生存戦略 Part9
お待たせしました、車校行ってたら書く時間が無かったです。
一応あらすじ
イベント4日目、拠点を襲撃されたが無事に撃退した。何気にまだ半日しか経っていなかったので戦闘職は探索を開始した。
先日発見していた謎の遺跡を探索することにしたユウくん、ボス部屋っぽいのを見つけたので入ってみるとやっぱりボス部屋だった。
なんとか倒すとご褒美があり、それを手に取ると……。←イマココ
よろしくお願いします
僕の生命線と言っても過言では無い夜天骸一式が強制解除され、ほぼ裸に真っ白な弓一つと言う変態的な格好にさせられた。
正直『呪いの装備(防御力−)』から『呪いの装備(他装備不可)』に変わっただけなんだけどね、何はともあれ一先ず装備を鑑定してみよう。
__________
『愚劣弓』ミストレル
HP・MP・LUCを除くステータスに『プレイヤーレベル×1.2』の補正。
全身の装備を強制解除
装備装着不可
『破壊不可』
『我らは選択を間違えた、真に必要とされたのは平均化された軍隊などではなく飛び抜けて輝く至高の英雄だったのだ』
__________
えっ、プレイヤーの成長に合わせて強化されていく武器とか強くない?僕のレベルは60だから全ステータス+72の補正が入る訳で……。
うん、何より紙装甲から脱却できるって言うのがとても嬉しいね!
それと説明文、フレーバーテキストって言うんだっけ?わかるようなわからないような微妙な文だけど、『強い敵に対しては平均化されたステータスよりもどこか飛び抜けたビルドの方がいい場合もあるよ?』って事だよね?もしくは『量より質』。
まあいいか、ミストレルを外せば普通に装備を戻すことが出来るようなのでさっさと戻しておく。
やっぱりいつもの装備が落ち着く、ステータス画面を見れば相変わらずVITにマイナス補正が付いている。うん、安心安心。
……いや待て?もしかして今の僕って装備を外して裸になった方が防御力があるのか?
……このことは考えないようにしよう防具の概念が崩れそうだ。
ちょっと時間食っちゃったから早く拠点まで戻ろう。最悪死に戻ってもいいぐらいだ。
『死に戻ってもいい』そんな事を考えていたからだろうか、僕が遺跡から出た瞬間にこんな奴に出逢うなんて……。
__________
????
lv??
__________
一応識別したけど出てきた情報全てが?で埋め尽くされたステータス。
さっきまで戦っていた洗礼用ゴーレムが小人に見えるぐらいの体格差。
黒金色の重厚なメタリックボディに全身の装甲に走るsfチックなラインを持つ超巨大ゴーレム。
はい、圧倒的格上ですね。ありがとうございます。
一応だけど、もしかしたら僕が小さすぎて認識されてないという可能性にかけて全力ダッシュで逃げようとしたけど、しっかりと顔(のような部分)が追従してますねー。
「えー、私これから帰る所なのですが通してくれませんか?」
ワンチャン無いかと思って声を掛けてみる。残念そうな雰囲気で首を横に振られた。集音性もバッチリらしい。
ていうか何気にコミュニケーション取れるゴーレムとか初じゃ無い?
さりげなく披露された高度な知性に驚愕する。
その後も何とかならないか頑張ってみたけど逃がしてくれそうに無いしかと言って勝てる気もしない。
おもむろに超巨大ゴーレムが腕を振り上げた。その拳は緩く握られている。
あー、うん。ここまでか……。
勝てる気全くしないけど、『人外観測眼』『臨界観測眼』起動、弾幕曼荼羅展開。
「せめて一矢報いてや……ふべ!?」
飛び上がった直後、ハエみたいに叩き潰された。おかしいなぁ『臨界観測眼』でスローモーションに見えてるはずなんだけど攻撃の出が全く見えなかった。
いつかリベンジして……リベンジ……出来るかなぁ……。
視界が暗転する。
目を開けると見覚えのある天井が迎えてくれる。さて、リビングに行きましょうか。
「お、ユウお帰り。そっちから来たってことはユウも死に戻ったな?」
リビングに入るとみんな勢揃いしていた。
「ええ、あれはどうしようも無かったです。ところで私『も』って言うことは皆さんも?」
「ああ、外に出てた奴はみんなだな。私は牛を狩ってたら出た『???』って名前が見えない首が三つあるミノタウルスに殺された。ってそうだユウ!ローストビーフ作ってくれ!今朝のゴタゴタで忘れてたけど」
あー、そんな話もあったね。
「わかりました、じゃあみんな揃ってる事だしパパッと作っちゃうのでそのままご飯にしましょう。あと僕がご飯作ってる間に皆さんの死因も教えて欲しいです」
「じゃあ、俺からいきます……」
………………
…………
なるほど、アポロさんは撮影スポット探しをしていたら旅客機ほどの大きさの鳥にテイクアウトされ、バウアーさんは切り甲斐のある敵を探して放浪していたらよくわからない触手に水の中に引きずり込まれて溺死。ネルネルさんは焼畑農業(意訳)をしていたら突如として現れた木で編まれた人型の中に閉じ込められ人体バーベキューに。それとニアさんが牛にミンチにされて、僕がゴーレムにハエ叩き。共通点は一撃死と前兆のない出現かな?
「……あ、料理出来たので食べましょうか、テーブルの上片付けてくださーい」
僕の掛け声を聞き各自テーブルの上に出していたアイテムをしまい始める。
「はーい、ニアさんご所望のローストビーフでーす。それと今日平原で拾ってきたトマトのようなもので作ったスープと主食に米粉パンもどうぞー」
遺跡に行くときにこっそり拾っておいたトマトっぽい何かで作ったスープ、昨日作った米粉パンを一緒に出せばあっという間にお洒落な夕飯になりました。あとはオリーブオイルが無いのを悔やむだけだ。アレがあれば色々と便利なんだけど……。
ただ某シェフほどは使わないよ?流石に限度があるからね。
たのしい食事が終わり今日1日の報告会を始める。
まずは生産職、居残り組からの報告。
拠点の修理が完了し、さらに拠点周辺に罠を仕掛けたから気をつけるようにとの事。一応パーティー内ff防止で罠にかかることはないが敵が起動させた罠に巻き込まれれば普通にダメージを食らうので注意するように。
それと最重要だけど屋根の上の僕の特等席も修復されたみたい。今度はより頑丈に、しかし座り心地が良いように作り直したとの事。早速今日の夜警が楽しみだ。
続いて僕以外の戦闘職のみんな、大体ここら辺にどのモンスターがいるかの分布と絶景スポットを見つけたからみんなで写真を撮りに行こうという話だった。
まだイベント時間は残ってるから一度みんなで行ってみても良いかもしれない。
そして僕の報告。
「平原に遺跡を発見しましたが、正直私一人の手には余ります。なので皆さんの力を貸してください」
その瞬間リビングがざわめいた。
え、なにその反応。
「おい、まてユウ。お前どんなエンドコンテンツを発見した?現状最高レベルのお前が持て余す遺跡とか人数いても攻略できないだろ」
全員の困惑を代表してルーレットさんが聞いてくる。あー、なるほど?そう捉えたのか。
「いえ、えーとボス的なのはもう倒し終わったのですが遺跡自体がとても広いのと、私じゃ解読できない文章があったりと私じゃどうにもならない事を手伝って欲しい感じです、それと……」
例の弓を取り出す。
「これがボスを倒した時に手に入れた武器なのですがこれのフレーバーテキストにこんな事が書いてありました。『我らは選択を間違えた、真に必要とされたのは平均化された軍隊などではなく飛び抜けて輝く至高の英雄だったのだ』。イベントエリアの無人島、そこにあった滅びた過去の文明の遺産。間違えた選択は滅びた原因?そう考えるととてもワクワクしてきませんか?」
報告と言う形でみんなに話しているけどもともと狙いは一人。教授の興味を惹くことだけ。その証拠にほら、教授が行きたくなってうずうずしてる。
「ふ、む。興味深いな?うむ、ユウくん私も同行させてくれないか?」
うぇるかむ!ニッコリと微笑んで頷く。ここで最初のインパクトで及び腰になってる他のメンバーを焚きつけよう。
「そう言えばこの遺跡未知の鉱物で出来てたんですよねぇー」
ガン爺がピクピクと反応した。
「戦った敵も高レベルのゴーレムで切りごたえ抜群だと思うんですよー」
「朽ちかけの巨大遺跡とかロマン溢れてませんかー?きっと写真映えすると思うんですよねー」
「強大な敵を私の援護を受けながら存分に楽しんでみませんか?場合によっては肩を並べて……なんて事もー?」
「室内の戦闘ですけど結構広い場所で戦うので思う存分魔法を打てると思うんですよね」
戦闘職達が反応する。あと一押しかな?
じゃあ、とっておきを出してみよう。正直これは推測でしか無いけど多分間違ってないと思うから。
「それと多分ですけどこの武器?再入手可能だと思うんですよ」
「……それが本当なら大変喜ばしい事だが、根拠はあるのかね?」
まあ、教授の言う通りだね。一応根拠はあるんだ。
「それもこの弓にあります、もう一度フレーバーテキストを見せますね」
『我らは選択を間違えた、真に必要とされたのは平均化された軍隊などではなく飛び抜けて輝く至高の英雄だったのだ』
「これなんですけど、必要なのは英雄だったのに作っちゃったのは軍隊だったって事ですよね?ちょっと無理矢理感がありますけど軍隊なら一つの強力な武器よりも数の揃えられる劣化品を選ぶんじゃ無いですか?」
「だから再入手が可能だと……ありえなくは無いが……」
「はい!なので実際に行って調べてみましょう!」
「結局はそこに行き着くんだな」
はい、だってみんなで行きたいんですもん。
こうしてみんなで遺跡に行こうと言う雰囲気に成りかけていた時、ふとルーレットさんが呟く。
「あー、俺は留守番してるわ、旨味なさそうだし」
まあ、予想していなかったとは言わない。
「えー、行きましょうよルーレットさん」
「いや、俺が行っても意味ないだろ。賭場も無いだろうし、もしあったとしても太古の賭博場が生きてるはずもない」
確かにそうだけど……。
「じゃあ、どうしたら来てくれますか?」
「いや、そもそも行きたくねぇんだが」
すげなく断るルーレットさん、大丈夫、まだ策はある。
ルーレットさんの正面に回り込みジッと目を見つめる。何も言わずにただジッと見つめる。僕は知っている、ルーレットさんが実はとても面倒見が良いことを、そして押しに弱いことも知っている。
そのまま数分が過ぎ、僕の視線に耐えきれなくなったルーレットさんが呟く。
「あー、そうだな。ユウが全力で一品作ってくれたら行かんこともないかな」
「はい♪」
勝った。
どんな料理が良いか聞くと『ユウが作ったのなら何でも良い』と嬉しいけどとても困るセリフをいただいた。
その後改めて全員で話し、出発は明日の早朝。1日がかりの遠征となった。拠点はネルネルさんとルーレットさんが全力で防御陣を敷いて放置するみたい。
さあ、明日が楽しみだ!
あ、屋根の上の特等席はとても良い感じだった。ルーレットさんが敷いていた獣除けの結界をすり抜けて入ってきた動物も一撃で射抜けたし大満足です。