生存戦略 Part7
えーと、約一週間前に評価8,000、900,000PVだー!っ喜んでたんですよ。さっき見てきたら評価9,533、1,134,301PVでした。評価とかってこんなに早く上がるもんでしたっけ?ランキングは友達から『13位おめでとう』ってメールが来てから見てません。その後はその友達から数通メールが届いてますけど怖いから見てません。評価の上がり方から予想はついてますが私が見なければその存在の実証はされないので知らないままでいようと思います。
まあ、何はともあれ
皆さんご愛読、高評価ありがとうございます。
そしてこれからも応援よろしくお願いします。
お礼投稿とかは出来ませんが全力で完結まで走り抜けます!
生存戦略4日目の朝。
僕の目覚めは何かの音とすぐ側に送還されたネルネルさんによってもたらされた。
「……んぇ?」
あーれー?どゆこと?まだ頭がぼー、とする。
部屋に戻されたネルネルさんは寝ぼけ眼の僕を一瞥もすることなく険しい表情で慌ただしく部屋を出て行った。
……とりあえず深呼吸して眠気を飛ばしてしまおう。
一度、二度、大きく息をして頭をクリアにしていく。
そこでようやくさっきから聞こえてくる音の正体を理解した。
金属音と、誰かの叫び声だ。
それも僕らのパーティーの声だけでなく、誰か別のプレイヤーの声……。
「っ!敵襲!?」
ショートカットを利用して、服装を寝巻きがわりの混血の貫頭衣から夜天骸一式へ変更する。
……っ!扉から出る時間も惜しい!!
ベッドから跳ね起きた勢いのまま窓を突き破って外に出る。
主戦場になっているのは……玄関前の広場か!
外に出るとそこはひどい有様だった。
建物自体に傷は付いていないが、その周りは焼き焦げていたり凍り付いていたりまるで戦場のようだ。
そして今も戦闘は続いている。
「『ペネトレイト』!」
手に持つ大楯で複数人を足止めするニアさん、そこに横から攻撃しようとしていた敵を牽制する。
「すみません遅れました!」
「いや!よく来てくれた!そのまま援護頼む!」
了解です!
とりあえずここだと建物が遮蔽物になって射線が遮られてしまうのでもう少し移動する。
そこで同じことを考えていたのかネルネルさんと合流した。
「やっと来た!私が爆撃するから撃ち漏らしをお願い!」
そう言うなり僕の返事を待たずに魔法の詠唱を始めるネルネルさん。
わかりました!遅れた分は戦闘貢献で返します!
「曼荼羅展開!『十華』!」
80発の弾幕を待機させネルネルさんのタイミングを計る。
「────、氷原を此処に!『コル・ブラスト』!今!」
「『人外観測眼』起動」
ネルネルさんの掛け声と同時に観測眼を起動させ、敵の動きを観察する。
どうやら今撃った魔法はかなり強力な広範囲魔法のようで『当たった』敵は大きく仰け反っている。じゃあ僕は『避けた』敵と、『耐えきった』敵を吹き飛ばすことにしよう。
曼荼羅の角度をそれぞれ調整する。
これでよし、『観測眼』を終了させて引き伸ばされた時間から元の時間に戻る。
「……計算通りだね」
狙い通り、僕の弾幕はネルネルさんの魔法で吹き飛ばなかった敵を正確に襲撃した。
休む暇なんてあげないよ。
「第二陣、三陣、征け!」
今度は敵全体に向けて弾幕を張る。
「ちっ!一時後退!隊列を立て直す!」
隊列を乱されたのを嫌ったのか敵が後退する。
……ところでさ、今、君達自分の弱点を晒したわけだけど……。僕、容赦しないよ?
腕に仕込んである簡易ストレージから躊躇いもなく『複合猛毒矢』を取り出し番える。
「『ペネト……
「深追いはするな!こっちも戦列を組むぞ!」
アーツを使い敵リーダーの頭を撃ち抜こうとしたとき、ニアさんからの指示が響いた。
一瞬気が逸れる。その間に敵リーダーは撤退する仲間に紛れて見えなくなってしまった。
…………………………リーダーの指示だし。従おう。ただ、この隙にMPポーションとポットを使用しておく。
あ、……でも、やっぱり弾幕だけは維持しておこう。自然回復量と釣り合うだけの弾幕しか出さないけど威嚇射撃程度の効果はあると期待したい。
ニアさん達が僕たち、後衛がいる場所まで下がってくる。
今いるのはニアさん、アポロさん、バウアーさん、ネルネルさん、僕の戦闘職だけだ。
「……ほぼ全員来てるな。ユウ、その射撃を維持しながら話聞けるか?」
「大丈夫です。問題ありません、それより教授達は?」
僕の疑問にアポロさんが答えた。
「教授達は最初の方で死に戻った。あいつら積極的に後衛を狙ったから守りきれなかったんだ。現在はルーレットが教授達に付いて家の中で結界を張って籠城の準備してる」
成る程っと、ちっ、あいつらが僕の索敵範囲から出て行った。闇雲に撃っても無駄うちにしかならないので一度弾幕を止める。
「……敵が僕の索敵範囲から離れました」
「そうか、でもこの後2回目3回目の襲撃が無いとは言い切れないから戦闘職で周辺の警戒をするぞ。正面は私が引き受ける。アポロは左手側を、バウアーは右手側、ネルネルは裏手側の警戒を。ユウは屋根に登って全周警戒をしてもらいたい、負担は大きいが宜しく頼む」
「「「「はい(おう)」」」」
屋根にはいつもと同じように登る。
……此処か見る朝の景色ってこんな感じなんだ。
いつまた襲われるかもわからない状況なのにそんな呑気なことを考えてしまう。
いけない、集中しないと……。
厳戒態勢のまま五分、十分と時間が過ぎ、1時間が経とうとしたとき。ついに僕のマップに反応があった。
「正面、ニアさんの方から……それと少し遅れて裏側、ネルネルさんの方からも来てます!」
僕が感じ取れる範囲だと裏から回ってくる方が少ないように感じる。
正面は陽動なんだろうな。
少しして正面から彼らが現れた。
「なあ、おい!少し話をしねぇか?さっきはすまなかった!」
どうやら対話をご所望らしい。どうせ注目を集める為のパフォーマンスだろうし自分に都合のいいことしか言わないんだろうから聴く気にもならないけどね。最初からシャットアウトしておこう。
「で、話って?」
ニアさんは一応対話に応じるみたい。
「───────────────、
─────、─────────────。──────────────────────────────────────────────────────!!」
相手の話している奴、多分さっきも指揮をしていたリーダーだと思われるのが一気に捲したてる。
興奮している様子や超強化された視覚で見た背後の敵のニヤニヤした顔で見て取れるけど。こちらを貶すような内容らしい。
彼らに言いたいだけ言わせた後、ニアさんがようやく口を開いた。
「……で、言いたいことはそれだけか?だったら小学校から国語と道徳を学び直して来なお坊ちゃん」
「─ 、───────!────!!」
あ、今のは分かったぞ!「い、言わせておけば!」みたいな感じでしょう?
自分が煽るのは良いのに煽られるのはダメなんだね。彼の幼少期やこれからの生活が大丈夫なのかとても心配だけど、それはそれ、これはこれだ。
「『十華』」
さっさと撃退しよう。
ソレが起こったのは戦闘が再開されてから少し経ち、戦況が硬直し始めた頃だった。
「─────、『ウィンドブロウ』!」
敵から屋根に居る僕に向かって魔法が飛んでくる。
遅いなぁ、新先生やお仕置き先生よりもずっと遅い。もう何発も外し続けているのに学習しないのかな?それとも使える魔法が少ないのかな?
まあ、そんなことどうでも良いけど。
これまで通り敵の魔法を避ける。ただ大きく避け過ぎて屋根から落ちないように気をつけないと……。
避けた後、僕の後方で魔法が何かに当たり効果を発揮した。
どうせ他の魔法使いが放った別の魔法と当たっただけだろう。そう思ったけど何故か無性に気になって振り返った。
屋根の一部が壊れている。
不意に昨夜の月を思い出した。一昨日の月も、イベントが始まってから夜警のたびに見た月を思い出した。
「……ぁ」
そう、だ。あそこだ。お気に入りの場所。僕の特等席。まだ3日しか経ってないけど、夜警の時ずっと座ってた思い出のある場所。そこが壊された。
心が急速に冷めて行く。
この感覚は何処か憶えがある、でも、何処だっけ?思い出せないのならどうせ碌でもない事なんだろうけど……。どうしよう。物凄く不快だ。ああ、そうだ……。
「不快なモノは、排除しないと……」
複合猛毒矢を順手に持ち、鎖を振るう。
「『巻き付き』『引き寄せ』」
先ずは目障りな遠距離職から潰そう。
僕の放った鎖は彼の首へ巻き付き、勢いよく僕を引きずる。
突然動きを変え、自分の方に突撃してきた僕に戸惑ったのか敵が動きを止めた。
「『鎧通し』」
僕よりかは防御力があるとは言え、所詮は後衛職の防御力だ。僕の攻撃を耐え切れるはずもなくカケラに変じた。
「対応が遅いよ」
すぐ近くに居た別の後衛に襲いかかる。
先程からの行動を見るに多分回復職。積極的に潰そうね。
先程の敵を貫いた矢を再び振るいローブの上から滅多刺しにする。十度目を刺す、その前に猛毒に侵されていたのか砕け散った。
これで二人目。
次は……。
「ユウさん!危ない!」
「ウオォオオオオ!」
バウアーさんの声に振り返ると、一人の近接職が迫ってきていた。
ちょうどいいや、こいつにしよう。
「コレは私が片付けるのでバウアーさんは他のを!」
「っ!わかりました任せます!」
「無視してんじゃねぇ!よくも仲間を!」
「襲いかかってきたので返り討ちにしただけですが」
「うるさい!」
おーけー、最初からわかってたけど会話は成り立たないっと。
コレの得物は大剣。一撃の威力は高いが遅い。盾にすることも出来る。うん、何も問題はない。全部避けて仕舞えばいいだけだ。
「クソ!避けるな!大人しく死ね!」
何を馬鹿なことを。
「『拘束』『締め上げ』」
闇雲に突っ込んで来たところを鎖で捕縛し、地面に転がす。あとは作業的に屠殺しよう。
「何だよコレ!卑怯だぞ!離せ!俺たちを誰だと思ってる!」
「……知らないよそんな事、でも敵であることは確かだからね。敵は殺さないと」
全身を締め上げられ身動きの取れないコレの頭に照準を合わせる。
「ま、待てヤメろ!そんな事しても良いと思ってるのか!?俺らは……」
「だから知らないって『鎧通し』」
まだ何か言っていたようだけど気にせず撃ち抜く。これで三人目。
「……今の感じだと一度撃退してもまた襲ってきそうだなぁ」
なんとかしてこのイベントエリアから退去させたいな不愉快だし。でも一度倒しても拠点で復活しちゃうし、その拠点の位置も分からないし……。
「……あ、そう言えばアレ、使えるかな?」
うん、思い立ったら試してみよう。
都合の良さそうな相手を探すため一番の激戦区になっている玄関前広場に向かう。
良さげな人はすぐに見つかった。ニアさんと斬り合いをしている敵のリーダーだ。
「ニアさん変わります!一度回復して!」
「ユウすまん!助かる!」
敵のアーツを大楯で弾き返し後ろに下がるニアさん、それと入れ替わるように僕が前に出る。
「おいおい、テメェ正───────?」
はいはい、シャットアウト。返答は攻撃でいいよね?敵だし。
「『パワーショット』」
どうやら自分が話している間は攻撃されないと考えていたのか酷くうろたえる敵。対する僕は……馬鹿にしたように鼻で嗤ってやる。
「───────────!!」
予定調和のように激昂する敵。ここまで予想通りの展開だと逆に不安になってくるね。
さて、後はタイミングを見て僕が死ぬだけだ。それまでは適当に避けたり攻撃したりしよう。
「─────!『────』!」
痺れを切らしてアーツを使ったみたいだ、剣を突き出して突進してくる。ここだね。
「『潜行捕ば……』」
僕がアーツを使い、その効果が発揮される前に剣が僕を貫いた。
「ハッ、ザコが!さっさと死ねば良かったのにヨ!」
「ユウ!テメェ!」
「次はテメェだ!散々手こずらせやがって!」
……さて、コレの注意がニアさんに移ったところで……。
『復活』しようか。
黒い霧を纏いながらコレの背後で復活する。
死んだはずの僕が生き返る、それを目撃したニアさんの顔が面白いように引き攣る。
「『暴徒鎮圧』」
虚空から突如として鎖が飛び出し敵を締め上げる。
完全に不意を打たれ抵抗する間も無く地面に倒れた。そんな光景が周囲の彼方此方で見られる。
「捕縛の効果は30秒です!その間に出来るだけ殺して!」
僕が声を張り上げたと同時にマップに写っていた敵影がものすごい速度で減り始める。
「さぁ、ニアさんトドメを」
「あー、ユウがトドメを刺さないのか?」
「僕が刺すとちょっとやりたい事の条件が満たせなくなるかも知れないので……それにコレを使っている間は動けませんし」
「あー、なるほど。じゃ、さっさと片付けちゃうわ」
「おい待て!卑怯だとはおも……」
部下が部下ならリーダーもリーダーだったらしく何か喚いていたが、ニアさんがアッサリとHPを全損させる。
「とりあえず出来るだけ狩っておくけど」
「ええ、後から色々説明します」
大剣を担いで走り去るニアさん。
さてさて、僕の実験は成功しているかな?
マップを開く。
僕が期待しているのは復讐者が持ついくつかの強力な力の一つ。『僕を倒した敵をマップに表示する』という効果。コレを使って敵の拠点を探し出そうと考えたんだ。果たして結果は…………表示されていた。場所は2日目に探索していた森の中のようだ。見落としてたのかな?
それと、やっぱり最後にトドメを刺さなくて正解だったみたい。あそこで倒しちゃうと僕の復讐が終了したって判断されそうだったからね。
結果を確認している間に『暴徒鎮圧』の効果が終わり、自由に動けるようになる。
「くそ!逃げろ!こんなの勝てるわけ、ギャァァ!」
逃げる相手にもしっかりと追撃を決めたようで周囲の敵対反応が無くなる。
「さて、ユウ吐いてもらうぞ」
「いいですけど移動しながらでお願いします。敵の拠点を特定しました」
………………………………
…………………………
……………………。
「「「「はぁ!?」」」」
「?敵の拠点を特定したので追撃するために移動しましょう」
「いやいやいやいや、ちょっと待て、どうやってだ?」
「それも含めて説明します。彼らが移動を始める前に行きましょう」
確認できた彼らの拠点は走って30分くらいの場所。全力で駆け抜けてもいいなら10分ぐらいで到着できると思うけど念には念を入れて戦闘職全員で移動したいからね。
「わかった、じゃあ私とネルネルが付いていく、バウアーとアポロはこっちの警護を頼む」
「「了解」」
「よし、ネルネルは私に乗れ、その方が速いからな。ユウ道案内を頼む」
じゃ、出発しますか。
「成る程な、だからあの時私にトドメを刺させたのか」
「ええ、そんな感じです」
「それよりユウ、あの鎖は何?」
「あれは僕のアーツですね、名前は『暴徒鎮圧』集団対人用アーツです」
「へぇ……待って集団?範囲じゃなくて?」
「はい、集団です。詳しい効果は『敵対プレイヤーの所属しているパーティー全員を対象に捕縛する』というものです」
「めっちゃ強いやん」
「ネルネルさん口調がおかしくなってますよ?」
「でも、それだけだと強すぎる。何かデメリットがあるんだろ?」
「ええ、ニアさんその通りです。先ずこのアーツを使ったとき、その瞬間から行動不可、攻撃不可の状態異常が発生します。これはもしアーツを外したとしても発生します。次にMPの消費量。最初の発動は30ほど消費しますが二人目以降は大体100づつ増えていきます。一応僕は装備効果で消費MPを大幅に削減しているのですが、その上でこれだけの消費量なので燃費はとても悪いです。最後に……」
「いや、まて、まだあるのか?これでもかなりヤバイだろ」
「残念ながらまだあるんです。それもこれが一番重いかも知れませんね。最後は脱出された時のペナルティなんですが、脱出一人当たり固定1000ダメージ食らいます、なので3人脱出されると僕は死んじゃいますね」
改めてマップを確認してみる。結構近づいている、それに彼らは拠点から動いてないようだ。
「もうすぐ着きます。少しスピードを落として隠密しながら近づきますよ」
「「了解」」
しばらく息を殺しながらゆっくりと進むと、彼らの拠点が見えた。
成る程、これなら2日目の探索の時に見逃しても仕方ないね。彼らの拠点は洞窟だった。
「これなら楽ができそうかな?一応どれくらいの深さに拠点があるのか見てきます」
隠密を発動して潜入する。
そこまで深くないと助かるけど。
幸いにも洞窟自体が小さくそこまで奥もなかった。他の場所に繋がっているような出口も無し。遮蔽物になるような大きさの物も無い。
彼らの拠点の中心は大きなテントだった。その周りで焚き火を囲みながら雑魚寝をしているらしい。今も焚き火の周りで反省会中のようだ。
悪いね、その反省活かせそうにないよ?
「戻りました」
「おう、お帰りどうだった?」
「他に繋がる出口も無し、遮蔽物無し、魔法を打ち続ければ全滅するかと」
「よしやろう」
その後は単純な作業だった、僕とネルネルさんが洞窟に向かって弾幕と魔法を流し込むだけ。あとはそれをメニューに表示される獲得ポイントが上昇しなくなるまで続ければいい。
1時間後、僕らの拠点を襲撃した彼らは逆に僕たちに自分の拠点を襲撃され、一人残らずイベントエリアから追放された。
あ、もう昼を過ぎてる。草原の調査したかったんだけどなぁ。時間あるかなぁ?
……この先後書きの裏設定がなくなると思います。理由は聞かないでください。そんな『裏設定書くの面倒くさいな』とか思ってないです。
ただ、たまにパトスが迸って書くこともあると思いますが基本的になくなると思います。