かんないけど多分種族進化した後か?」
おっと、まだ強化されますか?人族換算でlv118相当のステータスを既に手に入れたわけですね?
……一人だけ突き抜けてるなぁ。
「……さて!ニアさんが相変わらずぶっ壊れ案件でしたが。今日の目的の遺跡攻略は終わりましたし帰りましょう!そろそろいい時間ですよ?」
そう、なんだかんだ朝一で攻略を始めて遺跡の完全攻略を成し遂げたが、気づけばかなり時間が経ち。メニュー画面に表示される時間ももう夕方と言っていい様な時間だ。ここから帰る時間もあるし帰ったら僕は夕食を作り始めなければならない。
「それもそうだな。よし!撤収!」
「「「「「「「おう!」」」」」」」」
帰るまでが遠足です。気を抜かない様にしましょう。
特に何事もなく平穏無事に帰ってこれました。
さて、早速お夕飯を作りましょうかね。今日はほとんど探索採取は出来なかったけど昨日までに蓄えた食材が山の様にある。せっかくだし攻略祝いとして食材を贅沢に使った御馳走。それもアニメとかで出てくる様な超御馳走を作ってみようかな?
そう思い立ち、キッチンで下ごしらえをしているとおずおずとした表情のニアさんがやって来た。
珍しいね?この時間帯だとリビングでみんなとカードゲームしてたりバウアーさんと模擬戦してたりするんだけど、どうしたんだろう?
「あ、その。ユウ」
「はい、どうしました?」
しっかりと受け答えはしつつも手は止めない。刻一刻と時間は過ぎていっているのだから。
「もし良かったら何だけど……私に料理を教えてくれないか?」
「……はい?」
思わず手を止めてしまった。
あぁ、まあいいか。止めてしまったものは仕方ない。ちゃんと顔を見て話そう。
「なんでですか?」
「いや、その……。アポロがな、ユウの料理を旨い美味いって爆食いしてるじゃんか。私もユウの料理は美味いし好きなんだけど。こう、私のその……。……者が私以外の料理を食べるってなんかモヤモヤして。現実でもすぐ側に住んでて幼馴染みで、でも、私料理出来なくてさ、一回も私が作った料理食べさせた事なかったんだ。だから……」
うん、そうか。何だろうねコレ。
普段とのギャップ?が凄い。
「……料理スキルはありますか?」
「……っ!良いのか?」
「やるからには本気で叩き込みますよ」
「あ、ああ!頼む!料理スキルは昔クエストで貰ったスキル習得券で手に入れてきた!」
「なるほど、じゃあ一応この包丁を使ってください。調理スキルと料理スキルの両方が付与されていますから多少は助けになってくれるでしょう」
「ありがとう!でもユウは大丈夫なのか?」
まあ、たしかに使い慣れた包丁の方がいいけど……。
僕専用の領域となりつつあるキッチンの戸棚の一つを開ける。そこにはガン爺作の各種包丁が収納されていた。実は僕がガン爺に料理道具一式の製作を頼んだ際に創作意欲が刺激されたらしく色んなものを追加で作ってくれたのだ。正直言ってそんなに包丁を渡されても使うことなんて無いので今まで日の目を浴びなかったけど漸く使うことができた。とりあえず三徳を持つ。うん、良い作りだ。
「まあ、その包丁があろうとなかろうと私自身のリアルスキルが変わることは有りませんから」
でも、一応僕自身のスキルに料理と奉仕術を付けておく。
うん、付け替えるときにチラッとステータスが見えたけど気にしない。夜の警備の時にちゃんと見よう。
今晩の夕食にニアさんの料理指導。タスクは二倍になってしまったけど……。まあ、大丈夫だろう。
それにお母様も「恋する乙女には助けがあって然るべきなのよ!」って言ってたからね。
「それじゃあニアさん、始めますよ!先ずは実際にやってみましょう!」
「ええ!?握り方とか切り方とか教えてくれるんじゃないの?」
「時間が沢山あればそこからでも良いかもしれませんが今回はスパルタです!ダメなところをどんどん指摘していきますよぉ!」
乙女は助けるべし。そう言ったお母様は「ただ甘やかすだけの助けなんて害にしかならないわ、後々まで生きる様に導くことも大切なのよ」とも言っていたからね。
さて、僕も僕でやり始めよう。
2時間後……。
「はぁ、はぁ、で、出来た……」
「はい、お疲れ様でした」
料理は無事に完成した。
いやいや、ニアさん料理初心者という割にはかなり筋が良かった。僕の言うこともちゃんと聞いてくれたし同じミスは2度としなかったからね。元々素質はあったんだと思う。おかげでみるみる成長し、僕が作る予定だった超御馳走の中の簡単な部類の品を二つ三つ任せることが出来た。
「ユ、ユウ料理っていつもこんな感じなのか?」
「いえ、今日は特別ですよ。遺跡の攻略祝いと言うことで特別に豪華にする予定だったんです。いつもはこれの半分ぐらいの労力ですね」
「半分……。ってもしかして私めちゃくちゃ忙しい時にお願いしちゃった!?」
「大丈夫ですよー。たしかにニアさんへの指導が増えましたがその結果ニアさんが料理を手伝ってくれたでしょう?」
「それは……でも」
「私の母様の教えにこんなのが有ります「恋する乙女は助くべし」ニアさんは好きな人のために頑張って私に頼み込んだんですよね?だったら私が断るはずないじゃないですか」
それに……。
「今日は攻略のお祝いの日です。そんな特別な日に初めての料理を食べてもらう。特別に特別を重ねられるってなんか良いじゃないですか」
「……ユウさん。ありがとうございます」
「どういたしまして。あとロールが剥がれてます」
「え、あ……!いえ、いいんです。今だけは大丈夫です。それでユウさん。もしよろしければこのイベント中、私の料理指導を継続してお願いできませんか?できることならイベント終了後も予定が大丈夫なら……」
「いいですよ。ただイベント後は本格的に攻略を再開するのでなかなか時間が取れないかもしれませんが」
「ありがとうございます!先生!」
「せ、先生?私の方が年下ですけど……」
「教えを乞う私が生徒、指導するユウさんが先生。おかしなことはないと思いますが」
「まあ、いいか。じゃあニアさん。あと2日頑張りましょう」
「はい!」
さて、もう一つ悪巧みをしようかな?
まあ、悪巧みと言うほどの物でもないただの一手間なんだけどね。
……はい、終わり。後は仕上げを御覧じろっと。
「さぁさぁ、皆の衆!夕餉の時間じゃ!!」
僕の呼び声に大きな欠食児童達が食卓に群がってくる。
「おお!なんか今日は豪華だな!」
「はい、攻略祝いと言うことで奮発しました!」
早速ルーレットさんが飛んできた。それに続いて他のメンバーも続々と席に着く。
「それでは、早速いただきましょう!」
「「「「「「「いただきます!」」」」」」」
言うが早いが早速みんな料理に手を伸ばす。
「美味い!」
「うん、毎日でも食べたいね」
「うむ、正直妻の料理よりも美味しいね」
「……ねぇ、ユウ。私のとこにご飯作りに来ない?」
「むん!むん!」
「ははは、ありがとうございます。あ、確かに上手く作れたかも」
さて、みんなの相手をしつつ気になるのはとある一角。そう、アポロさんのところだ。
「うん、美味い」
よし、その料理を食べたな?気付け気付け気付け気付け。
「でも、なんか味付け変えた?」
アポロさんの隣でニアさんがビクッと固まった。
僕がやった仕掛けは単純。アポロさんの座る席の周りにニアさんの作った料理を集中させた。それだけだ。
だから……あとはアポロさんの反応次第。
「ええ、少し。どうでした?」
「うん、さっきも言ったけど美味い。と言うより俺的にはこっちの味付けの方が好きかな?」
あぁ、隣のニアさんが顔を真っ赤にして照れていらっしゃる!乙女だ。まさしく乙女だ!
コレはネタバレしてもっと照れさせるほか無い!
「そうですか……良かったですねニアさん」
「ーーー?!ーーーーーー!!」
そう呼びかけるとニアさんはより顔を赤くしてワタワタした後俯いてしまった。
「……これ、ニアが作ってくれたのか」
「そうですよ、なんでも好きな人のために料理が出来る様になりたいんですって」
「ニア……」
「その、アポロ。今はまだユウに教えてもらってなんとかコレぐらいしか作れなかったけど……。いつか、いつか現実でちゃんと私の手料理作るから。食べてくれるか?」
「ニア……!」
さて、僕の出番はここまでかな?後は燃え上がったお二人に任せましょう。
「あ、ここに並べた料理は全体の一部なので僕たちは退散してカウンターで食べ直しましょう」
「「「「賛成」」」」
二人っきりの世界に入ってしまったカップルをテーブルに残して、僕たちはカウンター席に避難した。なお僕の席はキッチンの中なのは言うまでもない。
「さて、一応作ったものも出しますが他にリクエストなど有れば作れるものは作りますよ」
「「「「苦いもの、もしくは辛いものが食べたいです」」」」
「ですよねー、あの空間で棒を振り回したらピンク色の綿菓子出来そうですもん」
さてさて、苦美味い料理ね。ちゃんと作ってありますよ。
時は流れ夜警の時間です。
「うぅ、ユウのばかぁ。何もあそこで言わなくてもいいのに」
「あはは、ごめんなさい。でも言って良かったでしょう?」
「うん……」
さて、ステータス確認の時間です。
あぁ、怖いなぁ。チラッと確認しちゃった後だから改めて見るのが怖いなぁ。
でも見なかったら進まないし確認するけどねー。
ーーーーーーーーーー
PN:YŪ
LV:78
種族 :混血種(獣人族・魔狼/森人族)
JOB :魔弓術士
SUB :【復讐者】※転職する事が出来ません
HP :1180
MP :1570 +1200
STR :70 +20
VIT :16 -640
AGI :80 +230
TEC :80 +190
INT :80 +305
MND :35 +30
LUC :18
残SP:54
種族固有スキル
・大器晩成
・魔眼・魔力視
・狼王の血脈
・魔狼の誓い
・夜天の魔核
・(隠し特性・神製の筐体)
後天性スキル
・征竜弓術(二枠消費)
・異端弓術・鏖ノ型(二枠消費)
・矢弾回収
・異質物射出
・弾幕曼荼羅(三枠枠消費)
・臨界観測眼(二枠消費)
・人外観測眼(二枠消費)
・夜天骸(二枠消費)
・神技・八艘飛び
・魔血鎖術
・震脚
・IQC
・魔力増加
・MP超速回復
・立体機動
・王威lv4
・大跳躍
・隠密
・狂気耐性
・料理
・奉仕術
・観察【融合が可能です】
控えスキル
・鼓舞
・一念岩穿ち
・採取
・恐怖耐性
・乱射
・奇襲
・落下耐性
・料理
・観察
・奉仕術
・暗殺
・消音技術
装備
・武器:夜天骸弓フェイルノート
・頭:夜天骸のバレッタ
・胴:夜天骸のドレスアーマー
・腕:夜天骸のロンググローブ
(暗器:夜天王の魔荊鎖)
・脚:夜天骸のアーマースカート
・靴:夜天骸のヒールグリーブ
・その他1:夜天王の魔心核
・その他2:七栄教のクロス
・その他3:白の器
称号
・異端なる征竜弓術士
・狂気ニ染マル審判者
・摂理に反抗する者
・復讐者
・無限弾幕
・虐殺の悪帝
・一騎討千
・神秘神の寵愛
・夜天を堕とした者
・種族改変者
・ドジっ子おおかみ
・ラビットスレイヤー
・試練『上位互換・自己投影』突破
・蛮勇なる者
・竜母の友
灼熱竜母に友と認められたものの証。
その在り方は人、と言うよりも獣に近いと言う。
・魔と心交わすもの
高ランクボスに特殊勝利を成し遂げたものの証。
戦うだけが能ではない。時に回り道も必要となる。
夢忘れることなかれ、生きているのは己の身ではないのだ。
ーーーーーーーーーー
さて、見て分かる通りレベルが物凄く上がった。レベルキャップ目前だよ。一応僕もニアさんと同じ様に成長が遅くなる固有スキル持ってるんだけどなぁ。
まあ、順番に処理して行こう。
大量に獲得したSPはまだ使わない。このイベントが終われば僕の装備は一新される予定なのでその装備に合わせてステータスは弄ろうと思う。
スキルは……セットした観察が融合できる様になってる。控えに有った時は特に何も出ていなかったんだけどなぁ。とりあえず融合を選択。融合先に臨界観測眼が表示された。選択。さて、どうなる?
……特に変わらなかった。スキルの表示も変化なし。あ、ただ臨界観測眼で観察が使える様になってる。なるほど機能アップなのかな?
でもこれで困ったことがわかってしまった。控えスキルに有ったら融合可能か分からないんだ。はぁ、取り敢えず先が無さそうなスキルは外して控えと入れ替えよう。
入れ替えた結果こんな感じで融合されたり変質したりした。
『隠密』+『暗殺』→『影潜』
『影潜』+『奇襲』→『影法師』
『影法師』+『消音技術』→『姿無き者』
『恐怖耐性』+『狂気耐性』→『発狂耐性』
『一念岩穿ち』+『乱射』→『下手な鉄砲岩をも穿つ』
随分とスッキリした様に感じる。効果はそれぞれこんな感じだった。
『影潜』
自身の気配を極限まで消し、物陰に潜む。熟達した暗殺者のみが至れる境地だと言う。
『影法師』
意識せずとも息をする様に気配が殺せるまで至った暗殺の極意。影なく影に潜み、影から影へ移動すると言う。
『姿無き者』
身体ありて姿なく、形ありて影も無い。
存在するはずのない確かな存在。
きっとそれは神の残滓なのだろう。
『発狂耐性』
狂わない。故に知る事ができる事もあるだろう。だが、知ってしまい、狂ってしまう方がいい事もあるのだ。
『下手な鉄砲岩をも穿つ』
狙えど狙えど一向に当たらぬ。当たったとしても大して効かぬ。ならば確実に殺せる手段で当たるまで撃つのみ。
とりあえず上4つは当たりだね。最終的には2つになってしまっているけど非常に強力なスキルだ。
けど、最後のスキルはダメだ。ちょっと試してみたけど僕のプレイスタイルと決定的に噛み合わない。
僕の基本スタイルは狙い撃ちなんだけど、コレはその狙いが致命的に合わない。
なんとこのスキルを付けていると狙った場所に絶対に当たらない。どう言う事か的に向かって真っ直ぐに飛んでいたはずの矢が着弾する寸前に急降下して地面に突き刺さったのだ。ただ、威力は凄まじいの一言に尽きる。当たれば大ダメージが確定するが当たらない攻撃。せっかく融合させて作ったのにお蔵入りが決まってしまった。……いや、アレと組み合わせればなんとか……。
試すのはやめておこう。もし出来たら洒落にならない、一人きりの時にこっそりとやろう。
称号はフレア関係で二つ手に入れた。
どちらも意味深な事を言っているけど……。
もしかしてこう言う特殊な称号があれば先日出会った謎の巨大ゴーレムとの強制戦闘もキャンセルできるのかな?
まあ、そこら辺はゆっくり調べよう。今は警戒がお仕事だし。明日はネルネルさんの熟練度講義も約束してある。本格的に調べるのはずっと後になりそうだなぁ。
最近VTuberにハマってる。今までは全く興味なかったけど『天神 子兎音』様の『フーアーユーなんて言わないで』で沼に落ちた。凄くオススメ、時間があったら聴いて。時間がなくても聴いてね?