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生存戦略 Part6

前話の前後書き忘れてました、でも特に知らせることもないのでイベント終わるまでは後書きが無くなると思います。その時の気分で書いたりすると思いますが……。


よろしくお願いします。







「うーん……」


おはようございます、生存戦略3日目開始ですねー。


「……時間は……」


メニュー画面を開き時間を確認する。

……朝の四時過ぎぐらいか……。早めに起きちゃったけどこのまま二度寝するのもアレだししっかり起きちゃおう。

ベッドから出て大きく深呼吸をする。


うん、大分眠気が飛んだ。

ネルネルさんとニアさんはまだ寝てるみたいだ。起こさないように気をつけて部屋を出よう。




部屋を出てリビングに着いたけど、予想通り誰もいない。

外に出れば夜警係のバウアーさん達がいるだろうけどわざわざお邪魔をするつもりはない。こういう時は彼らが帰ってきた時に優しく出迎えるのが良い『妻』の姿なんだって。喜多川が言ってた。

ならばそれに倣って僕も彼らを出迎える準備をしようかな?

襲撃が無かったとはいえ外で活動してきたのだから……スープでも作っておこうかな。それと並行して朝食も作ってしまおう。ご飯が炊き上がるまで結構時間かかるからね。






「ただいまーって誰もいないか……」


うん?ルーレットさんが帰ってきたみたいですね。


「おかえりなさい」

「うお!?ビックリした!……なんだユウか……」

「ああ、ごめんなさい。早く起きちゃったのでご飯の用意をしてたんですよ。バウアーさんは?」

「おお、なるほど。バウアーは日課の素振りをしてるよ、あいつアーツが使えないだろ?だから少しでも強くあるために基礎練?をしてるんだってさ。後30分もすれば帰ってくるだろ」


へえ、毎日そんな事してたんだ。


「そうなんですかー、あ、夜警お疲れ様です。スープどうぞ」

「お、ありがと。満腹度とか無いから食事も必須じゃ無いが、こーやってあったかいもん食うとなんというか、ほっとするな」

「そりゃ、そうですよ。何せ人間の三大欲求ですからね食欲は。食べるってことは人の本能に根ざしているわけですから、いくら必要が無いと言っても7日間も何も食べなければとてもイライラするんじゃ無いですか?」

「それは……そうだな。俺らはユウが居てくれたことに感謝しなきゃな」

「大袈裟ですよ」


お米を炊いている土鍋の様子を見つつ、オーブンで焼いているブロック肉の火の通りを確認しながらルーレットさんと会話をする。

そんな事ない、大袈裟だ。と。

しかし、こちらを見るルーレットさんの顔がいつになく真剣なのを見て驚く。

いつもはどこかとぼけた様子でニヤニヤしていたり、何かの役を演じているかのどちらかなのに……。

それだけ真剣に話しているのだと、ようやく理解した。


「大袈裟なんかじゃねぇよ。このパーティーは良くも悪くも我の強い奴らばっかりだ。教授なんかは知識欲の亡者だし、ネルネルは魔法をブッ放す事しか頭にねぇ、バウアーの奴も物腰は柔らかいが一度決めたことは絶対に曲げねぇ、それが原因でβ時代にいくつか問題を起こしてる。ガン爺はとにかく頑固だ、自分が気に入らない仕事は絶対にやらない、あれだけの腕なのに未だに無所属なのはそのせいだ。ニアとアポロはよくわからんが戦闘系の二つ名を持ってる時点で確実に何かやらかしてるだろうな、それに俺も……」


メンバーのアクの強さを一気に語ったルーレットさんだが、自分の事を語るとき、少し迷いを見せ、そして何かを振り切るように僕を真っ直ぐに見つめた。


「俺はな……少し現実リアルの話になるが、俺はなんでも出来た。何をやっても完璧に熟せたんだ。だからと言うか何というか、周りの奴らが厄介ごとは全部俺に押しつけるようになったんだ。んで、色々省くが俺はキレた。やってられるか!ってな。その反動かゲーム中は何もやりたくねぇ、みんなに任せるわぁ、ってなったんだよな」


闇、とも言えるかもしれない自分の内側を話したルーレットさんはどこか清々しげだった。


「……ところでなんで賭け事が好きなんですか?今聞いた話だと結構堅実そうな……」

「いや、ああ言うのってさ基本的にその時の運が大きく関与するじゃん?俺の技量関係なく勝負が決まるのが楽しくてさ」


成る程……。


「あー、まあなんだ、兎に角!俺らが纏まれてんのはユウのお陰が大きいって言うか、その、ユウは凄ぇ!って事だ!自分を卑下すんじゃねぇ!って事が言いたかったんだ!」


言っている途中で恥ずかしくなったのか、ルーレットさんは最後の方は早口に言い終えてキッチンから離れた場所にあるソファーに座って向こうを向いてしまった。

ただ、その手にスープの入ったカップを大事そうに持ち、髪の間から見える耳が赤くなっていたことは……言わないでおいてあげよう。


「ふぅ、ただいま戻りました。おやユウさんおはようございます」

「おかえりなさいバウアーさん、スープはいかがですか?」

「いただきましょう、少し運動してきた後なので気分的に何か飲みたかったんです」


僕からスープの入ったカップを受け取り、ソファーに座ってこちらを見ないルーレットさんに気がつき、『何か』があったことを察しながらも、特に何も言わずにキッチンに備え付けられているカウンター席に座るバウアーさん。うん、大人だなぁ。



そんな感じで、朝のゆっくりとした時間を楽しむ。















暫くして、みんなが次々と起き出してきた。


静かな、マッタリとしたリビングが賑やかで活気的なリビングに変わる。


「それじゃ、朝食にしましょう!」


各人大盛りのご飯を渡し、早朝から仕込んでおいた『モノ』を取り出す。


「「「「「「おおー」」」」」」

「うまく出来たか自信は有りませんがロースト……何でしょう?ローストボア?とロースト謎肉です!」


昔ローストビーフを作ったときはラップで包んで肉汁を落ち着かせていたので、ラップを使わない時にどうするのかはわからないけど……なんとか出来たと思う。


切り分けはニアさんが木箱で当てた鉄製ナイフを使う。アレから一度も使っていないとの事なので譲って貰った。対価は草原で見つけたと言う牛のモンスターの肉でローストビーフを作ることだそうだ。食材調達お願いしますね。









「……ん、よし!一通り食べ終わった事だし、今日のお留守番役を決めるぞ」

「あ、今日は私が残ります。ちょっと仕込みをしておきたい食材とか、あとお米の実験もしてみたいです」


お留守番役に立候補する。

探索を一日休むのは少し遅れが出るかもしれないけど、それでも食環境が変わるかもしれない実験をしたいので今日は休むことにしたのだ。


「……わかった、それじゃもう一人お留守番役する奴!」


全員がお留守番役に立候補した。

……なぜ?


「……アポロさんと教授は昨日お留守番してたでしょう?それに死に戻りでポイントも減ってると思う。今日は探索に出かけたら?」

「ふむ、それもそうだね。と言うわけでアポロ君は探索に行きたまえ。私はもう少しまとめサイトの編集をしておきたい」

「いやいや、教授。編集は昨日終わったって言ってたじゃないですか。教授こそフィールドワークに行ってきたらどうです?珍しいものがあるかもしれませんよ」

「いや、二人とも行けよ。俺は動きたくないから留守番するわ」

「と、言いつつ実は本当はユウさんが気になるんでしょう?今朝も何かあったようですし……」

「な、バウアー!テメェ何言いやがる!?そう言うお前も……!」

「……なんのことやら?」

「うむ」

「いや、ガン爺、うむだけじゃわからない。言いたいことはわかるけど。それだったら予備戦力として私が残った方がいい。魔法で先制殲滅が出来るし」

「いやいやそれなら……!」



わぁー、すごい言い合い……。


ふと、ここでニアさんとアポロさんが加わってないことに気づく。


「二人は参加しないんですか?」

「俺は昨日見つけた絶景ポイントの先が見てみたいからな、普通に探索に行くよ」

「私は牛肉取って来なきゃいけないし。そうだユウ、牛乳とか取れたら作れる料理って増える?」

「間違いなく増えますね、ただどれぐらい使えるのかを確認したいので少し時間はかかりますが」

「それくらいなら問題ないな、イベント中に食べられればそれでいいし」


二人からの返答を得られたところで僕は事態の沈静化を図る。


「あの、申し訳ないですが今回の実験は出来るのかの確認なのでそこまで量を作る予定は無いですし、私一人で消費出来る範囲でしかやりませんよ?」


取っ組み合いに発展しそうになっていた『話し合い』は水を打ったように静かになった。


「……うむ、そうだな。良識ある大人として最初からお零れを狙って立候補するなど恥ずかしいことだな。うん」

「……そうね、じゃあ私は食材調達に行くとするわ」

「うむ」


みんな顔を背けながらそそくさと探索に行く準備を始めた。

現金な人達だなぁ。


もしかしたら内緒でお裾分けをするとは考えないのだろうか。


「いや、やはり儂が残る」


ロ、ロールプレイ中のガン爺が自分から話した……!?

いや、結構話すけどさ……。


「キッチンの事でユウの意見を聞きながら調整をしたい」


あ、成る程、職人目線ですね。


「うっし!じゃあ今日のお留守番はユウとガン爺だ。目指せローストビーフ!」















正直ね、お米もいいものだけどせっかくログハウスで生活してるんだし食事も洋風にしたいってのがありまして…………。


少し前に米粉のパンってあったからね。今日はそれを作れるのかの実験です。作ったことは無いけど、幸い作り方は知ってるので試してみます。っとその前に、ガン爺に少しおねだりをしよう。


「ガン爺ー、麺棒みたいな物って作れます?」

「……それなら後ろの箱に入っている奴から好きなのを持ってけ。それより包丁とか出せ、研ぎ直してやる」


おっけー、しばらく包丁を使う予定は無いからね。

ガン爺に包丁を渡し、箱から丁度いい鉄製の棍棒を貰っていく。

……なんでこんなのがあるんだろう?私たちのパーティーに棍棒を使うのなんて……バウアーさんの練習にしか使わないんじゃ無いかな?まあいいや、僕が得しただけだし。






さて、キッチンに戻ってきました。棍棒を取り出し、あらかじめ用意しておいたお米を砕く。

今日の最大の実験にして最後の実験です。果たして『精米済み白米』は米粉になってくれるのか……!これができれば後は単純作業なだけなんですけど……。


いざ!



僕が振り下ろした棍棒は難なくお米を砕き……。

識別で確認してみる。


『米粉』


あっさり出来た。


じゃあ、後はこれを量産して実際に米粉パンを作っちゃいましょう。

















その夜。


新たな主食の開発にニアさん達はとても驚いたようです。やっぱりジャパニーズが米好きと言っても限度がありますよね。毎日三食白米を食べている人なんてほとんどいないでしょう。大体朝はパンを食べる人が多いはず。

それからニアさんが牛肉を狩ってきた。

牛乳はドロップしなかったみたいで若干落ち込んでたけど明日の夜は念願のローストビーフだと伝えるとすぐに機嫌が直った。


明日は昨日上から見つけた遺跡に行ってみようと思う。

高確率で死ぬと思うけどね!






あ、評価8000ありがとうございます。

相変わらず節目やゾロ目を確認できてませんが気がつくと上がっている評価にニヤニヤしながら日々を過ごしております。

あとPVが1000000超えそうとか超えなさそうとか……。ついにここまできたんだなぁと感慨深く思っております。それに伴うお礼投稿とかは……特にありませんが引き続き応援よろしくお願いします。

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